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『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

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第23話:ルルの初めてのおつかい、魔王軍を消し飛ばす

第22話では、魔力制御不能の「欠陥品」と蔑まれていたルルを、アルスが「規格外の賢者候補」へと作り替えました。

今回は、アルスが「お散歩ついでに薬草を採ってきて」と頼んだだけの、平和な(はずの)おつかいのお話です。

……が、ルルが進んだ先には、密かに再起を狙う魔王軍の残党が潜んでいました。

「師匠! 行ってきます! 美味しい薬草、たくさん採ってきますね!」

 聖域の門の前で、ルルが新しい魔杖をギュッと抱きしめて跳ねる。

 アルスは、彼女に小さなお弁当と、これまた【再構築】で作った「絶対に汚れないポシェット」を持たせて送り出した。

「ああ、無理しなくていいよ。……あ、森の奥に『黒い変なトカゲ』とかがいたら、危ないから避けて通るんだよ」

「はい! わかりました!」

 ルルが鼻歌まじりにスキップで森へと消えていく。

 ……「黒い変なトカゲ」とは、アルスにとっての「ブラック・ドラゴン」のことなのだが、ルルはその教えを忠実に守るつもりだった。

     ◆

 数時間後。森の最深部、通称『暗黒の迷宮』付近。

 そこには、かつて世界を恐怖に陥れた魔王軍の生き残り、数千の魔族たちが再集結していた。

「ククク……。この拠点なら、あの世界樹の魔力も届かぬ。ここで力を蓄え、再び人間どもを――」

 魔族の幹部が演説をぶっていた、その時。

「あ、あった! アルス師匠が言ってた『七色ソウ』だ! ……ええと、これを摘むには……邪魔な雑草が多いなぁ」

 茂みから、ひょっこりと小さな少女が現れた。

 魔族たちは一瞬固まり、次の瞬間、下劣な笑い声を上げた。

「ヒャッハー! 間の抜けたガキが迷い込んできやがった! こいつを生贄にして――」

「……あの、おじさんたち。そこ、私が摘みたいお花の上ですよ。どいてくれませんか?」

「あぁん? 死にてぇのか! 食らえ、漆黒の斬撃――」

 魔族が剣を振り下ろそうとした、その刹那。

 ルルはアルスの教えを思い出した。

(『邪魔なものがあったら、優しく魔法でどかしなさい』って、師匠が言ってた!)

「えいっ。……【風のそよジェントル・ブリーズ】!」

 ルルが放ったのは、初級中の初級、生活魔法の「風」のはずだった。

 だが、アルスに【再構築】された彼女の魔力は、ただの「そよ風」を、空間を削り取る「次元の断層」へと変貌させた。

 ――ズドォォォォォォォォンッ!!

 一閃。

 魔王軍の強固な砦、数千の兵、そして背後の巨大な山脈が、文字通り「消滅」した。

 そこには、扇状に広がる、何も存在しない広大な更地だけが残されていた。

「……あ。……ちょっと、やりすぎちゃったかな? 師匠に怒られるかも……」

 ルルは、唯一生き残って震え上がっている魔族幹部(腰を抜かして動けない)を「動く看板」代わりに使い、お目当ての七色ソウを丁寧に摘み取った。

     ◆

 夕暮れ時。聖域。

「師匠! ただいま戻りました! 薬草、採ってきましたよ!」

「おかえり、ルル。……おや、なんだか遠くの方で大きな音がした気がしたけど、大丈夫だった?」

「はい! ちょっと大きな雑草があったので、風でお掃除しました!」

 ルルが満面の笑みで差し出した薬草。

 それと一緒に、なぜか「魔王軍の軍旗(の燃えカス)」が混ざっていたが、アルスは「珍しい布だな」としか思わなかった。

『弟子のルルが、隠密勢力「魔王軍残党」を無自覚に壊滅させました』

『世界の脅威度が10%低下。聖域の「平和度」がランクアップしました』

「ふふ、ルルちゃん、いい子ですね。……でもアルス様、あの子の魔力、もう私を超えてませんか?」

 セレスティアが引きつった笑顔で呟く。

 こうして、世界を再び混沌に陥れるはずだった魔王軍の野望は、一人の少女の「おつかい」によって、歴史の闇に葬られたのであった。

第23話をお読みいただきありがとうございました!

「お掃除」感覚で魔王軍を消滅させるルル……師匠譲りの規格外っぷりですね。

もはやアルス一人でなく、その弟子までもが世界のバランスを崩し始めています。

次回、第24話。「壊滅した魔王軍の拠点跡に、なぜか『温泉』が湧き出す。……聖域の飛び地リゾート計画始動!」。

お楽しみに!

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