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壊された日
ヤンデレ?
視界には、アイツの顔と真っ白い天井。
いいよ、だなんて意思表示をした覚えは露ほどもない。
合意じゃなかった。
してないのに。
……それなのに。
「最、悪……っ」
無表情で私を見下ろすアイツの顔が、目頭の熱と共に歪む。
一滴、頬を伝った涙が合図となって嗚咽が漏れた。
「真帆」
名前を呼ぶ声が、まるで起爆剤のようになって、感情を掻き回す。
手首を捕まれたまま、拘束されて、額に唇を寄せられて、死にたくなった。
「……ヤ、だぁ」
痛い。
熱い。
身体も心も全部。
全部が狂ってる。
どうして?
なんで?
どうしてよ!?
死んでしまえばいいのに!?
死んでしまえばいい!?
死んでしまえばいい!!
死んでしまえっ!!
壊れたスピーカーみたいに、脳裏で再生される憤怒と理性。
まるで、瓦礫の下に埋もれたガラクタトーキードール。
「……愛してるんだ」
「死ね」
処女を失くしたあの日から、私はソファーと白が嫌いになった。
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