「最後の約束」
ジリリリリリ!
ガチャン!
目覚まし時計を見ると針は朝の6時を指していた。
「はぁ・・・だる・・・」
チュンチュン
外で鳥が鳴いていた。
「動くか・・・」
俺は、寝間着からTシャツとジャージに着替えた。
「さっ行くか・・・よっと!」
俺は、二階にある自分の部屋の窓から飛び降りた。
スタッ!
充分にバネを効かせ芝生の上に着地した。靴は前の日に外に置いといたのでそれを履いた。
「時間もないし跳ばして行くか・・・」
俺は、全力で跳び隣の家の屋根に乗り移ったのだが。バランスを崩し落ちかけた。
「危ね!・・・ふぅ、落ちるかと思ったぜ。・・・・さて公園はあっちか」
タンッ!
俺は、家の屋根の上を移動しながら公園に向かった。
ザッ!
「到着♪」
「遅いぞ!楊!」
「悪い悪い」
「あんま悪いと思ってないだろ?」
「やっぱ、曲刀にはわかるか?」
「当たり前だろ親友なんだから」
「だな・・・さて、話はここまでにして始めるか?」
「いいぜ・・・こいよ!」
「行くぜ!」
俺は、ダッシュした。
「オラッ!」
俺は、曲刀の顔面に向かって拳をつきだした。
「危ね!」
曲刀は、体をひねってかわした。
「ちっ・・・オラヨッ!」
俺は、曲刀に避けられた攻撃の勢いを殺さずに。地面に手を着き攻撃の勢いを回転にかえ蹴りとして繰り出した。
「あまいぞ!楊!」
俺の蹴りは曲刀の両手に受け止められた。
「まじかよ!」
「セイヤー!」
「うげ!」
曲刀に投げられた俺は公園の茂みに墜落した。
ガザガサ!
「くそ!本気で投げやがって!」
「本気でやんなきゃ意味ないだろ?」
「そうかよ・・・じゃあ俺も本気でいくぜ!」
俺の名前は「血飛沫 楊」霧雨高等学校に通う高校三年生だ。俺は、見た目がかなり目立っている。純白と呼べる程白い髪と自分でいうのもなんだが整ったこの顔立ちのせいでかなり目立っている。
俺は、全力で曲刀に向かって跳んだ。
「あいかわらず速いな!だが俺も負けねぇ!」
俺と手合わせしてるこいつは「朶蜘條 曲刀」俺と同じ霧雨高等学校通う高三の生徒だ。曲刀も俺と同じでかなり目立つ。オレンジ色の髪を肩まで伸ばし左目に眼帯をしている。あと、顔もかなり整ってるし身長もそこそこ高いところも目立つ要因だ。(眼帯は傷を隠すためにしているらしい)
組み手から30程たった後の事。
「そういえば、楊あの話どう思う?」
「あの話って?」
「ほら、「殺し愛」とかいうやつだよ」
「あーあれか・・・」
曲刀に言われて思い出したが昨日の学校の帰りHRでのこのだ・・・
(三年生の皆さんに連絡があります。明日、学校で「殺し愛」といわれる行事が行われます。その殺し愛といわれる行事では生徒同士で殺し合いをしてもらうのですが。一、二年生は二時間目からなのですが三年生の皆さんは朝のHRから殺し愛をしてもらいます。ですので明日の朝は教室以外の場所に居てもかまいませんよ。明日の連絡はこれで終わりです。では、さようなら」
という連絡を担任の貭衡からうけていた。
「曲刀は信じるのかあの話?」
「貭衡は、嘘を吐かねぇからな俺は信じるよ・・・」
曲刀の顔は真剣だった。
「俺も信じてないといえば嘘になるな・・・」
「俺は、今日「鑢斷」を持っていくぜ」
鑢斷とは曲刀が持っているナイフのことだ。
「そうか、なら俺も持っていくかな「黄昏を・・・」
黄昏は、俺が持っている日本刀の名だ。
「曲刀の妹には言わなくていいのか?」
「あぁ、直刀にはいう必要もないだろ」
「なんでだ?」
「直刀はいつも刀持ち歩いてるからな」
「なるほどな・・・」
「楊はいいのかよお前にも兄弟いただろ?」
「別にいいよ蔭はいつも拳銃持ち歩いてるし鏤飢と篦菊は大丈夫だろしな」
「そうか・・・そろそろ帰るか?」
「だな」
「じゃ、また学校でな」
「学校でな」
俺と曲刀は別々の公園の門から出た。
帰りは屋根の上ではなく普通に歩いて帰った。
ガチャ!
「ただいま〜」
「お帰り。兄貴」
リビングに行くと弟の蔭が朝食の準備をしていた。
蔭と話しているとリビングのドアが開けられたので後ろを向くと双子の妹、鏤菊と篦菊が眠そうに顔をかいていた。
「おはよう、鏤飢。おはよう、篦菊」
「おはよう♪二人とも♪」
蔭の「おはよう」の後に俺も鏤飢と篦菊におはようのあいさつをした。
「おはよう♪蔭お兄ちゃん♪楊お兄ちゃん♪」
二人は、同時に「おはよう」を言った。
「鏤飢と篦菊はごはん食べるまえに顔を洗ってきな。兄貴は、汗かいてんならシャワー浴びてきて」
「はいはーい」
「了解です♪(二人)」
俺は、鏤飢と篦菊を連れて洗面所に向かった。
「二人共ちゃんと洗うんだぞ」
「は〜い♪(二人)」
シャワーを浴びて蔭が用意しといてくれた学校の制服に着替えてリビングに向かった。
リビングのドアを開けると蔭と鏤飢篦菊は朝食を食べていた。
「先食べてるよ」
「別にいいよ」
俺は、席に着きごはんを食べ始めた。
しばらくして朝食を食べ終わると、蔭が席をたち食器を洗いだした。
「弁当そこに置いといたから。先に学校行ってもいいから」
「いつも悪いな♪」
「ありがとう♪蔭お兄ちゃん(二人)」
「どういたしまして♪」
俺は、蔭が作ってくれた弁当を持って学校に向かった。
学校に着き三年の教室に行ってみたが教室には僅かな生徒しかいなかった。
「当たり前か・・・」
「俺は、自分の教室に入り荷物を持ったままベランダに出た」
俺の学校は(俺の学校も?)屋上への階段は封鎖されているのだが。教室のベランダから上に登れば屋上にでることができる。(だだしスゲー危ない。あと、俺の学校の屋上にはなぜか柵が付いていない)
「行ってみるか・・・」
俺は、教室の前のベランダの手刷りの上から屋上に向かってジャンプした。
スタッ!
「おはよう。楊」
声をかけてきたのは曲刀だった。
「曲刀来てたのか」
「まあな・・・」
「楊、自分の机の中みてみたか?」
「いや、みてないが」
「たぶん、なにかしらの武器が入ってたはずだぜ」
「!!」
「さっき俺のクラスの机の中をいくつかみてみたら色々な武器が入っていたぜ」
「まじかよ・・・」
「そろそろ時間だな・・・」
キーン・コーン・カーン・コーン・・・
蒼天の願いが今♪・・・
突然、俺の携帯からメールの着信を告げる音楽が鳴った。
「メールか?」
「あぁ」
メールの内容は「殺し愛」の開始を告げる内容だった。
「始まったんだな・・・」
メールが届いてからしばらくすると遠くから声が聞こえた。
「ギャァァァァ!」
「叫び声!」
俺と曲刀が校庭の方を見てみると一人の生徒が金属バットで誰かを叩いているところだった。
「ちっ!」
タンッ!
「おい!楊!」
俺は、屋上から飛び降りた。
(急がねぇと)
俺は、地面に激突するまえに校舎を蹴り校庭に向かって飛んだ。
ズザザザ!ダッ!
着地と同時に俺は、走り出した。
「やめろ!」
俺は、バットを持った生徒に向かって叫んだ。
だが、バットは止まらない。
「ちっ!」
ガキン!
俺は、降りおろされる金属バットを黄昏で受け止めた。
「やめろ!って言ってんだろうが!」
「うるせぇ!」
再び降りおろされるバット。
ガキン!ガキン!
(駄目だこれじゃ黄昏が折られる・・・殺るしかねぇ)
「うおぉぉぉぉ!」
バットが降り上げられた瞬間に生徒の懐に入りバットを持った生徒の腕を切り落とした。
「うわゎゎゎゎ!」
腕を斬られた生徒はその場に崩れた。
「おい、お前大丈夫か?」
叩かれていた方の生徒に声をかけた。
「死ねぇぇぇ!」
叩かれていた生徒は手に持っていたナイフでなぜか俺に切りかかってきた。しかし、ナイフは俺に届くことはなかった。
「うっ!」
ナイフを持った生徒はうつ伏せに倒れその後頭部には一本の真っ黒のナイフが刺さっていた。
「このナイフは鑢斷・・・ってことは」
鑢斷が飛んできたであろう方向を見てみるとそこには傷だらけの曲刀が立っていた。
「曲刀!」
「楊、大丈夫か?」
「馬鹿それはこっちの台詞だ!なにがあった?」
「お前が屋上から飛び降りたあと俺は階段でを使ってここにきたんだが途中で三条たちに会ってな」
「三条だと!」
三条は俺の学校ではかなりの不良として有名なやつだ。
「にしてもお前よくあいつらに絡まれて生きてたな」
「・・・」
「どうかしたのか?」
「実は俺大丈夫じゃないんだ・・・」
「え?」
ドサッ!
曲刀が突然倒れた。倒れた曲刀の背中を見てみると背中には無数の傷と致命傷であろう一つのでかい切り傷があった。
「曲刀、お前・・・」
「そんな悲しい顔すんなよ親友・・・」
「そんなこと言ったってお前その傷じゃもう・・・」
「あぁ、わかってるよ・・・だから一つ頼まれてくれないか?」
「なんだ?」
「俺の眼帯と鑢斷を直刀に渡しといてくれないか?」
「任せろ・・・必ず渡しておく」
「頼んだぜ親友・・・」
曲刀は、それだけ言って動かなくなった。
キーン・コーン・カーン・コーン・・・
二時間目の始まりを告げるチャイムだった。
たしか、直刀は蔭と同じクラスだったな。俺は、走って蔭のもとに向かった。
廊下を走っていると蔭と直刀を見つけ二人を呼び止めた。
「蔭!直刀!」
「兄貴!」
「楊さん!」
「やっと見つけた・・・直刀お前に渡したい物がある」
「なんですか?」
「これだ・・・」
俺は、曲刀のナイフと眼帯を直刀に渡した。
「これは、お兄ちゃんの・・・どうしてこれを?」
「曲刀との最後の約束だからな」
「最後って・・・」
「あぁ、曲刀は死んだ三条って奴にな・・・」
「・・・ありがとうございます・・・」
「・・・あと、蔭お前にこれをやる」
俺は、蔭に黄昏を渡した。
「これって兄貴の大切な刀なんじゃ?」
「だからこそお前にやるよ」
「兄貴・・・」
「うっ!」
「どうかしたのか兄貴?」
「いや、なんでもない」
(そろそろ限界か・・・)
「俺は、もう行くよ・・・蔭、直刀生き残れ。」
「わかってるよ・・・」
「あと、鏤飢と篦菊それと蔭に伝えておく枷は自分で外せ・・・それだけだ・・・じゃあな」
俺は、体育館に向かって歩き出した。三条を殺すために・・・
「やっぱり、体育館であってたな」
俺の周りには血だらけ生徒が何人もいた。生徒たちを切り裂いた武器は体育館に来る途中で見つけた日本刀だ。
「うっあっ!」
(くそ時間がない俺の精神が壊れるまでの楊として奴を殺せるまでの・・・)
体育館にある部室を調べていくと剣術部の部室に三条はいた。
「やっと見つけたぜ三条・・・お前を殺す!」
「やってみろ!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺は、自分が持てる全ての力を使い三条とその手下どもを全て切り裂いた。同時に楊の精神は崩壊し消滅した。
三条たちを切り裂いてからしばらくたったあとのこと二人の生徒が剣術部の部室に現れた。一人は「春風 咲」もう一人は「高松 玄」だった。
「お前は・・・」
「あ〜俺か?俺の名前は「血飛沫 楊」だよ」
最後の日常に続く。
たぶんですけど番外編として「血飛沫 蔭」「血飛沫 鏤飢 篦菊」諞も書きます。