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ガラクタ。  作者: ゆ~の
5月の挙式
9/9

キミに想い寄せていた、あの頃の記憶。

これも、ケータイ小説から。



「おはよう」



って、キミに言葉を紡ぐことさえも勇気が必要で。



その勇気を捻出することすら、多大なるエネルギーを消費する。



「おう、オハヨー!」



笑顔で返される毎朝、私の心は、爆発寸前。



「うわっ!?危ねっ」



キミの背中と偶然にも肩が触れてしまった時でさえ、体は凝固。



そんな自分に気がつくことすら、難しいほどのハプニング。



「ごめんなっ」



「……大丈夫?」



見えなくなったキミの背中に、ポツリと呟くの。



引っ込み思案だとか、内気だとか。



地味だとか。



そんな私の評価は、キミには指標にならなくて。



「なあ、消しゴム余分に持ってない?」



私を品定めするのは、キミは自身。



「あ、あるよっ」



「かしてくれ」



キミの手のひらに消しゴムをのせた私の指先はきっと、震えていたと思うのよ。



いぶかしそうなキミの顔を、今だって覚えてる。



そんなキミと、私の妹が、本日めでたく新たなスタート地点に寄り添って並んでいる。



純白のドレスに身を包んだ、泣き虫の彼女をどうかよろしく。



笑えるまでになった軌跡を振り返り、隣の斜め右を見上げれば、強くなった私の肩をポンと激励してくれた友人。



拍子に、ポロリと何かが零れ落ちた。



周囲から注がれる、おめでとうのシャワーが、最後の灯も消し去って。



祝福の涙が心を洗い流してくれる。



優しい風と、優しかったキミと、唯一無二の妹と。



広く澄んだ青空を見上げて、幸せで、泣き笑いになった5月の結婚式。







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