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初カノ

私、親友、好きじゃない

http://ncode.syosetu.com/n3152u/


これをお読みいただきますと、どうというわけではありませんが、親友の友紀視線になっております。


本編DESTINYをお読みの方は、ネタバレがありますのでご注意ください。

 一度さ、勇者になる前。

 その彼女と、友紀がこの部屋に来たんだ。友紀っていうのは、彼女の親友。トモハルも一緒で、四人で社会の研究文を作った。

 何故俺の家になったのか記憶がないが、小四の時だな。班が一緒になってさ、それをやることになったんだけど。緊張して出迎えた。

 いつもスカートなのにその時はジーパンで、ぴったりしてて、新鮮な印象を受けたんだ。

 ……そこに目が行った俺は、脚フェチなんだろーか。どーでもいいけど。

 おやつに、二人が好きなケーキ屋のケーキを買ってきてくれて甘すぎて文句を言いながら食べた記憶がある。結局トモハルが率先して彼女にくっついて、勝手に盛り上がって進行してたから俺は何もしなかったような。

 ずっとさ、トモハルと会話している彼女を見てたんだ。チラチラ、と。楽しそうに笑いながら、教科書を開いて頭の良い優秀三人組はどんどん研究文を完成させて。

 俺、居なくてもいいだろ。

 壁にくっついて、蚊帳の外の俺はじっとしてたっけ。暇つぶしに階段を下りて、ジュースのお代わりを取りに行った。

 面倒だからペットボトルごと手にして階段を上がろうと思ったら、彼女が下りてきたから言葉に詰まった。言葉が出なかった。


「あの」


 控え目の小さな声。


「何」


 唐突な出来事にぶっきらぼうに、怒鳴りつける勢いで睨みながら言ってから、後悔した。

 口が悪い俺は、自覚はしているがどうにも出来ない。優しくしたくても、上手く出来ない。

 でも、嫌な顔一つせず、両腕を伸ばしてきたから反射的に後退した。


「お手伝い、します。場所、借りてしまっているし」

「ホントだよ、なんで俺んちなんだよ。トモハルとかお前の家とかのほうが絶対でかいだろ、広いだろ。綺麗だろうしさ」

「ごめんなさい……」


 口から出る言葉は、不服ばかりでこのままだと彼女は泣いてしまうんじゃないかと思って冷や汗が出たが、しゅん、としている姿を見ると申し訳ないと思いつつも悪態つくことしか出来なくて。


「いいよ、別に俺んちなんだから手伝ってもらわなくても。それよりさっさとトモハルと仕上げてくれよ、早いトコ終わらせてくれたほうが嬉しいね。

 俺暇だから、下でゲームしてていいだろ? いなくてもやれるよな、学年トップクラスが三人もいるんだしー」

「で、出来れば一緒に居て貰いたいです」


 消え入りそうな声でそう言ったから、……そうなんだ、あの時も。


「優秀な学級委員様は、問題児の俺を手懐けに入りましたかー。それとも、あれか。班での共同作業だから一人抜けられると困るって?」

「ち、違います、そうじゃ、なくって、その」

「じゃあ、部屋には居るけど漫画読んでるから」


 狭い階段、すれ違えないから睨みつけて上へ退かせようとした。スカートだったら覗けたのに、ってどんだけ俺は煩悩が。

 気を遣ってくれたんだろうけど、どうも照れくさくて上手く言葉が出なかった。

 トモハルだったら階段を下りてきてもらって、下で二人で何か会話したりして、こう、なんだ。

 ……喜ばせてあげられるのだろう。楽しくさ、二人で。


「こら、ミノル! 酷い事言うなよ!」

「だ、大丈夫だよトモハル。何も言われてないよ」


 上からトモハルが顔を覗かせてそう言うから、俺はますます機嫌が悪くなって本当に一人漫画を読んでたっけ。

 でも漫画に集中できなくて、聴こえてくるトモハルの声がウザくて、それで彼女を見たら。

 目が、合った。

 慌てて逸らした、驚いて鼓動が早まって急いで漫画をめくる。


「ああああああああ!?」


 と、いう回想で思い出した!

 起き上がって写真を再度見つめる、そうだ、どうして俺の家になったのか思い出した!

 夕方になって、三人が帰ってから数時間後、飯を食ってゲームをしていたら電話がかかってきたんだ。


「ミノルー! 可愛い声の女の子からよ、田上さんって子」


 咥えていた煎餅を吹き出し、怒鳴って返答、「居留守にしてくれ」!

 予期せぬ電話に何故か胸がばくばくして、母親の声を耳を広げて聞いていた。

 翌日、何度か喋りかけられたが、照れくさいというかどうしていいやら解らなくて、無視してた。授業中に、なにやら小さなメモが飛んで来たから、思わず広げたら見慣れた字で俺宛の手紙が。


『昨日はありがとうございました、場所をお借りしてしまって、本当にごめんなさい。次にやる時は、よければ私の家に来てください。楽しかったです』


 なんだこりゃ。

 思わず握り潰した、後ろの席から投げ込んだんだろう。知ってる、彼女の字だこれは。

 握り潰して捨てようと思った、昨日の電話の内容はこれだ。何度も謝らなくてもいいっつーの、苛々して無意味に貧乏揺すり。ご機嫌取りだとしか思えなかった。

 でも、そのメモは捨てられず家に持って帰って今みたいに天井の電気に透かして見てたんだ。

 で、気づいた。

 消しゴムで消した跡があったから、鉛筆で塗り潰したんだ、いや、気になるだろ。そしたら透けて文字が読めた。消えた一文、それがこれ。


『本当はトモハルの家だったのですが、私が行ってみたいとわがままを言ってしまったんです。お部屋がどんな感じか、見てみたくて。本当にごめんなさい』


 大口開けて、ひらひらと顔面に降って来たメモを乗せたまま俺は。絶叫した。 

 そうだ、彼女が俺の家に行きたいと、ダダを捏ねたんだ。恥ずかしくて、思わず口元を手で覆う、耳が熱いくらいに痛い。


「お前……いつから俺の事気になってたわけ?」


 と、問いかけても彼女はもう、いない。何処にもいない。俺の初カノのアサギは、いないんだ。

 ……駄目だ、当分彼女の事を忘れられそうにない。

お読み戴きありがとうございました、もう少し続きます。

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