第29話:聖教国の偽聖女と、本物の光
第28話では、エルフの里を空中から救い、苗木を一瞬で大樹へと作り変えたアルス。
次なる目的地は、大陸の信仰の中心地『聖教国ルミナリス』。
そこはセレスティアを「無能」として追放した場所であり、今は「深淵の使徒」の影響で腐敗しきっていました。
「本物の聖女」を連れた空飛ぶ都市が、偽りの聖域を上空から見下ろします。
「……見えてきました、主様。あれが私の故郷……そして、私を捨てた国です」
天空要塞アルスガルドの艦橋。セレスティアが、少しだけ寂しそうに雲の下を指差した。
眼下には、白亜の塔が並ぶ美しい都市。……だが、アルスの【鑑定】には、その美しさの裏側がドロドロの黒い霧として映っていた。
「……真っ黒だね。建物の地下に、巨大な『魔力の吸い出し口』がある。セレスティア、君を追い出したのは、君の清浄な魔力が邪魔だったからだろうな」
「え……?」
「【再構築】で、あの国の『偽りの光』を剥ぎ取ってあげよう」
◆
聖教国の大聖堂。
そこでは、新しい「聖女」を自称する女と、強欲な司教たちが、民衆から魔力を吸い上げる儀式を行っていた。
「さあ、跪きなさい! この私こそが神の代弁者。……って、何!? 空が、暗くなった……!?」
突如、大聖堂のステンドグラスを突き破るほどの轟音が響いた。
見上げた民衆が見たのは、雲を割って現れた**「天空に浮かぶ黄金の森」**だった。
「ひ、光の神が降臨されたぞぉぉ!!」
民衆が叫ぶ中、アルスガルドの底部から一本の光の柱が降り、アルスとセレスティアがゆっくりと舞い降りた。
「な、何者だ貴様ら! この聖域を汚す不届き者め! 衛兵、捕らえよ!」
司教が叫ぶが、セレスティアが前に出た瞬間、大聖堂に安置されていた「聖なる遺物」たちが一斉に共鳴し、眩い光を放ち始めた。
「……なっ!? 遺物が、かつてないほどに輝いている!? ……ま、まさか、追放したはずのセレスティアか!?」
「お久しぶりです、司教様。……そして、この国に蔓延る『深淵』を、私の主様が掃除しに来ました」
アルスが、大聖堂の床に手を当てる。
「【概念再構築】――浄化:『腐敗した教義』から『真実の救済』へ」
ドォォォォォォォンッ!!
アルスの手から放たれた白銀の波動が、聖教国全体を包み込んだ。
地下に隠されていた魔力吸収装置は粉々に砕け散り、司教たちが纏っていた「偽りの聖衣」は、ただのボロ布へと再構築された。
「ぎゃああああ! 私の力が、権威がぁぁ!!」
逆に、虐げられていた民衆の病や怪我は一瞬で完治し、街全体が「本物の神聖な空気」に満たされる。
『聖教国のバグを修正しました』
『称号【真なる救世主】を獲得。信徒たちがアルスを神として拝み始めました』
「あ、神様じゃないから、みんな立って。……それよりセレスティア、この大聖堂、ちょっと古臭いから、カフェ併設の『図書館』に作り直してもいいかな?」
「ふふ、主様らしいですね。ぜひお願いします」
こうして、大陸最強の宗教国家は、アルスの一撃によって「超高機能なリラクゼーション都市」へと再構築されたのであった。
第29話をお読みいただきありがとうございました!
偽物の聖女を、本物の聖女とアルスのチートで圧倒する「ざまぁ」回でした。
教会の地下にバグがあるという設定、なろうっぽくて良いですね。
次回、第30話。第2章の完結回!「聖教国を救ったアルスのもとに、世界中から『国王』たちが集結。……ついに『世界樹同盟』が発足し、アルスが世界の頂点(無自覚)に立つ!」。
お楽しみに!




