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聖者のお務め  作者: まちどり
24/197

24.もじばけ?(22)

 数多ある作品の中から選んでいただきありがとうございます。

 <(_ _)>

 PV1000越えてました!ありがとうございます!嬉しかったので、来週投稿予定してた次話、仕上げて今、投稿します!楽しんでいただければ幸いです(*⌒▽⌒*)


「現在地の位置は大体掴めたから、もう下に降りよう」

 あぁ、彼は確かに此処に居る。と安堵して、ほぅっと一息吐いた。




 地図は聖獣達に任せて、二人で手を繋いでゆっくりと降りていく。雲に阻まれて遠くまでは見えなかったな。漁村か…集落があるとして、食糧事情を考えると和やかな交流が出来れば良いな。


つるぎ、お前も本当は流暢に喋るのか?」

『うん、ずっと喋ってたよ。お話し出来るようになったの、良かったね~』

「おぅ、改めてこれからもよろしく頼む」

『こちらこそよろしくです!』

 喋る剣か…なかなか頼もしい相棒だな。聖獣達とも挨拶を交わしていて、良い関係を築けていけそうだ。


 アスタロトとしては、聖獣達にはまず住居を中心に出来れば近くの森までの警護を担ってもらいたいらしい。

「無理は禁物。怪我は治せるとしても、痛い思いをさせるのは本意じゃない。気になることがあればまずは剣ちゃんに報告してね。剣ちゃんも無理しないで、判断に迷ったら私かガンダロフに相談して。報告・連絡・相談は凄く大事」

 剣も聖獣達も真面目に聞いている。聖獣達はつい先程命を吹き込まれたばかりだろうに、彼の思惑を既に理解しているかのようだ。


「剣も聖獣達もしっかりしているのだな」

 俺の呟きにアスタロトが応える。

「うん、私もちょっとびっくりなんだけど」

 作った本人もびっくりするほど良い出来だということか。



 ※※※※※



 アスタロトが早くバッグの中身を食べたいというので、テントの前の広場でマジックバッグの中身検分を再び行う。


「バッグの中身でね、この文字化けしているところが凄く気になる」

「もじばけ?」

「ここ。読める?」

 アスタロトが一覧表の一番下、見たことの無い記号で表記されている項目を指差す。項目を押しても商品の詳細は表示されない。俺もその項目をじっと見て

「……いや、読めないな。何かの記号?それにしても意味がわからない。この世界特有の物ではないか?」

「そうか、だから訳せなくてこの世界の言葉そのままの表記なんだ」

 この世界特有の物……何だろう、想像がつかない。まぁ、だから訳せないのだろう。


「出してみても良い?」

 アスタロトが早く見てみたくてうずうずしている。黒い瞳が好奇心いっぱいにキラキラと輝いて、かわいい。だが、もしこれが危険な代物だったら?

「出てきた物が周囲に害を及ぼさないよう、出すのと同時にそれの周りに結界を張ることは可能か?」

 アスタロトはしばし考えて

「うん、出来る」

 出来る、か。そうか。ではやるしかないな。




 俺がバッグを持ち、前方に飛び出るように少し傾ける。アスタロトは結界を球の形で空中に構築・締結。そして俺がバッグの口を開けて一覧表を表示、彼が文字化けした項目の空間を丸ごと隔離、そのまま結界内に排出……。バッグから出すのに凄く手子摺てこずっている。珍しいな。だが、力押しで何とか引き摺り出した。


 ドオォゥゥゥンッ!!


 結界越しに周囲の空気やら地面やらを振るわせながら、ソレらは出現した。俺はバッグの口を素早く閉じて脇に置く。空中に浮かばせた結界の中、ソレらは。


「……かせ?首輪?と、この黒い球はなんだ?」


 俺が枷と言ったソレは、黒い金属でできた幅5cm程の筒状のモノを1m位の鎖で繋いだもの。それが4つと、黒い首輪?が2つ、拳より気持ち小さい大きさの黒い球が5つ。と、黒い球が弾けて網目状になって結界の内側に次々と貼り付いた。ほぼ透明な結界が白く濁り、ピキッピキピキッと音が聞こえ始める。結界を内側から攻撃しているのか?


「結界が壊れるかも」

 アスタロトは何が気になるのか、不思議そうな顔で伝える。表情だけ見ると緊迫感は皆無だが、言葉の内容は剣呑だな。

「剣、迎え撃つぞ」

『承知!』

 俺は剣を構えて迎撃態勢を取る。


「あの黒い網、私の力を無力化?ううん、吸い取ってる」

「っ!まさか?!」

「あの枷も、そう。……結界も魔神の力だからじきに無力化されるかも」


 俺は息を呑んだ。結界が破れ、あの黒い網が襲ってきたとして、どう防ぐ?剣は微かに震えている。俺は人間だから、もしかしたらあの網に対抗出来るかも?でなくとも、アスタロトには触れさせたりしないが!俺がいろいろと考える横で、アスタロトの口が弧を描く。そして大地を踏み締め、愉しげに言い放つ。 


「そんなに私の力が欲しいんだったら、お腹いっぱい召し上がれ!」


 アスタロトは両腕を前方へ伸ばし、結界ごと力を加えているようだ。結界とその中身は、ジョー1号が出来た時のように光を放ちながら小さく小さく丸まっていく。やがてそれは彼の両手の中に収まり、更に眩く発光する。


 手から零れる光が白から青白く変化して、どのくらいの時間が経ったのだろうか。表情は少し愉しげにも見える。が、青白い光を映す瞳は全ての熱を瞬時に奪ってしまうような冷たさを放っていて……怒っているのだな、これは。ノートをぶん投げた時と同じだ。あの時はその怒りをぶつける対象がノートだけだったが、今回は加減も容赦も無く発散しているようだ。




 どのくらいそうしていたのか、実際は事を始めてから10分程しか経っていないのだが、彼の手の中には真昼の太陽のように物凄い光を放つ小さな粒がふよふよと浮いている。

「星?」

 俺は構えを解かず彼に訊く。

「うん。でも直ぐに燃えかすになる」

と彼が答えている間に、炎の色が赤く小さくなり、黒い粒になったかと思うと風に吹かれて散り散りになった。……何の心構えも無くあのように襲われたら、ここら一帯瞬時に焦土と化したかもしれない。彼の、魔神の力で。


「これで終わりだといいがな」

 俺は剣をしまい、でも警戒は緩めずにマジックバッグの方に目を向ける。同じように物騒なものがまだ中に潜んでいるかもしれない。

「何も考えずにポイッと出してたら、大変なことになってたね。ガンダロフ、助言ありがとう」

「どういたしまして。ロト、あれだけの力を使ったんだ、自覚は無くともかなり疲れているはずだ。他に何も異常が見当たらなければ休憩にしよう」

 何よりもアスタロトの身に何か良くないことがあるのが一番怖い。

「うん。お昼ごはんの準備しなきゃだ」

 何事も無かったかのような普通の笑顔。安心感はあるが、油断は禁物。昼飯食べたら昼寝をさせなくては。



 ※※※※※



 あれからマジックバッグの外側は変わらず、一覧表には文字化けは見当たらず、怪しい物は無さそうだという結論に至った。だが、アスタロトは

「気持ち的に、中身を使うのにはまだ抵抗がある」

と、中身の使用は保留状態。とはいえ

「何か食べ応えのある物を食べたい!」

「あぁ、そうだな。あれだけ働けばお腹も空くだろう」

と俺は彼の頭をよしよしと撫でる。俺が手早く何か作ることが出来れば良いのだが、生憎そんな技術は持ち合わせてはいない。それに彼は自分で作るのも好きなようだしな。今も何を作ろうかと真剣に考えているのだろう。綺麗に整った眉が寄って、眉間に皺を作っている。……さっき燃やしたアレらのことよりよっぽど重要なのだな…。


 朝ごはんのスープは残ってはいるが、それでは食べ応えが無いというので、『芋餅』というのを作ってみるようだ。アスタロトの指示に従って俺も作業を行う。途中から「火傷しないように」と蒸し上がった芋の皮を魔法で剥いていく。


「相変わらず魔法を器用に使うなぁ」

「こんな便利な力、使わなきゃ勿体ない」

 ニコニコと機嫌良く芋の皮と中身を分けていく。

「ロトの依り代さんは料理人だったのか?」

「ううん、ふつーのしゅふ?ご飯は三食、家族の分を作ってた。依り代さんの国では珍しくないよ」

「平民なのか?」

「そういう身分制度はほぼ無くって、まぁ、一般市民。依り代さん、美味しいものを食べると幸せを感じるって、毎食頑張ってごはん作ってたから、だから料理人じゃないけどそこそこ作れるんじゃないかな」

 『ふつーのしゅふ』というのはよくわからんが、凄い技術と知識を持った者なのだろう。


 次に彼は潰した芋に小麦粉を加えて練っていく。水の代わりにスープの上澄みを使って味をつける。こういう細かいところが俺には思い付かない。しばらくねてまとまるようになったら、彼の手の平に乗るくらいの大きさで丸く平べったく形を整えていく。


 読了、ありがとうございます。

 <(_ _)>

 続きが気になる、面白い、と思われた方は是非スクロールバーを下げていった先にある広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に、ブックマーク、いいね、感想等ぜひ願いします。

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