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第7話:王女様、聖域の湯で陥落する

第7話です!

王都から「連行」のためにやってきたアイリス王女。

しかし、彼女を待ち受けていたのは、戦いではなく「究極のリラックス」でした。

騎士としての矜持が、アルスの作った温泉の前にあっけなく崩れ去ります。

「……信じられん。これが、人の手で作られた場所だというのか」

 アイリス王女は、案内された客室で震えていた。

 壁は世界樹の魔力で強化された黄金の木材。床には、王都の最高級品すら霞むほど柔らかな毛皮(実はアルスが『再構築』した魔獣の抜け毛)が敷き詰められている。

「アイリス様、まずは長旅の疲れを癒やしてください。こちらの『神湯』は、体だけでなく魂まで浄化されますよ」

 セレスティアが笑顔で勧める。

 アイリスは「一国の王女として、正体不明の男の屋敷で裸になるなど……」と渋っていたが、漂ってくる清浄な湯気と、かつてないほどの魔力密度に、抗うことはできなかった。

「……くっ、これも調査のためだ。決して、誘惑に負けたわけではないぞ!」

 そう言い残して、彼女は脱衣所へと消えていった。

     ◆

 三十分後。

 露天風呂から聞こえてきたのは、アイリスの悲鳴に近い感嘆の声だった。

「な、なんだこれはぁ……!? 身体の節々の痛みが……古傷が……消えていく……っ!?」

 彼女は幼少期からの厳しい剣修行により、全身に細かな傷と、魔力の詰まりを抱えていた。

 だが、アルスが『再構築』したこの温泉は、浸かるだけでそれらを強制的に最適化してしまう。

「ふはぁ……。もう、王都に帰りたくない……。ここで、一生お湯に浸かっていたい……」

 あの凛々しかった王女様はどこへやら。

 真っ赤な顔をして、湯船の縁でとろけているアイリスがそこにいた。

     ◆

 風呂上がり、応接間に戻ってきたアイリスは、完全に毒気が抜けた顔で俺の前に座った。

「アルス……。貴殿を連行しようなどと考えた自分を、恥じるばかりだ」

「分かってくれればいいよ。俺はただ、静かに暮らしたいだけなんだ」

「だが、これほどの力と資源、世界が放っておかないぞ。……特に我が父、国王陛下は強欲だ。次に送り込まれるのは、交渉人ではなく軍隊かもしれん」

 アイリスは深刻な顔で俺を見つめた。

 彼女はこの短時間で、アルスが「敵に回してはいけない存在」であると同時に、「守らなければならない至宝」であると確信したらしい。

「そこでだ。アルス、私を貴殿の『騎士』として雇ってくれないか?」

「えっ、王女様を?」

「ああ。私は王位継承権を一時凍結し、この地の『守護騎士』として駐留する。そうすれば、王国側も安易に手出しはできまい。……その代わり、毎日あの温泉に入れてほしいのだが、どうだろうか?」

 ……本音が最後に出ていたような気がするが、王女が味方についてくれるのは心強い。

『アイリス王女が「守護騎士」として配下に加わりました』

『拠点の武力レベルが「国家級」に到達。新メニュー【騎士団詰め所】が開放されました』

「主様。また賑やかになりますね」

 イヴがクスクスと笑う。

 鑑定士として捨てられたはずの俺の周りには、いつの間にか精霊、聖女、そして王女が集まっていた。

 だが、その頃。

 王都では、アルスを追い出した元パーティの『獅子の咆哮』が、借金返済のために「ある禁忌の依頼」を引き受けていた。

「へへ……見てろよアルス。この『魔導兵器』さえ手に入れば、お前の聖域なんて一瞬で……!」

 破滅へのカウントダウンが始まっているとも知らず、彼らは暗い地下室で嗤っていた。

第7話をお読みいただきありがとうございました!

ついに王女様も陥落。温泉はやはり、なろうにおける最強の交渉道具ですね。

次回、第8話。アルスの聖域を狙う卑劣な罠と、それを無自覚に粉砕するアルスの圧倒的パワーが描かれます。

「ざまぁ」の第二波がやってきます! 続きをお楽しみに!

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