泡姫
永く降る雨
芯まで浸したいのに
唇に伝うの
身の穢れは溶けゆくよに
愛の絵空事の瀬に移ろうのは二つの影
刻む拍の振れ幅に差異が生まれ
やはりはままごと
泡に塗れて金に躍らされ
欲に溺れて運命に囚われる
桃色漂う街
揺らめいた灯りに酔う
人波にこの身を
委ねるよにただ待ち居る
愛の絵空事といえ面影拭い去れず
故も知らぬ彼の瞳に見出すのは
何時かの或の人
過去に破れて現実に身を置けずに
夢に焦がれて未来に光射せず
春に桜舞い散る頃に
夏に向日葵咲き誇る頃に
紅葉染まる秋
総て枯れゆく冬に
もう一度あなたに逢えたら
祈り混じりの詞紡ぎ出して
触れられずとも想い伝えさせて