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「──って訳よ!」


 紅潮気味に『パーラースワートローム伝記』と言う分厚い本を読み切ったあと、私はパタン☆と本を閉じ同時にそう言ったのだ。

 そんな私を見て、ヴィータとピム、それにアリサとオルトーが互いに顔を見合わせ肩なんか竦め見せている。


 あ~もう、なにさ! どうも反応が薄くて、面白味がないんだから参るわよ。もう少し何というかさぁ、それなりの反応くらいはあってもいいと思わない?

 そう思うでしょ?


「ねぇ、アーシャ。何が『──って訳』な訳?」

 ヴィータが呆れ顔にそう聞いてきた。

 私は余りの飲み込みの悪さに、うんざり顔をしたあとため息をついた。

「わかんないの? 普通、解るでしょ? こんなの常識でしょ!」

「だから何が普通なの?

 急に語り始めたかと思えば『――って訳!』じゃ、こちらとしては意味不明だし。このままだとただの変態にしか思えないわよ?」

 次にアリサがあからさまな不機嫌顔でそう言ってくる。


 どうやらこの場には、私の知性について来られる者が居ないらしいわね。

 まあ~それは仕方ないことだから、教えて上げることにしますか。

「要するに、これに書かれてある救世主ってぇ~のはぁ~《カリウス様》の事よ!」


「「「…………」」」


「な――……なによ? その無駄に長い沈黙は!?」

 随分と長い沈黙だったから、流石に不安になってしまった。


 コレは、なに? まさかもしかして、私の方が変な訳?? 


「だってそりゃあ……沈黙くらいするわよ。別にそんなの今さら驚かないし、改めて言う程のこと?」

「意義なーし」

「……ぅん」

 アリサが困り顔に呟き言い。ヴィータが続いてそうハッキリと言い。オルトーのバカたれが何のフォローもしないで頷きやがった。

 腹の立つ奴! オルトーって、こんな人でなしな奴だったっけ?


「だ――だな! だよな! オレもそう思うよ! わはは!!」

 遅れてピムのアホたれもがそう言い始め、しかも一人でウンウンと頷いてる。

 ピムの場合はどうせ、単によく分かってないだけなんだろうけどね?


 私はそんな調子のピムを呆れ顔に半眼に見て、こう言ってやる。

「バっカねー! これっていわば予言してんのよ! 凄いとか思わないの?」

「確かに凄いことなのかも知れないけど。だけどカリウス様は統治もしてないし。三百年よりも、随分と登場するのが早くなかった?」

 早い?

 あ――え? ちょっと待って!


 今年は確か、《パーラースワートローム歴314年》だっけ? 救世主カリウス様が現れたのが……えーと、今から70年くらい前だから~……ひぃふぅみぃのぉ~……。 


「……あ、あれ? おかしいな。計算が合わない……」

「〝合わない〟って……アーシャ」

「もしかして、オルトーから今言われるまで気付いてなかったっていう、落ち?」

「ハハ。まあいいじゃない、だってアーシャってさ。昔からどこか抜けたところがあるから、仕方がないよ。

なにせホラ、天然だしさ♪」


 て――天然って、なに!? 初耳だし!


 オルトーのバカ、さりげなく外面だけ良く言いたい放題なのがなんかムカついたので私は言い返してやることに決める。

「誰が間抜けな天然よっ! このバカ、オルトー!!」

「――ええ?! なんでそこでボクに来るんだよ??」

「アンタに言われるのがなんか一番、腹立つのよねー! そもそもアンタも大概が、大ぶりの天然者でしょうに?!」

「え? ボクも天然なのか? 今まで自覚なかったけど……」

 私だってアンタにいま言われるまで、自覚なかったわよ! どうしてくれるのよ?!


 ショックよ、もう泣きたい!!


 そんな中、アリサはポツリと零す。

「アーシャにオルトー……二人とも、なんだか凄く仲が良くて、羨ましいな」

「「――羨ましくなんかない!!」」

 そんな中、ヴィータはこの私からそれとなく《伝記書》を受け取ると、ある一節が書かれたページを開いていた。


 そこにはこう記されている。

『一光の時節が過ぎ、その種はやがて息吹出し。されど大戦が始まるその時。神の選びし者と、その神魔の輝きを(たずさ)えし者現れ。この地に、長い安寧の時代(とき)をもたらすであろう──』



 ……三百年後といえば、よくよく考えてみると丁度わたし達が生まれた頃なのよね。

 そう思うとさ。私たちの中の誰かが、なのか……それとも他の誰かがなのか、それは未だに分からないことなんだけど。でもね……これはあくまでも後になって解ってきたことなんだけど。

 アリサことアリサーヴェルジュ・ロイフォート・フォスターと。オルトー・オルシスの二人を、この大地の宗教母神パラ・フアームスウィートの像がもうこの頃から優しく見下ろしていた……気がしないでもない。


 今だからこそ、私にはそう思えてならないのだ──。



 『パーラースワートローム歴314年、アーシャ・ロゼンティーニ』




    『パラド=スフィア物語』

     ―フォスター―【完】




 最後までお付き合い頂きありがとう御座いました。感謝致します。

 

 この最後のシーンは、約300年後を描いた後続作品へと続くものですが・・・他サイトで公開してる作品なので正直いって意味はありません^^;


 アリサはフォスターの子孫で、オルトーは現地パーラースワートロームの王家だったカランの血統に繋がる人物となります。かつて、ある意味敵対していたそんな両家の出自である2人が出逢い、世代を超えた協力をもってやがて平和の礎を築き上げてゆく。

 そんな想定の下、描いたシーンなのですが。現在公開している作品は、まだ若干13歳の2人が出逢い戦争というものの怖さを僅か1日だけながら体験する、それだけのものです。


 いつか描き上げられたらなぁ、と思っております。ありがとうございました。




 《本作品との関連作品》


《パラド=スフィア物語①》-神秘の水-(超短編)

http://ncode.syosetu.com/n7444bz/


《パラド=スフィア物語③》-カルロス-(長編)

 http://ncode.syosetu.com/n6710bf/



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