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第6話:王女の来訪と、無自覚な最高のおもてなし

第6話です!

元パーティを追い返し、平和なスローライフに戻ったアルス。

しかし、空を衝く『世界樹』の存在は、遠く離れた王都にまで知れ渡っていました。

ついに、この国の「最高権力に近い人物」が聖域を訪れます。

元パーティのガイルたちを追い出してから、聖域の平穏はさらに深まった。

 イヴが整えた庭園には、絶滅したはずの薬草が咲き乱れ、セレスティアが祈りを捧げる池には、魔力を回復させる魚が泳いでいる。

「……アルス様。これ、新しく焼いてみたのですが……お口に合いますでしょうか?」

 セレスティアが差し出してきたのは、世界樹の果実を練り込んだクッキーだ。

 聖女に給仕をさせるなど、王国の人間が見れば卒倒するような光景だが、ここでは日常だった。

「ああ、美味しいよ。セレスティアは料理の才能もあるんだな」

「……っ! ありがとうございます、嬉しいです!」

 頬を赤らめて喜ぶ彼女を眺めていると、結界の守護を司るイヴが、空を見上げて目を細めた。

「主様。北の方角から、やけに騒々しい一団が近づいています。軍隊……いえ、王家の紋章を掲げた騎兵隊ですね」

「王家? ……ついに見つかったか」

 この巨大な世界樹を隠し通せるとは思っていなかった。

 俺はイヴとセレスティアを連れて、聖域の境界へと向かった。

     ◆

 境界線で待っていたのは、白銀の甲冑に身を包んだ精鋭騎士たち。

 そしてその中心には、炎のような赤い髪をなびかせた、凛々しくも美しい女性が馬に乗っていた。

 第一王女、アイリス・ド・ラングリード。

 王国最強の剣士としても名高い彼女が、信じられないものを見たという顔で世界樹を仰ぎ見ていた。

「……まさか。伝説の聖樹が、これほど短期間に……。そして貴殿が、この地の主か?」

 アイリス王女が馬から降り、俺の前に立つ。

 彼女は鋭い視線で俺を射抜いたが、その直後、俺の背後に控える面々を見て絶句した。

「……精霊イヴ!? それに、行方不明になっていた神聖国のセレスティア聖女!? なぜ、貴女たちがここに……!」

「私はアルス様の管理人です」

「私は、アルス様の……ええと、花嫁修業中の身です!」

「はなよめ……っ!?」

 アイリス王女の顔が驚愕で引き攣る。

 だが、彼女の驚きはそれだけでは終わらなかった。

 俺が「立ち話もなんだし、中へどうぞ。ちょうど茶を淹れようと思っていたんだ」と勧めたからだ。

 案内した応接間で、俺は【再構築】で作り出した『古代龍の鱗を加工したティーカップ』に、世界樹の葉から作ったお茶を注ぐ。

「……なっ、この茶……! 一口飲んだだけで、長年の修練で傷ついていた魔力回路が完全に修復されていく!? それにこの器、国宝級の魔導具ではないか!」

「ああ、その辺に落ちてた素材をちょっと組み替えただけだから、気にしないでくれ」

「そんなわけがあるか! 貴殿……アルスと言ったか。貴殿は自分が何をしたか分かっているのか!? この場所、この資源……一つあるだけで、戦争を終わらせ、国を千年の繁栄に導くほどの価値があるのだぞ!」

 アイリス王女が身を乗り出して叫ぶ。

 彼女の目には、驚きを通り越して、俺への「強烈な興味」と、少しの「羨望」が混じっていた。

「私は父王から、この地の主を王都へ連行するよう命じられてきた。だが……」

 彼女は自分の手の中の、極上のお茶を見つめて溜息をついた。

「これほど豊かで平和な場所から、誰が貴殿を引き剥がせるというのだ。……アルス、一つ提案がある。私は『調査』という名目で、しばらくここに滞在させてもらえないだろうか?」

『アイリス王女が「居候」として加わりたそうにこちらを見ています』

『拠点の治安レベルが「国家公認」へと上昇しました』

 どうやら俺の聖域は、王女様までも虜にしてしまったらしい。

第6話をお読みいただきありがとうございました!

ついに王女アイリスが登場しました。彼女もまた、アルスの無自覚チートに振り回されるヒロインの一人になりそうですね。

次回、「王女様、世界樹の温泉を体験して陥落する」。

拠点はさらに賑やかになり、アルスの「鑑定士」としてのスキルも、国の命運を左右するレベルで活用され始めます。

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