表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/34

第19話:帝国の呪いは最高の肥料

第18話では、帝国最強の戦乙女フレアが朝食の美味しさに敗北し、仲間に(?)加わりました。

三万の軍勢を失い、将軍まで奪われた帝国は、ついに正気を失います。

「物理が効かないなら、呪いだ!」

放たれた大陸最悪の呪いに対し、アルスの【再構築】が唸ります。

「……主様。空の色が変わりました。帝国の魔導師団が、禁忌の儀式を強行したようです」

 イヴが空を指差す。

 聖域の美しい青空を侵食するように、どす黒い雲が渦を巻き、禍々しい紫の雷鳴が轟いていた。

『極大禁忌魔法:死を招くデス・クラウド

 それは、触れるものすべての命を吸い尽くし、土地を千年腐らせるという、帝国の最終兵器。

 かつて一つの小国を一夜で「死の国」に変えたとされる、最悪の呪いだ。

「ひ、ひぃぃっ! あの雲は……! 帝国が本当にやりやがった! 逃げてくださいアルス様、あれに触れたら魂ごと腐り落ちます!」

 元スパイのカレンが顔を青くして叫ぶ。

 だが、アルスは動じない。それどころか、その「死の霧」をじっと見つめて……少し嬉しそうに呟いた。

「……なるほど。あれ、すごい密度の『高純度魔力』が詰まってるんだな。……ちょうど良かった、最近、畑の元気がなくて困ってたんだ」

「は……? はたけ……?」

 アルスは世界樹の梢に手をかざした。

 

「【広域再構築エリア・リ・コンストラクト】――属性変換:『死』から『生命』へ」

 パキィィィィィィン!!

 空気が割れるような音が響き、アルスの手から放たれた白銀の光が、押し寄せる紫の霧を包み込んだ。

 瞬間。

 毒々しい紫の雲は、一瞬にして黄金色に輝く「光の粉」へと分解され、聖域全体に優しく降り注ぎ始めた。

『禁忌魔法を分解・再構築しました』

『名称:世界樹の特製肥料(神話級)』

『効果:植物の成長速度を1000倍にし、果実の魔力含有量を極大化させる』

 光の粉を浴びた畑の野菜が、見る間に巨大化し、瑞々しく輝き出す。

 枯れかけていた薬草は花を咲かせ、世界樹はさらに一回り大きく成長した。

「……あ、ありえない。帝国の最終兵器が、ただの『肥料』にされた……?」

 フレアが呆然と呟く。

 彼女たちの常識では、あの魔法は防ぐことすら不可能なはずだった。それを、資源として活用するなど、もはや理解の範疇を超えている。

「よし、これで今年の収穫は安泰だな。……あ、カレン、フレア。あのお礼に、帝国に『お返し』を送っておこうか」

「お、お返し、ですか……?(また掃除機で吸うのか?)」

「いや、向こうも魔力を使い果たして疲れてるだろうし。……これでも送ってやろう」

 アルスが【再構築】で作り出したのは、黄金の林檎をたっぷり使った、とびきり甘い『聖域特製ジャム』。

 それを、自動防衛ゴーレム・アークの投擲機能を使って、帝国の王宮へ向かって正確に射出した。

     ◆

 数分後。軍事帝国ヴォルガ。

 

 魔力を使い果たして息も絶え絶えの魔導師たちと、絶望に沈む皇帝の前に――。

 ドゴォォォォォン!! と凄まじい音と共に、一つの巨大な木箱が突き刺さった。

「な、なんだ!? 爆弾か!? 聖域の報復か!?」

 恐る恐る箱を開けた皇帝が見たのは……。

 一通の手紙と、眩いばかりに輝くジャムの瓶だった。

『呪いの霧、美味しかったです。肥料として役立てました。お礼に、このジャムを食べて落ち着いてください。――アルスより』

「………………ぐふっ」

 皇帝はあまりの屈辱と、そして一口舐めてしまったジャムの「抗えない美味しさ」に、その場で気絶した。

 帝国の戦意は、文字通り「甘く」溶かされてしまったのである。

第19話をお読みいただきありがとうございました!

禁忌魔法を肥料に変えるという、アルスらしい平和(?)な解決策でした。

「お返し」のジャムが、帝国の心臓部に止めを刺した形ですね。

次回、第20話。第2章の節目です。「聖域都市に、ついに『冒険者ギルド・聖域支部』が誕生。……そして、アルスに憧れる新米冒険者たちが大挙して押し寄せる!」。

拠点がさらに賑やかになります! お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ