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そうだよ多分
病院の廊下を歩いていると、キョウが、遠い目で、外を眺めていた。
どうしたんだろう?
…ちょっと、声をかけづらい感じ。
「私、死にたいかもしれない」
突然、キョウがつぶやいた。
「どうして?」
「どうして生きてるんだかわからない」
…。
「そんなの、わかってる人、いるかなあ?」
「他の人のことなんかは、どうでもいい」
「そりゃまあ、そうだね」
…。
「楽しくないの?」
「…そーかもしんない」
「問題って、それだけなんじゃない?」
「そーかな?」
「そうだよ、多分」
「そーかもね」
キョウが笑った。
「一緒に歩こう」
僕らは一緒に、病院の廊下をぶらぶらした。
「ほーら、やっぱり、モテモテじゃん」
ナオだ。
「三人でどっかに座る?」
キョウが言った。
「いいよ」
僕らはラウンジに向かって歩いた。