3番目の箱
懐かしさとは
春夏秋冬をシャットアウトした先の哀愁だ
窓がない
人工的な箱にすらやどる感傷だ
おいしい じゃない ねむい じゃない
でも甘くてぼんやりする
いつでも一人きりになれる考えごとだ
そこにいくつか箱がある
開けてみればなにやら入っている
―割れたコップ 靴 ケルト音楽
そのとき人は思い出す
ガムのことを
あるいは注射のことを
誰かと話し 共感し合える物事とはまるで違った
今は再生できない
うしろめたい気もちだろうか
心には見ようとしなければ見えない箱が
たくさんある
つかれたら掘り出してみよう
3番目の箱からはマネキンが出てきて
意外にもペンとして使えた




