僕は美味しくないよ
雲に隠れていた月が徐々に姿をあらわす
血に染まったその町を
―カツン、カツン、カツン
ヤツの靴音がレンガの道に反響し、ヤツとともに僕を追いかけて来る
「ハアァ、ハァ、ハアッ」
ヤツは決して速くない一定のスピードで追いかけてくる
僕が遅くなればヤツも遅く、僕が速くなればヤツも速く、かといって歩けない
ヤツはやる気の無くなったヤツには容赦はしない
―ドサッ
「?」
・・・・・・・・・・転んだ?
逃げなくちゃ!!!、でも頭が回らない、体が動かない
―カツン、カツン、カツン
ヤツ近づいてくる
「転んじゃったね。・・・・ハァ〜、追いかけっこにも飽きたしぃ ―モウイイヤ」
そう言ってヤツは身の丈ほどのナイフとフォークをかまえた
「君のお友達はさぁ、たくさんいて食べごたえあったよ。でも私もたくさん食べたからお友達はもう
いないよ。―キミガサイゴ。」
血で真っ赤に染まったナイフとフォークが不気味に光る
「いただきまーす。最後の―クマサン」
僕が最後に見た光景は、黒いずきんをかぶった少女がナイフとフォークを上手に使い
僕の体を切り刻む・・・ようやく頭が回った
「そうか僕は食べられるんだ・・・!」
―目の前が真っ赤に染まる
バリ、バリ、バリ、ゴキッ・・・・ベキッ、ポキ
ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ ―ぺロッ
「ご馳走様でした」
少女の食べ方は決して上手くない、顔や手や黒い服も血の色に染まっている
確かに食べ方は決して上手くはないが後に残るものはほとんどない
体はもちろん、骨や毛さえ・・・
残ったものと言えば辺りに飛び散った血くらいだ
―クスクスクスクスクス
少女は笑う
私が来るまでここにはたくさんの友達がいた
でも、もうここには私しかいない
―クスクスクスクスクス
血塗られた町に少女の笑い声が響く
「さてと、」
真っ赤に染まった口の周りを黒い袖で拭く
「次はどこに行こうかなぁ」
―カツン、カツン、カツン、カツン、カツン
「はぁ〜、クマサンは正直、美味しいわけでも無かったなぁ・・・」
―カツン、カツン、カツン、カツン、カツン
「でも、あのボリュームはよかったな〜ぁ・・・」
―カツン、カツン、カツン、カツン、カツン
「おなか減ったなぁ・・・」
―カツン、カツン、カツン、カツン、カツン
―ピタッ
「次は・・・・アレニシヨウ」
「ねぇねぇ、知ってる」 ウサギが聞く
「・・・アレのこと?」 ウサギが返す
「うん、今度はクマサンたちの町がやられたらしいよ」 ウサギが答える
―町がやられる
それは、誰もいなくなった血塗られた町のことを意味する
居なくなった者たちはどうなったのか、なぜそうなったのかは誰も知らない
知ったものはみんな食べられたから
―クスクスクスクスクス
いつのまにか、彼らの前には黒いずきんをかぶった少女がいた
「こんにちは」
黒いずきんをかぶった少女がやさしく微笑みかける
「こんにちは」
「こんにちは」
2匹のウサギが答える
黒いずきんをかぶった少女はやさしく微笑みかけながら町の方へいった
「人が来るなんて珍しいね」 ウサギは言った
「何しに来たんだろう?」 ウサギは聞いた
「・・・何だろうね?」 ウサギが答える
「・・・・タベニキタンダヨ」
「?今なにか言った・・・」 ウサギは聞いた
「別に何も?」 ウサギは答える
「・・・・そう、ならいいんだけど」 ウサギは言った
―クスクスクスクスクス
ウサギ達は知らない、もうすぐでこの町からウサギがいなくなり町は血で染まることを・・・
「それじゃぁ、―イタダキマス」
皆様お初にお目にかかります
那須1号です
はじめて書いたものなので読みにくかったり、漢字が間違っていたりするかもしれませんがよろしくおねがいします
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