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私は佐藤ナツ。大学一年生。身長は158センチ。体重は…リンゴ三つ分。幼少期のトラウマにて男性恐怖症、但し極度ではない。
生活は至って平凡。心霊体験無し。家庭環境良好。人と比べてやや真面目かも。容姿は普通、だと思いたい。つまりナルシストでは無い。友達は恐らく中の下程度の数。一番の仲は山岡トモエ。小学校からずっと仲良し。近所に小学校から一緒の男の子有り。名前は久ヶ峰リョウ。前述通り男性恐怖症の為、少女マンガ展開は無し。
そんな私が生まれて初めて、奇々怪々な体験をした。
いつも通りの朝、少しだるい身体を起こす。朝日は差し込み、小鳥が鳴いている。背を伸ばすとぽきぽき、とどこかの関節も鳴る。しぱしぱする目を擦り、ただ何となく目の前を見た。─天使。キューピット。見慣れない、白い二等身に羽の生えた、謎の天使がそこにいた。
人は余りに驚くと声が出ない、正にキョトン。妙に人形臭くない、血の通っているであろう頬。それでいてまるで人形な間抜け顔。なにこれ、キョトン。そんな私などお構いなしにその天使ちゃんはしゃべった。
「おめでとうと言うべきか、貴女は大罪の一人に選ばれました。この街には貴女の他に六人います。殺し合うも良し、協力し合うも良し。とにかく宝を手に入れろ、入れたら何でも叶うよ」
憎たらしい笑顔で淡々としゃべくる天使。そして決めゼリフ、質問は?、うん、無い。質問じゃなくて、今私は何も考えて、無い。
「返事が無い、イコール質問が無い、だね?ならば宜しい!後は頑張ってください」
それだけ言うと天使ちゃんはどこかへ消えました。私は頭が可笑しくなったのかと思った。夢では無い現実感。幻覚ではない現実感。