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2 ただひたすらに
そこには一台のロボットと一人の少年がいた。
少年は多くのことを話した。
今日あったことから将来の夢までも
返答は無かった。
なぜならそれは、ただの家事ロボットであったから。
人工知能といえど、心はなかった。
しかし、青年は話した。
両親を失ってからの6年間。
そこに何の意味があったのだろうか、
それは理解できなかった。
そして青年は家を離れた。
しかし捨てたわけではない、ただ前に進んだのだ。
わかっていたのだ
縋っていたことを
わかっていたのだ
ただ足踏みしているだけであることを
電源の切れていないそれは、ただ窓の外にレンズを向けた。
そこに何の意味があったのだろうか。
しかし、理解できなくとも止めることはなかった。
それは求めたのだ
星とは何なのかを
それは求めたのだ
なぜ惹かれるのかを
彼は覚えていたのだ
光り輝くあの眼を
ただひたすらに、彼は 星宙 を観た。