第1話:Sランクパーティからの追放と、真の力
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「鑑定士なんて誰でもなれる」……そう言われて捨てられた男が、実は世界を揺るがす存在だった。そんな物語をお楽しみください。
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「アルス、貴様はクビだ。今すぐこのパーティから消え失せろ」
迷宮都市ゼノスの高級宿舎。
金色の装飾が施された円卓を囲むのは、王国最強と謳われるSランクパーティ『獅子の咆哮』の面々だ。
リーダーの重戦士ガイルが、汚物を見るような目で俺を睨みつけていた。
「……クビ? 本気か、ガイル。俺がいなくなったら、装備のメンテナンスや魔石の選別はどうするんだ?」
「黙れ、無能が! 貴様の【鑑定】など、そこら辺の道具屋の親父でもできる。我々が命懸けで手に入れた戦利品を、ただ眺めてランク付けするだけで報酬の二割を持っていく……。そんな寄生虫を飼っておく余裕は、もう我々にはないんだよ」
ガイルの言葉に、隣に座る魔導師のルナがクスクスと下卑た笑いを漏らす。
「そうよアルス。あなたの鑑定結果、最近なんだかおかしいのよね? 『この剣はもうすぐ折れる』とか『この防具は呪われている』とか……。実際にはピンピンしてるじゃない。嘘をついて恩を売ろうとするなんて、浅ましいわ」
「それは……、俺の鑑定スキルに【予兆視】が混ざり始めているからで……」
「言い訳は見苦しいぞ!」
ガイルが机を叩く。その衝撃で、俺が丹精込めて手入れしていた彼の愛剣が微かに震えた。
俺には見える。その剣の内部に走る無数の亀裂が。
「いいか、これは決定事項だ。幸い、新しく『聖騎士』のジョブを持つ有望な新人が入ることになってな。鑑定しか能のないゴミ箱係の居場所はない」
……そうか。もう何を言っても無駄なようだ。
俺はこの三年間、彼らの装備を最高の状態に保つために、鑑定スキルを限界まで酷使してきた。だが、彼らにとってそれは「当たり前」であり、俺のスキルは「誰でも代用がきくもの」に成り下がっていたらしい。
「わかった。……今まで世話になったな」
「フン、せいぜい野垂れ死ぬがいい。あ、そのカバンの中身は置いていけよ? それはパーティの共有財産だ」
俺は背負っていた古びた革袋を床に置いた。
中には、彼らが「ゴミ」として捨てようとしていた、用途不明のガラクタや枯れかけた植物の種が入っている。
「……これだけは持っていかせてくれ。お前たちには価値のないものだろう?」
「ハッ、そんな枯れ草か! 似合いだな、敗残兵には。持っていけ、二度と面を見せるなよ!」
俺は宿舎を後にした。
背後からは「ようやく清々したぜ!」「今夜は祝杯よ!」という笑い声が聞こえてくる。
……あいつらは知らないんだ。
俺の【鑑定】が、実は進化を遂げていたことを。
街の外れ、夕闇に包まれた森の入り口で、俺は革袋から一粒の「枯れた種」を取り出した。
『鑑定:世界樹の心臓(封印状態)』
『詳細:万物の母なる大樹の核。魔力が枯渇し、死に瀕している』
普通の鑑定士なら「ただのゴミ」と断じるだろう。
だが、今の俺にはその先が見える。
「……【再構築】」
俺が種に手をかざすと、手のひらから溢れ出した白銀の魔力が種に吸い込まれていく。
瞬間、周囲の空間が震えた。
『条件を達成しました。固有スキル【世界樹の管理者】が覚醒します』
『周囲一帯を「聖域」として登録。支配権をユーザー:アルスに移譲します』
地面から凄まじい勢いで芽が吹き出し、みるみるうちに巨大な大樹へと成長していく。
それは天を突くほどに高く、周囲には見たこともないほど濃密な魔力が霧となって立ち込めた。
「これは……」
大樹の根元から、一人の少女が形作られるように現れた。
透き通るような銀髪に、尖った耳。
「……目覚めさせてくれたのは、貴方ですか? 我が主」
彼女は跪き、俺の手を取った。
どうやら、俺を追い出したSランクパーティが、俺を連れ戻しに必死の形相でやってくるのは……もう少し先の話になりそうだ。
第1話をお読みいただきありがとうございました!
ついに覚醒したアルスの能力。これからこの「世界樹」を中心に、最強の拠点作りが始まります。
次回、「追放された翌日、元パーティの剣が全部折れる」。
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