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聖者のお務め  作者: まちどり
148/197

148.騎士団鍛練場制圧(143)

 ブックマーク、ありがとうございます!


 眷属達の見えない加勢があるからか、人数差を物ともせずダイザー皇族側が押していく。横の画面では、指示役が逃げだそうとしていたのを麒麟が転がしていた。立ち上がって走り出そうとする度に足を引っかけてコロリンと転がしている。最初に流れた曲はコレに合わせていたのだろう。


 本気で斬りかかってきたのは殆どが帝国騎士団とは別の兵団の兵達で、集塵機ジョーイとジョニーズが嬉々として縛り上げていた。段々と静かになっていったのは律儀に猿轡を噛ませていたからだな。普通の人には見えない彼等に縛り上げられて、転がされて、何とも言いようのない不気味な静けさが拡がっていく。


 帝国騎士団の騎士達の大半は、号令で抜刀したものの構えただけで様子見をしていた。同僚であるジョシュアの話からの考察と、なにより好き好んで殿下達に刃を向けている訳では無いからということらしい。


 縛り上げられて転がされている人達の呻き声が場を支配する異様な雰囲気に、おのずと静まりかえる。


「私は、私達は其方達を害するために此処へ来たわけではない」

 向かってくる者がいなくなったのを見計らって、ルトーリィ殿下は構えを解き騎士達に語り掛ける。

「この騒動は帝都の、いては帝国の平穏を脅かすものだ。まずはタレッグル皇帝陛下とデボラ皇妃殿下、皇子皇女の身の安全を確保しつつ状況把握を為し、騒動の原因の特定、排除を行う」

 そしてぐるりと周囲の騎士達を見回して訴えた。

「其方達の力を発揮し、己の役目を果たせ」

 その言葉が騎士達の戸惑いを一掃したのか、彼等は次々と納刀してズザザザザ…っとルトーリィ殿下に片膝を付く。

「「「「「仰せのままに」」」」」


「りゅとーにいしゃま…かっこいぃ…」

 はあぁ~…と蕩けるような笑顔でノイット殿下が溜息を吐く。大勢の騎士達にかしずかれた中で堂々と立つルトーリィ殿下は、焦げ茶色の短い髪が淡い金の光と共にそよぎその同色の瞳には力強い光が宿り、覇者の風格が漂っている。


「何故、辺境にいたのだろうか」

 ルトーリィ第一皇子、皇太子ではないにしても大事な跡継ぎだろうに

「やはり長い時間を掛けた謀略の一端だったのか。それ程までの怨みとは、何なのだ?」

 俺の疑問にアスタロトも小首を傾げる。

「相当昔のことで、娘さんのあの反応。何かを取られたとか?パーティーで、狙っていたお菓子の残り一個を食べられちゃったとか」

 何とも食い意地の張った怨みだな。だがアスタロトは真面目な顔で

「食べ物の怨みは、根深いよ?」

 …そうだな。ロトの食に対する拘りはいつも俺の想像を遙かに越えていくからなぁ。執着もかなりなものだし、依り代さん時代に何かしらあったのだろうことは想像に難くない。


 騎士団鍛練場の大乱闘の間、別のモニターには別動隊のノゾミ達が牢屋らしき場所で収監されていた人達の救助を行っていた様子が映し出されていた。それが鍛練場近くだったようで、救助された人達が次々と鍛練場にやって来た。

「ルトーリィ殿下!」

 治癒を施してもなおボロボロな騎士達が、ルトーリィ殿下の元に続々と集まってくる。

「殿下!よくぞ御無事で…」

「ミト!バキ!お前達も、無事でなによりだ!」

 ルトーリィ殿下が、ぱあぁっと満面の笑みを浮かべる。覇者の風格、何処行った?


 現在登城している貴族達を大広間に集うよう各所に伝令を走らせて、ルトーリィ殿下達は麒麟に散々に転がされて動かなくなってから縛られた指示役の、猿轡を外す。

「私を捕縛する命を下したのは、其方の独断か?ハムズ副団長」

 顔を背けて決して目を合わせようとしないハムズ副団長に、ルトーリィ殿下はその目の前にガッ!と剣を突き立てると、ハムズは「ひっ!」と短く悲鳴を上げた。


「あれが副団長か。団長は?」

『独房で虫の息だったのをノゾミ達が救助した。まだ動けない』

 俺の問いに剣の解説が入る。


 画面内ではルトーリィ殿下達がハムズ副団長と、謀叛を起こす為かリラベット侯爵が登城、待機させていた私兵団の団長等四名ほどを尋問していた。要約すると、帝都で『魔神召喚』を行い、騒動のどさくさに紛れてイトくん以外の皇族を害してダイザー帝国の簒奪を謀る予定だったということだ。


「『太陽が月に隠される時、偉大なる力が降り立つ』だったか」

 ジョシュアの呟きが聞こえた。


「帝都でも魔神教信者が暗躍していた?」

「でも聖騎士達と協働で召喚の儀式は未遂に終わったって」

 尤も『魔神召喚』も魔神教も隠れ蓑で本来の目的は帝国の権威を簒奪することだから、皇帝陛下とサボウル殿下が倒れたのを好機とみてことを起こした、ということらしい。

「黒幕はリラベット侯爵、ということ?」

 アスタロトが思ったままに疑問を口にする。

「あぁ。まだ潜んでいる者がいるだろうがな。帝都神殿の老神官のように、何かしら自身の利益を得る為に動いた者が」

と俺は顎に手を当てた。


 ブックマーク増えているの、凄く嬉しいです!評価されているのね、この路線で受け入れられているのね!とスマホ画面見つめてニヨニヨしてました。この騒動に彼等が直接関わると更にデウス・エクス・マキナっぽくなるから、それは嫌だなとモニター観戦にしました。麒麟達が張り切ってやらかしそうな気配はありますが、この場面での主役はダイザー皇族の方々だからね!

 続きが気になる、面白い、と思われた方は是非スクロールバーを下げていった先にある広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に、ブックマーク、いいね、感想等をお願いします。

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