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一話

「おいおいまじかよ」


 目の前に広がるのは広大な砂漠。

 ところどころに巨大な岩が点在しており、天辺に昇った太陽があたりを照らしている。

 気温が高く一気に体から汗がしたたり落ちてくる。

 そしてひときわ目立つ存在がひとつある。


「ゴーレムってか?」


 それは砂の塊がいびつな人の形をなし、体を引きずるようにしてあたりを巡回しているのだった。ぼろぼろと体から砂が流れ落ち、時々止まっては体に砂を付け足していく。

 それは俺の居た世界では見ることもなく、おとぎの世界やゲームの中でしかお目にかかれない存在。

 明らかにおかしな存在。

 

「なんだっていうんだ……」


 俺はこの日、次元漂流をした。






 一旦落ち着いて状況を整理していこうと思う。

 俺の名前は風見雄一。

 大学一年生だったはずだ。

 そして学校に遅れそうだったため、パンをかじり靴をひっかけ家を飛び出した。そこまではあっているはずだ。そうしてここからおかしなことがあったのだ。

 俺は近道をするために普段は入らない裏道へと入った。そうここで俺は砂漠へと流れ着いた。

 意味が分からない。

 裏道に入ったのは覚えている。

 そしたらすぐに砂漠だった。

 町のすぐ裏って砂漠があったけ? そんな考えが頭に浮かぶがそんなことはありえない。

 どうして俺はこんなところにいるのだろう。

 よくわからない。

 考えてもらちが明かないので持っているものを整理することにする。

 まずは筆箱。

 中には鉛筆と消しゴム、定規。

 それしか入っていない。

 次に教科書。

 これは各教科分。

 それにノートも同じ数。

 飲み水がペットボトルに入って一つとお弁当。

 ほかは携帯電話に財布だけだ。

 そうか携帯があったんだ。

 と思って開くが県外の文字が移るだけ。

 地面にたたきつけようと思ったが小心者の心が投げるのを止めさせる。

 俺は調べたものをカバンに詰め直し一応武器になりそうな鉛筆を持つ。

 もちろん尖ったほうが先になるようにだ。

 ここが日本か外国か、はたまた異世界かはわからないが武器はあったほうが心強い。

 まあゴーレムみたいなものがいる時点でここが異世界という可能性は高まったわけだが。

 俺はそうして準備を整えてからあたりを見渡す。

 相変わらずあたりを徘徊しているゴーレムらしきもの。

 ぼーっとみているとふと目があった気がする。

 向こうは砂ののっぺらぼうのような感じだが確かに目があったかのような気がした。

 次の瞬間、ゴーレムは進路を変え俺の方向へと歩き出した。

 

「おっとこれはやばいかもしれん」


 ゴーレム用対策マニュアルとやらがあればいいんだが生憎そんなものはここにはない。

 武器は鉛筆。

 これは逃げるに限る。が、あたりは砂漠。逃げ場がない。

 ゴーレムの足は速くはないが体が大きく、大人二人分はあるため走っても距離を保つくらいしかできない。

 かといって何もしないでいると追いつかれてしまう。

 とりあえず消しゴムを取り出し、投げつける。

 消しゴムは放物線を描き、きれいにゴーレムの体へとぶつかった。

 だがそのまま地面に落ちてしまう。


「さてどうしよう……」


 一応ゴーレムから逃げるように走りながら考える。

 砂の化け物ゴーレム。ゲームでは何が弱点だっけ。

 砂だから水かな。でも飲み水を失うのは困る。

 死ぬのはもっと困る。

 ということでペットボトルを用意する。

 名残惜しいので一口だけ飲み、ゴーレムに向かってペットボトルを振り水をかけてみる。

 すると水の当たったところがぼろぼろ崩れていくのが分かった。

 これはいける。

 俺は調子に乗ってゴーレムに近づきペットボトルの水をすべてぶちまける。

 ゴーレムは水がかかり色が黒くなったところがぼろぼろと崩れていく。

 そして動きを止めた。

 調子に乗った俺はゴーレムを蹴り飛ばす。

 水がかかっていないところは硬かったが、水がかかったところは難なく崩していくことができる。

 調子に乗って俺はどんどん削っていく。

 そうしていつしかゴーレムは全身が崩れていき、その場にカードを一枚落として崩れ去っていったのだった。


「なんだこれ」


 俺はそのカードを拾う。

 そこにはゴーレムの絵柄が書かれており右下に丸いマークが描かれていた。

 俺はそこを触ってみる。

 するとカードは消えてなくなってしまった。

 

「あらら、もったいねえ。結局なんだったんだ」


 そうしてふと手元から顔を上げたおれの視線の先にうつったのは巨大な岩が崩れ落ち新たなゴーレムができる場面だった。


「うそだろ。水もうねえよ」


 そのつぶやきがまずかったのだろうか。

 それともゴーレムを倒していたのがまずかったのだろうか。

 新たなゴーレムは俺を目指して突き進んでくるのだった。

 俺はとりあえずお弁当を取り出す。

 勝つにはこれしかないと思ったからだ。

 走りくるゴーレム。

 俺はおにぎりを取り出す。

 そしてゴーレムに向かって走り出す。

 ゴーレムが腕を伸ばし俺を捕まえようとする。

 その一瞬俺は横に無我夢中で飛び退く。

 無様に転がるが、ゴーレムにはつかまってはいない。

 すぐに立ち上がりゴーレムに走り出す。

 ゴーレムは俺を取り逃がした後、そのまま止まれず進み今方向転換をしているところだった。

 そこに俺はおにぎりの中から梅干を取り出してかじり、唾をためて発射したのだった。

 小さな点。だがそこには鉛筆が突き刺さる。

 人間でいうと心臓の位置。

 そこに突き刺さる鉛筆。

 だがゴーレムは止まらず俺はその手で摑まえられてしまったのだった。


「くらえ唾マシンガン」


 とりあえず唾をかけまくる。

 ほかに水と言ったら漏らすしかない。

 だがそれは避けたい。

 そこでふと疑問が浮き上がる。

 ゴーレムは力が弱いのだろうか。俺はゴーレムに捕まえられているが握りしめて殺されるということをされていない。

 だがゴーレムは俺を握って持ち上げるということはできている。

 この場合、俺の体が頑丈なのだろうか。

 さっきゴーレムをけった時には水がかかっていない部分は崩せなかった。

 つまり頑丈なだけなのだろう。

 そして俺は違和感を覚える。

 なぜゴーレムは俺を捕まえたままで動かないのか。

 唾をかけまくった時にはまだ動いていたはずだ。

 もしかしてやったのか? やってしまったのか。

 そう考えたときゴーレムは崩れ去ってしまった。きっと唾でとどめを刺してしまったのだろう。

 空中から落っこちた俺は華麗に着地を決める。

 そうしてふと地面を見るとまたカードが落ちているのだった。

 今度は慎重に定規を取り出し定規ですくって眺める。

 やはり表はゴーレムの絵柄が書かれており、下のほうに丸い模様が描かれている。

 裏にひっくり返してみると、なにか不思議な文様が描かれているだけだった。

 仕方がないのでもっかい丸い模様を押してみる。

 するとまたカードが消えてなくなってしまった。

 そして岩が崩れる音、新たなゴーレムの誕生。面倒くさいことになったのだ。

 

「もう唾もでねえよ」


 水がほしい。のどが渇いた。ゴーレムの口のなかって水あるかな。キスしたら奪えないだろうか。

 そんな風に思考が働く。が、頭を振ってその考えを吹き飛ばす。

 俺はとりあえずお弁当の野菜を食べる。

 水分が入っていそうだからだ。

 そして俺は近くにあった大きな岩によじ登っていく。

 新たなゴーレムが出るときに壊れるがゴーレムはフィールドに今のところ一匹しか存在していないように見える。なので上ったのだ。

 おれはそうしておもむろにズボンを下ろす。

 残った水分はこれしかないのだ。

 人がいないから恥ずかしくない。

 ゴーレムは巨大な岩の下に来るとそれをよじ登り始めた。

 俺はそれめがけて水分を発射した。

 滝のような水分にゴーレムは頭から崩れていく。

 数十秒の後、俺は大事なものをふるい、ズボンにしまう。

 そうしてすぐに岩から飛び降りる。

 もしかしたらこの岩から生まれるかもしれないからだ。

 倒したゴーレムはまたカードを落としていた。

 俺はそれをまた模様を押して消しておく。

 そうした俺を待っていたのは四体目のゴーレムだった。

 四体目のゴーレムは他のとは違った。

 足が四本あり素早かった。

 俺はそいつに殴られ何メートルも吹っ飛んだのだった。

 だがなぜか痛くもないし怪我もしていない。

 それでもこちらから攻撃ができないので殴られっぱなしだ。

 その時間が何分続いただろうか。

 急にゴーレムが動きを止める。

 そう殴られ続けた俺から血が流れたのだ。

 俺は鼻に指を突っ込みその指でゴーレムの体を突っついていく。

 ぽこぽこ穴が開いて崩れていくゴーレム。

 そして崩れ去ってしまったのだった。

 俺はもうゴーレムに会いたくないので走って逃げる。

 今のゴーレムはカードを落とさなかった。たぶん確率で落とすのだろう。

 とりあえず走って走った俺の目の前には大人一人分の大きさのあるサボテンが存在していた。

 サボテンは水分がある。

 たしかそんなことを本で読んだ記憶がある。

 俺は定規を取り出しとげを一個一個へし折っていく。

 そのときだ。サボテンが動いたのは。

 とげが服を貫き定規を穴だらけにし俺を吹っ飛ばしたのだった。

 俺はなぜかとげが刺さらなかったことに安堵しつつサボテンを見据える。

 サボテンは生きているようだった。とげをうねらせ波のようにし体を左右に振っている。

 俺はどうするか迷う。

 そうして一つのことを決めた。

 なぜか知らないが体は頑丈になっているのだ。そのままかじって喰ってしまおうと。

 考えたらあとは早い。

 走って近づき、そのままとげをつかむ。予想通りとげは刺さらずそのままつかむことに成功。根元をかじりとげを取り除く。そうしてそのまま果肉へとかぶりつく。

 

「ごちそうさま」


 その場には動かなくなり四分の一が喰われたサボテンがその場に残ったのだった。


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