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『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

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第25話:強欲商人と、金に興味のない管理者

第24話では、魔王軍の拠点がまさかの「超高級温泉リゾート」へと変貌しました。

この噂を聞きつけ、鼻を利かせたハイエナたちが動きます。

「辺境の小娘や若造を丸め込んで、利権を独占してやる」

そう息巻いてやってきた大陸最大の商業ギルド『黄金の天秤』の会頭。

彼を待ち受けていたのは、金銭感覚の「次元の壁」でした。

「ふん、ここが噂の『聖域』か。成金趣味の派手な門構えだが、所詮は田舎者の集まりよ」

 聖域都市の正門に、これ見よがしに宝石を散りばめた馬車が到着した。

 降りてきたのは、大陸中の物流を握る男、ボガード会頭。

 彼は、アルスガルドの「独占販売権」を手に入れ、暴利を貪るつもりでやってきた。

「……主様。また、嫌な匂いのするおじさんが来ましたね」

 イヴが鼻をつまみながら、俺に報告する。

 俺はギルドの執務室で、ボガードと対面した。

「アルス殿と言ったかな。単刀直入に言おう。この街の『黄金の林檎』や『温泉の利用権』を、我がギルドが年間金貨一万枚で買い取ってやろうじゃないか。……どうだ、一生遊んで暮らせる額だぞ?」

 ボガードは、勝ち誇った顔で契約書を突き出した。

 金貨一万枚。一国の軍隊を動かせるほどの大金だ。……だが。

「……金貨、ですか」

 俺は【鑑定】を発動し、彼が持ってきた金貨の束を見た。

『名称:王国の金貨(純度80%)』

『評価:不純物多し。魔導素材としての価値は「石ころ」と同等』

「すみません、会頭。うちでは、その金貨……あんまり必要ないんです」

「な、なんだと!? 金が要らないというのか!? 謙遜も大概にしろ!」

「いえ、本当に。……ほら、あそこの門の装飾に使ってるの、それより純度の高い『神金オリハルコン』なんです。……アイリス、ちょっとあれ見せてあげて」

 アイリス王女が、腰の剣(バルカン製)を抜いた。

 その鞘には、ボガードの金貨が霞むほど眩い、最高純度の黄金が装飾として使われていた。

「この鞘だけで、君が提示した金貨十万枚分くらいの価値はあるな」

「……な、ななな……っ!?」

 ボガードの顔が、みるみるうちに青ざめていく。

 さらに俺は、机の上の「ペーパーウェイト(重石)」として使っていた塊を差し出した。

「これ、昨日ルルが魔法の練習で余った魔力を結晶化させた『極大魔石』なんですけど。……これ一個で、王国の国家予算三回分くらいって、セレスティアが言ってました」

「こ、国家予算……三回分……っ!!?」

 ボガードの商売人としての脳が、オーバーヒートして煙を吹き始めた。

 彼が「一生遊んで暮らせる」と豪語した大金は、アルスにとっては「処分に困るゴミ」と同等だったのだ。

「……はは、ははは……。私は、何を買いに来たんだ……。神の庭を、小銭で買おうとしていたのか……」

 ボガードは、持ってきた金貨の袋を抱えたまま、その場に力なく崩れ落ちた。

『商業ギルドのトップが「聖域の圧倒的資本力」に敗北しました』

『都市ランクが「経済の心臓部」へ到達。大陸の金利がアルスの気分次第で決まるようになりました』

「主様。彼、ショックで廃人になりそうですね。……せっかくですから、うちの『温泉』の掃除係として雇ってあげたらどうですか?」

「そうだね。……会頭、うちの温泉、一回の入浴料は『金貨ではなく、面白い話一つ』ですよ。……働いてみますか?」

 こうして、大陸一の富豪だった男は、アルスの下で「風呂場のタイル磨き」として、第二の人生を歩むことになった。

第25話をお読みいただきありがとうございました!

「金で買えないものはない」と信じていた商人が、アルスの圧倒的な資産というかゴミを前に崩壊する回でした。

もはやアルスガルドの通貨は、金貨ではなく「徳」や「面白さ」になりつつあります。

次回、第26話。「ついに第2章クライマックス! 帝国の皇帝が、自ら降伏を申し出るためにやってくる。……が、そこに『深淵の使徒』の魔の手が忍び寄る!」。

物語は一気にシリアスな「世界の命運」編へと突入します。お楽しみに!

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