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 それから数日後のことだ。

「フォスター様、大変です!」


 朝方、兵士に彼は起こされ。辺りが騒がしいことに気付いた。窓から外を覗くと、無数の松明がこの砦を取り囲みひしめき合っている。


「これはどういうことだ!? あれは一体、どこの軍の兵士達だッ?!」


 この突然の事態に驚きはしたが、動揺だけは何とか隠し、兵士を睨むようにして聞いたのだ。

 兵士の方は緊張からなのか、顔を強張らせ答える。

「そ、それが……ワイゼル将軍の軍のようで……」

「──何だとッ!!?」

 直ぐ様に鎧を着込み、私は砦の踊場へと向かう。そして砦の下の様子を覗い見た。

 そこにはワイゼル将軍直属の兵士六万が列を並べ、この砦を囲んでいる。その中に、ワイゼル自らの姿も見て取れた。

「ハァーッハッハッハ! フォスター! 観念せぇえーいッ!!

貴様に引導を渡してやりに来たわい!」

「ワイゼル! 貴様……なんのつもりだ!!」

「ハン☆ なんのつもりだぁあ~?

あの女神から聞いたぞ! お主、このワシの命をあの女神にくれてやると言ったそうだなぁ?」


 ──女神だとッ?


「……ハハ…なるほどな。そういう事か……あの、女狐め――!」

 瞬間驚いたが、直ぐに事態が飲み込めた。


 ふふ……そういう事か。大した策士だ、あの女め――!


 つまり我々は、あの女神に()められたのだ。これは見事としか言いようがない。

 それにしても相対する相手が悪い。よりにもよって、あの話し合いの通じない、ワイゼル将軍だ。こちらの話しなどもはや聞く耳も持たないだろう……。


 だが、無駄な死者をこれ以上増やす訳にもいかない。

 そういう使命感のようなものが、今のこの私を突き動かした。

「なんの話かわからんなー!」

「惚けるなッ!!」


(──チッ☆ やはりモノの()せぬ男だ)


「とにかく話し合いをしたい!」

「ふん! 怖じ気づいのかぁ? この根性無しめ!」

 私はそれを聞いて舌打し、顰めた表情をする。


 ああ言われてしまっては、部下達の手前、こちらも受けて立つ他に選択のしようがなくなるからだ。これだから猪突猛進な単細胞は扱いに困る。言った本人自ら、選択肢を狭くしているのにさえ、おそらくは気づいていないのだろう。


 ともかく、こうなれば仕方がないな。


 現在、フォスター直属の兵士八万の内、三万余りが国境付近のカスタトール将軍に従い。他四万が副官の下、《聖霊兵器》対策の防壁と新たな砦建設で出払っていた。

 つまりこの砦には、わずか五千の兵士しか残って居ない。


(……仕方ない。これでどうにか(しの)ぐ他ないか……)


「やむを得ない……急ぎ、砦を固めよ!」

「ハッ」


(結果的に……あの男とはこれで(たもと)を分かつことになった……な)


 私は今更ながらにもそう思い、その気持ちも引き締め。そして同時に、「まあ……自業自得だがね…」と自らに対し、蔑む気持ちを含ませそのように零していた。



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