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少し話でも
教室。
僕って、モテるのかなあ?
試しに…。
教室で一番カワイイ娘に声をかけてみた。
全然、相手にもされない…。
気をとりなおして、ナオに声をかけた。
「ナオ」
「なによ?」
前とは違う、冷たーい感じ…。
「少し話でも…」
「ゴメン。ちょっと忙しいのよね。後にしてもらえる?」
そう言って、ナオはいなくなった。
どうしたんだろう?ナオ。前はあんなに親しげだったのに…。
「それはね。病院の記憶と、高校の記憶が、繋がったり、切れたりするからなのよ」
病衣のナオが言った。
病院。
「それにしても、冷たかったね」
「向こうの世界だと、あなたってさえなく見えちゃうのよね」
ナオが微笑んだ。
「廊下でデートでもする?」
「う、うん」
僕らは手をつないで、並んで廊下を歩いた。