殺人禁止法
ある日この国にひとつの新しい法律が生まれた。それは殺人禁止法だ。
新聞やネットニュースでは大騒ぎになり、議論が最も過熱したのはSNSであった
《殺人が禁止されるのはいいことやん政府もたまにはいい仕事すんな笑》
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《殺人が悪いこととされたのは戦後占領された際に植え付けられた概念であり本来は自由であるべきだ》
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《いや笑、人殺すのは悪いことでしょ笑》
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《やむなく殺人を犯す職業もあると思います!その方たちまで悪者扱いするのはその方々の人権を侵害しているのでは!?》
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《論点ずらすのやめて貰えません?そういう話してないんで》
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《殺人禁止なんて有り得ません!!殺人禁止法反対!》
《刃物を振り回す凶悪犯がいたとして警察が銃を発砲する時に殺人禁止法が頭を過り躊躇う、するとどうなるか?被害が拡大しますよね?こんな法律認めちゃこの国は終わりますね》
《殺人禁止法に反対してるヤツおるとかまじ?w人殺したいだけちゃうん?やばぁ》
《殺人禁止法反対!殺人禁止法反対!》
《みなさん、こんな法律認めちゃダメですよ。今こそ立ち上がるときです下記のサイトから署名を集めていますのでどうかよろしくお願いします。私たちで国の暴走を停めましょう》
《デモの人員募集中ですDMください》
《殺人禁止法に賛成するもの、反対するもの、静観するもの3つの陣営に別れた》
《殺人禁止法に反対してるヤツらってなんなん?やばない?》
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《ああいう人たちってどんな法律できてもどうせ文句言ってそうw》
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《それはある》
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《そもそも殺人が悪というのは人間の本能である闘争を抑止するという観点から見ても、おかしい概念。人間は生まれ持って自由であるべきだ》
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《わざわざ捨て垢作ってまでリプするとかこわブロックしたわ》
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《あたおかこえ〜》
《ネットデモは20時からです!皆さん #殺人禁止法に反対します のハッシュタグを付けてぜひ参加してください!》
《#殺人禁止法に反対します》
《#殺人禁止法に反対します》
《#殺人禁止法に反対します》
《警官、自衛官に人権を! #殺人禁止法に反対します》
《人の本質をゆがめる悪法である! #殺人禁止法に反対します》
《デモ募集用のサブ垢作りました、連絡しますので参加希望の人はフォローお願いします。 #殺人禁止法に反対します》
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《応援してます! #殺禁反対》
「それでは中継が繋がっていますので向こうの様子を聞いいきましょう。現場は怒鳴っていますでしょうか?」
「こちら議事堂上空のヘリです!多くのデモ参加者が集まっていて交差点は車が一切通れない状態となっています!」
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「私たちは殺人禁止法に反対します。今すぐ取り下げてください。私たちは政府の暴走を止めるためにここにいます。全国民の意志を代弁するためここに立っています。」
「政府の暴走を許すな!」
「「「許すな!」」」
「悪法成立を止めろ!」
「「「止めろ!」」」
「やむなき殺人に権利を!」
「「「権利を!」」」
「殺人合法化!」
「「「殺人合法化!」」」
《私は国民の皆様の意志を胸に首相に直訴するつもりです。やむなき殺人に権利を!ここに殺人合法化を約束しましょう》
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《応援してます!》
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《頑張ってください!》
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《殺人禁止反対!合法化賛成!》
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《悪法を是とする腐った連中に誅を下してやってください》
《やっぱり信用できるわあの人》
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《私も彼ならやってくれると信じてました!》
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《国の上に立つのはあの人しかいないですよね!》
「殺人を禁止するというのは殺人が行えなくなってしまうということです。
つまりやむを得ず殺人を犯す可能性のある職業の方々は等しく罰せられてしまうということ、こんなことが認められてしまっていいのでしょうか?
そして問題はそれだけではありません。状況によりやむを得ず殺人を犯してしまった場合、つまり虐待されていた子供が誤って反撃した場合これも罪になってしまう。
こんなことが許されるのでしょうか?
私はここに殺人合法化を提案致します
殺人に権利を、人は理性を持った生き物です。立って歩き考え、今やこの巨大な星からも離れようとしている。そんな獣という枠組みから離れた今こそ闘争心、同じ種族を害するという本能を歪めてしまうこのような法があってはならないのです。」
官邸に直談判しに行った議員によるこの伝説の演説は後に教科書に全文が掲載されるようになった
(G4,A5,H4,G3,F5,J4,A5,H4,G3,G3,G4,H4,G3,I1,E3,G1,G3,G3,J2,G4,G4,F1,A5,I1,J5,D5,H2,B5,J2,F1)
□はいどうも〜
○はいどうも〜
□禁止法です!
○合法化です!
□2人合わせて!ダブルキルでーす
○いや君もやっちゃってるやないかワンキルやワンキル、コンビ名間違えんといて〜
□あーすいませんねぇどうも〜ワンキルです〜よろしくお願いしますー
○お願いしますー
□いや〜ということでね。最近俺運動にハマってんのよ
○ほう!運動!何してんの?ランニング?
□いや、夜に山まで行って穴掘ってまた埋めるっていう運動やねんけどな
○それ完全にやっちゃってるねぇ!証拠隠滅しようとしてるよねそれ!?
《まじぶっ飛んでるわw》
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《あれ放送できるテレビ局もヤバイよなww》
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《ほんそれ、ブラックジョークの域越してんであれ》
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《今からでも古参勢名乗っとこかな俺w》
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《まだ間に合うんちゃうwww》
禁止法か合法化か国民は真っ二つに割れた。
テレビや新聞では連日のように有識者や政治家が議論をくりひろげ週に3度は議事堂前でデモ活動が行われた。
禁止法派と合法化派の家族は意見の食い違いから離散し、企業のトップがどちらかの派閥に属する旨の発言をするともう一方の派閥の市民からその企業の店舗を襲撃されるという事件まで発生した
国民は国の未来を憂いた
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「首相、ご決断を」
「えぇ、分かっています」
(私が判断を下せないうちに国が荒み始めてしまった。しかしこの国を背負うものとして判断を謝ることは許されない…)
「首相、ご決断を!答えは二つに一つです!国民は待っているのですよ!」
(二つに一つ。禁止法か合法化か。どちらにしてももう一方の派閥の国民が黙っていないでしょうねぇ…)
「首相!」
(2つ…2つ…ふむぅ…)
「……至急、会見の準備をお願いします」
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#窃盗禁止法に反対します