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第4話:聖女様、聖域の虜になる

第4話です!

倒れ伏した聖女セレスティア。彼女を救うためにアルスが取った行動は、またしても常識外れなものでした。

そして、彼女を追ってきた不届き者たちには、世界樹の洗礼が待っています。

「……んっ……ここは……天界、なのですか?」

 聖女セレスティアが目を覚ますと、そこは柔らかな光に包まれた見たこともないほど豪華な寝室だった。

 いや、正確には寝室ではない。巨大な木のうろの中に、最高級の寝具としつらえが整えられた、不思議な空間だ。

「気がついたか。気分はどうだ?」

 声をかけると、彼女は弾かれたように起き上がろうとして――自分の体が驚くほど軽いことに目を見開いた。

「傷が、消えている……? 猛毒に侵され、魔力回路も焼き切れていたはずなのに。それに、この溢れるような魔力は一体……」

「その温泉に入れたあと、世界樹の実を絞ったジュースを飲ませたんだ。……あ、一応言っておくけど、服は精霊のイヴに着替えさせたから安心してくれ」

 横で控えていた銀髪のイヴが「失礼のないよう努めました」と一礼する。

「世界樹……!? まさか、お伽話の伝説が実在するなんて。それにこのお湯、神聖国の最奥にある聖杯の泉よりも清らかな神気が漂っています……。貴方は、一体何者なのですか?」

 セレスティアの潤んだ瞳が俺を見つめる。

 俺はただの追放された鑑定士だと言いかけたその時、イヴが冷ややかに視線を森の境界へと向けた。

「主様。空気を読まない羽虫が紛れ込んだようです。排除しますか?」

 ――ガサガサッ!

 森の茂みを切り裂いて現れたのは、黒装束に身を包んだ五人の男たち。

 Sランク暗殺ギルド『黒い蛇』。その手には毒が塗られた禍々しい短剣が握られていた。

「ほう……。こんな森の奥に、これほどの上玉と隠れ家があったとはな」

「聖女セレスティア。大人しく来てもらおう。そこの男は――死ね」

 リーダー格の男が、目にも止まらぬ速さで投擲ナイフを放つ。

 セレスティアが「危ない!」と叫ぶよりも早く、俺は無意識に手をかざしていた。

「【再構築】」

 パキィィィン!

 放たれたナイフは俺に触れる直前、空中でバラバラの「砂」に変わった。

「な……!? 何をした!?」

「悪いが、ここは俺の『聖域』なんだ。俺が許可しない『害意』は、この場所では形を保てない」

 俺の言葉に呼応するように、世界樹の枝がざわめく。

 

「イヴ。あとは任せていいか?」

「御意、主様。……貴方たち、我が主の湯浴みを邪魔した罪、その命で償っていただきますね」

 イヴが指先を軽く振る。

 ただそれだけで、周囲の空間が圧縮され、Sランク暗殺者たちは悲鳴を上げる暇もなく地面に叩きつけられた。

 世界樹の根が蛇のように伸び、彼らの魔力と意識を根こそぎ奪い去っていく。

「ひ、ひぃぃっ! 化け物だ! 逃げ――」

 逃げようとした彼らの足元で、ただの草花が鋼鉄以上の硬度を持ち、彼らを縛り上げた。

 わずか数秒。王国を震え上がらせる暗殺集団が、文字通り「肥料」へと変えられた瞬間だった。

「……すごすぎる。伝説の聖女と呼ばれた私ですら、これほどの奇跡は……」

 セレスティアは呆然と立ち尽くしていたが、やがて頬を赤らめ、俺の服の裾をぎゅっと掴んできた。

「あの……アルス様。私、行く宛てがないのです。……ここに、置いてくださらないでしょうか? お掃除でも、お洗濯でも、何でもいたしますから!」

『セレスティアが仲間に加わりました』

『聖域の守り(聖女の祈り)が発動。拠点の防御力がさらに上昇します』

 ……どうやら、スローライフの拠点がますます賑やかになりそうだ。

第4話をお読みいただきありがとうございました!

最強の護衛イヴに加え、癒やしの聖女セレスティアまで居座ることになったアルスの聖域。

次回、そんなこととは露知らず、ボロボロになった元パーティが「やっぱりアルスを連れ戻そう」と勝手なことを言い始めます。

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