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神様の愛編-2

 翌日。


 昼過ぎ、私は牧師館の中にある書斎に向かっていた。

 本来は隆さんの書斎でもあったが、今は牧師さんの本や資料を置いたり、ちょっとした面談をする場所になっていた。


「志乃さん、まあ、お茶でも飲みながら話しましょう」

「はい」


 書斎にある小さなちゃぶ台に向かう様に座り、お茶を飲みながらインキュバスの件を全て話した。


 てっきり注意されるものかと思ったが、意外と牧師さんは労ってくれた。


「それは大変でしたね」

「反省しています……」

「まあ、悪霊の攻撃は弱い女性に向かう事も多いですからね。気をつけてください」

「はい。牧師さんは私を叱らないんですか?」


 牧師さんはちょっと考えるように間を開けてゆっくり答えた。


「志乃さんはもう隆の奥さんでしょ。妻は夫に従いなさい。それだけです」

「そうですね」


 聖書に妻は夫に従うように言っている意味がわかってきた。女性は感情的で、私もその傾向が強い。感情的に騒ぎ立ててもろくな結果ならない。冷静に論理的に導いてくれる男性に従うべきだと思った。それは女が悪いとか下という意味ではなく、役割が違うだけだ。神様から見れば男も女も平等だ。その事を牧師さんに話すと深く納得してくれた。


「男性は女性を導かなければならないという役割があるので、実は大変です。責任ありますよ」


 牧師さんは深くため息をつく。牧師さんの奥さんはもう病気で亡くなっている。隆さんもこの事はあまり話したがたらないので、詳しく聞いたことはなかった。それに私は男性の苦労について想像力が足りなかった。戦争になれば真っ先に戦わなければならないし、女より責任が重い。そう思うと、今回の事はより悔い改めなければならない事だとも思い始めていた。


「男性はね、仕事も大変ですよ。外に出れば何人も敵がいますし」

「牧師さんにも敵がいるの?」

「いますよ。クリスチャンは基本的に戦争は反対でしょ。前の世界大戦の時は非国民だと言われて、かなりの嫌がらせも合いました。死んだ妻にも心労をかけました……」


 初耳だった。今は平和に教会を運営しているものだと思っていたので、牧師さんの苦労も目に見えなかった。


「もともとアダムも罪を犯したので、人間は苦労して糧を得なければならなくなりましたしね」

「創世記3章に書いてあるわね。女性は子供を産む時の苦しみを与えられた」

「ええ。でもこれも神様の愛ですよ。だからこそ神様の有り難みがよくわかるというか」


 牧師さんの言葉に深く頷く。


「そうですね。神様は愛ですね。聖書にも書いてあります」

「死んでくださってまで愛を示してくれた神様は他に居ません」

「ええ」


 両親が生きていた頃は神社や寺にも行っていたが、そこの神様が死んでまで愛を示した事は聞いた事はない。隆さんによれば、そこで崇められている神様っぽいものも聖書で書かれている悪魔か悪霊だという。だとしたら人間の事なんて愛しているわけがない。もちろんイエス様の様に死んで愛を示す事もできなだろう。


「志乃さんはイエス様が十字架で亡くなった後、どこに居たかわかります?」

「黄泉ではないの?」


 聖書には黄泉と書いてあった記憶だ。


 でもこの黄泉の扱いについては、諸説あるようで意見が分かれる所らしい。宗派によっては死んでから悔い改めても救われるとか、人類は全員もう救われていると教えている教会もあるらしい。


「イエス様が死んだ後に行かれた場所は、地獄ですよ」

「え、本当?」


 牧師さんは書斎から英語の聖書や他の色々の資料を見せながら説明してくれた。正直とても難しく、ついていけない話であったが、聖書でイエス様が亡くなる直前に言った言葉を総合すると、地獄に行った可能性が高いという。


「そう……。こんな罪深い私の為に地獄に行かれたのね……」


 その事を思うと、胸が一杯になり涙も自然と溢れていた。

 牧師さんも、深く頷きこう言った。


「だから、もう私達は悪魔や死の奴隷じゃありません。永遠の命がいただけます……」


 涙を拭きながら、私は深く頷いた。泣いているのに気持ちは暖かいもので溢れていた。神様の愛を感じていた。

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