二話
俺が砂漠に来てから三日が経った。
相変わらず俺はゴーレムと追いかけっこをし、おなかがすいたらサボテンを食べるということを繰り返している。
そしてわかったことだがゴーレムのカードには体を丈夫にする作用があるっていうことだ。この三日で俺はゴーレムを百五十体ほど倒したが手に入れたカードは三枚だ。
一日目に二枚、三日目に一枚だ。
三枚目を手に入れた俺はもうゴーレムを恐れる必要がなくなった。何せ攻撃がきかないのだ。もちろんこっちは口の中に指を突っ込み突っつくという方法で攻撃できる。
これで狩りは捗った。まあ寝ても覚めても湧き続けるゴーレムを相手にしていたら自然とこうなるだろう。
俺はそうして狩り、つまり強者側に立ったのだが新たな発見をした。
ほかにもモンスターがいるのだ。この砂漠にはゴーレム、サボテン、サソリがいることが確認できた。ゴーレムは唾で、サボテンは食べることで倒せるがサソリはそうはいかなかった。
ゴーレム並みの硬い装甲。だが水が弱点というわけではない。
結局俺は倒すことができなかった。もちろんそれは向こうも同じだ。俺を倒すことはできなかった。
俺はゴーレムを倒しつつ修行をすることにした。
自分の体は丈夫なのだ。つまり指一本で突っついたとしても突き指をしない。
自分がけがをする可能性がある技がいくらでも使えるのだ。
でも心配性なおれはゴーレムだけを狩り続ける。カードがほしいからだ。そして十分で一匹は狩れるようになった。
つまり一時間で六匹、十時間もやれば六十匹は倒せるのだ。
どうせ寝るとサボテンを食べる以外は狩りをするしかないのだ。俺はこうしてゴーレムを狩り続けるのだった。
俺がゴーレム狩りをして一週間がたった。
今のところカードは二枚出た。
たった二枚である。
だがかなり丈夫になれたのではないだろうか。
そしておめでたいことにサボテンから一枚でたのだ。
効果はたぶんダメージを反射するだ。
ゴーレムは硬かった。だから自分が丈夫になったと考えるならサボテンは針で自分を守っていた。針は攻撃をしてきた物にダメージを与える。つまり反射だ。
これはゴーレムに殴られたとき、ゴーレムがなぜかのけぞったため、そうではないかと考えるようになった。
だが確率は一パーセントにも満たない。きっと一枚で一パーセント上がるくらいなのだろう。
こうして俺はゴーレムを狩りサボテンを食い、時々サソリにケンカを売っては不毛な終わらない戦いを繰り広げるのだった。
だがそれにも終わりは訪れる。
それは俺が体感で一年たった。と思えるようになったころ。
俺がゴーレムのカードを三十一枚あつめサボテンを六枚集めたころだ。
栄養がサボテンだけだがなぜか大丈夫で、この砂漠に適応したのか筋肉質な体、色黒の肌を手に入れた俺は砂漠を探検していた。相変わらず殺せないサソリとけんかをし、湧いて出てくるゴーレムを殺していたところ、オアシスらしきところを見つけたのだ。
そこには不思議な機械が設置されていた。
つるつるとした金属が表面を覆いゲートのようになっていてその横にスイッチとなにか文字が書かれているのだ。
そこには日本語やその他不明の言語でたぶん同じ説明だろうが書かれていた。
そして次元世界から中央へと書かれており一つのスイッチがある。
俺はそのスイッチを押すかどうかで悩んだ。そうして押してしまおうと決めたその時、急に機会が作動し、ゲート部分に青い光が走ったかと思った次の瞬間、コートを着て、ライフルと呼ばれる部類の銃に似たものを持った女の子が現れたのだった。
「あら、こんなところに人がいるなんて」
赤い髪の毛を後ろでまとめている女の子はそう銃を向ける。
もちろん俺に向かってだ。
「おいやめろ俺死ぬ」
両腕を掲げ無害をアピールしながら抗議の声を上げるが、長らくしゃべっていなかったせいで片言になってしまう。
そんな俺を見て女の子は銃を下げる。
「あなたどうしてここにいるの? ここは上級者しか来れないはずなんだけど」
「ここがどこだか知らねえよ。むしろ教えてください」
そういって俺は土下座をかます。久しぶりの人。しかも何かを知っていそうなのだ。
プライドなんか捨てて頼るのが一番だ。
「そうね。いったん戻ったほうがいいわね。ついておいで」
「了解」
女の子は機械のボタンを押しゲートを指をさす。きっとここに入れということなのだろう。俺はその指示に従いゲートに飛び込む。
不思議な浮遊感の後、俺は近未来的な都市の施設の中にいたのだった。
「さあ到着。ここが次元研究所の内部よ。あんたは一応次元漂流者として登録しておくから」
そういって女の子は受付らしきところへと歩いていく。
俺は近くの未来的なデザインの機械たちを眺めながらついていく。
「すみません。漂流者です」
「わかりました。あとはお任せください」
その会話の後女の子はすぐに去って行ってしまった。
名前を聞き忘れた。
だがもう遅い。なので受け付けのおねーさんに意識を集中する。
「こんにちは。あなたは次元漂流者です。簡単に言えば元の世界での神隠しですね」
「はいこんにちは。俺って一年前から発見されなかったんだけどどう思う?」
「それはよく生きていたと思います。そうですねあなたは次元世界で一年過ごせる腕前なのですね。でしたら話が早いです」
「え? 帰れるの?」
「いいえ座標が分からないので帰れません。あなたに提供するのは冒険者としての生活です。どうですか?」
冒険者。いい響き。でも何をすればいいのかが全く分からない。なんだろうあのモンスターとかと戦えばいいのだろうか。それしか思いつかない。
「冒険者ってなにをするの?」
「そうですね。別の次元世界に行ってモンスターの素材や資源を取ってきてもらうのが主な仕事になっています」
「おもしろそう。でも危ないよね」
「そうですね。生死は自己管理です。ですが次元漂流者となるという、これくらいしか私たちにできることはありません。私たちが呼んだわけではなく、勝手にやってこられたという感じですので」
そうか、そうだよな。別に呼ばれたわけでもないし仕事を紹介してくれるだけでもありがたいのか。
「じゃあその冒険者になりたいです」
「はいわかりました。ではカードをお作ります」
そうして待つこと数分そこには銀色のカードが出来上がっていたのだった。
「この数字があなたの登録ナンバーですのでお忘れなく」
カードを手に入れた俺はきっと満面の笑みだっただろう。
受付のおねーさんが笑っている。
これから俺はこの世界で冒険者として生きていく。
きっと楽しくなるぞ。




