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第8話:禁忌の魔導兵器VS規格外の鑑定士

第8話です!

聖域でのんびりと過ごすアルスたちのもとに、ついに「破滅」が訪れます。

……いや、破滅するのはアルスではなく、彼を狙う愚か者たちですが。

元パーティが持ち出した「禁忌の兵器」と、アルスの【鑑定】が激突します!

「……主様。また、不浄な気配が近づいています」

 世界樹の木陰でアイリス王女とチェスを楽しんでいた時、イヴが冷ややかに告げた。

 アイリスがチェス駒を置く。彼女の顔が、騎士のそれに変わった。

「軍勢か? それとも、魔獣の群れ?」

「いいえ。……もっと、悍ましいものです」

 イヴの視線の先。

 森の木々をなぎ倒しながら、現れたのは――。

「……何だ、あれは」

 それは、巨大な錆びた鉄の塊だった。

 六本の脚で歩行し、中央には不気味に輝く魔晶石が埋め込まれている。

 かつての戦争で国一つを滅ぼしたとされる、禁忌の古代魔導兵器『プロト・キマイラ』。

「ハハハ! 見ろよアルス! これが俺たちの新しい力だ!」

 兵器の頭頂部に乗っていたのは、ガイルだった。

 彼は狂ったような笑顔で、俺を見下ろしている。

 借金返済のために暗殺ギルドから借り受けた、破滅の兵器。

「その世界樹も、聖女も王女も! 全部俺のものだ! お前は、その無能な【鑑定】で、自分が踏みつぶされる瞬間を眺めていろ!」

「ガイル……貴様、正気か! そんな兵器、暴走したら迷宮都市ごと吹き飛ぶぞ!」

 アイリス王女が叫び、剣を抜く。

 だが、ガイルは聞く耳を持たない。

「うるせぇ! 勝ち組になるためなら、何でもしてやるよ! ……行けッ、『プロト・キマイラ』! 聖域ごと、すべてを塵に帰せ!」

 魔導兵器の魔晶石が赤く輝き、莫大な魔力が充填され始める。

 アイリスが「アルス、下がっていろ!」と俺を庇おうとした、その時。

「……【鑑定】」

 俺は静かに、その巨大な鉄の塊に視線を向けた。

 眼裏に、兵器の詳細な構造図が表示される。

『名称:プロト・キマイラ(劣化品)』

『状態:魔力炉が不安定。右から三番目の脚の関節に、致命的な亀裂ヒビあり』

 ……なるほど。

 古代兵器とは名ばかりの、ガラクタだ。

 ガイルたちは、これのメンテナンスすらできていない。

「……アイリス、動かなくていいよ」

「え……?」

「あの兵器、自重で崩壊するから」

 俺がそう呟いた瞬間。

 ――メキメキメキッ!

 ガイルが勝利を確信して嗤っていた、その足元で。

 『プロト・キマイラ』の右から三番目の脚が、自身の重さに耐えきれず、あっけなくへし折れた。

「……ぶへ?」

 ガイルが間の抜けた声を上げる暇もなく、巨大な兵器はバランスを崩し、轟音と共に地面に叩きつけられた。

 充填されていた魔力が暴走し、兵器の内部で爆発が起きる。

「ぎゃぁぁぁっ! な、なんでだ! なんで動かないんだぁぁっ!」

 兵器から放り出されたガイルが、地面を転がりながら叫ぶ。

 俺は、動けなくなった兵器に近づき、手をかざした。

「【再構築リ・コンストラクト】」

 光の粒子が兵器を包み込む。

 錆びた鉄の塊は、一瞬にして分解され、新たな形へと作り替えられていく。

『魔導兵器を分解し、素材を抽出しました』

『抽出素材:神話級金属オリハルコン、古代の魔晶石(極)』

『新施設【自動防衛ゴーレム】の作成が可能になりました』

「……嘘、でしょう」

 アイリス王女が、呆然と立ち尽くしていた。

 国家を滅ぼす兵器を、ただの【鑑定】で弱点を見抜き、触れるだけで素材へと還元してしまった。

 この男の力は、もはや「チート」なんて言葉では片付けられない。

「さて、ガイル」

 俺は、腰を抜かして震えている元リーダーを見下ろした。

「俺の【鑑定】は無能じゃなかったろ? ……お前たちが、俺を使いこなせていなかっただけだ」

 イヴが指を鳴らすと、世界樹の根がガイルを縛り上げ、森の遥か彼方へと放り投げた。

 今度こそ、彼らがこの聖域に戻ってくることはないだろう。

「……アルス。貴殿、本当に何者なのだ?」

「ただの鑑定士だよ、アイリス。……さあ、チェスの続きをしようか」

 俺はそう言って、何事もなかったかのようにチェス盤へと戻った。

 聖域の平和は、今日も守られたんだ。

第8話をお読みいただきありがとうございました!

ついに元パーティとの完全決着! 禁忌の兵器すら一瞬でガラクタに変えるアルスの【鑑定】無双、いかがでしたでしょうか。

これで第一章「追放と報復編」は完結となります。

次回からは、アイリス王女を介して王都との本格的な交渉が始まる「建国・王都編」が始まります!

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