135.聖騎士ボルグ(130)
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俺は固まったままの中年貴族を一瞥して
「俺達は神殿の巡回訪問に行く。此方にはまた明日の朝に伺う」
で、良いか?とアスタロトととパベルグに確認する。アスタロトが首肯すると
「本当にお忙しい中に何度も来て頂いて、どう感謝の意を表せば良いのか」
とパベルグは声を詰まらせ泣く一歩手前だ。
「パベルグさんもお仕事とかお漏らし貴族の対処とか大変だろうけど、お互い頑張ろうね」
アスタロトはパベルグを励ましつつ濡れた床だけ綺麗にした。
※※※※※
お漏らし中年貴族が騒ぎ出す前に辞去し、空を飛びオリマ王都神殿へと向かう。
「何か面白いものでも見つかった?」
アスタロトがワクワクしながら別行動してた青龍と玄武に話を聞く。
『はい。計算の合わないところを全て分かり易く修正してきました』
『ほぼ全ての計算に赤で修正が入っております』
赤ペン先生だ!と彼が何故か嬉しそうに感嘆する。が、直ぐに
「え、執務室にお邪魔してきたの?」
と尋ねる。
『文官の方々には暫しの休息を取って頂きました』
『ますたーの子守唄の効果は絶大です!』
「寝ている間に仕事が終わっている算段か」
それは文官達にとっては夢のような嬉しさだろう。
だがアスタロトは
「そうじゃなくて、起きたら駄目出しされた書類が積み上がっている?」
と困惑気味に見解を述べる。駄目出しされた山積みの書類。それは悪夢だな。しかし彼等にとっては現実だ。アスタロトが、パベルグさんと文官さん達、頑張れ~。と遠くなっていく空から励ましの言葉を贈る。
「不自然な金の流れを掴むことが出来れば、この国に害をなそうとしている者の姿がはっきり見える、ということか」
俺達に出来る手助けはこれくらいだな。
「ペムベルの進退に関わらず、お仕事し易くなると良いね」
アスタロトの優しさや気遣いが声から伝わる、心地良い響きだ。
「そうだな。あの中年貴族のことも気にはなるが、所詮は他人事だ。深入りはしたくない」
あのお漏らし中年貴族がペムベルが目覚めたくない理由の一つなのは間違いない。
「うん。他人事だ。あまり関わりたくない」
アスタロトの本音だな。彼も俺に無闇に心配掛けないようにと気を配っていることは知っている。が、如何せん面倒事は向こうからやって来ていて、元より今やっていることはラクーシルの尻拭いだ。何時になったら開放されるものだか。俺の憂いが伝わったのか、アスタロトが心配要らないよ、と腰に廻した俺の腕を左手でそっと撫でる。あぁ、暖かい。俺も彼をしっかり支えられるようにとの思いを込めてキュッと腕を締め直した。彼の背中が暖かい。
オリマ王都神殿からダイザー帝都神殿へ転移門を開いて移動する。
「おはようございます、アスタロト様、ガンダロフ様、聖騎士ダング。お待ちしておりました」
神官、聖騎士達が出迎えてくれた。神殿内はまだまだ落ち着かないが、皆元気で働いているようだ。西方地区の案内役は聖騎士ダングの元同僚の聖騎士ボルグ。昨日、檻の中で繋がれて瀕死状態だったのが嘘のように回復していた。若いって、羨ましい。
「聖人様方に同行させていただけて、本当に嬉しいです!」
聖人様方?俺とアスタロトがお互いを見合う。
「確かに男だね、二人とも」
ロト、指摘するところはそこか?
俺は
「『聖人』ではなく、『傭兵』と『魔法使い』だ」
とボルグの発言を訂正する。宗教的象徴に祭り上げられては堪らない。
「あのような奇跡を行える方はやはり『聖人様』とお呼びするのが正しいかと思います!」
聖騎士ボルグが両手の拳を握り締めて力説する。だがなぁ。と、アスタロトが腕を組んで少し威圧を掛ける。
「私は私のやりたいことをやっているだけであって、貴方方に『聖人様』なんて自分と思い切り懸け離れた名称で呼ばれるのは不愉快」
「では、『奇跡の方』とお呼びしても?」
話が通じない手合いか?アスタロトが珍しく困惑の表情を浮かべる。俺は、はぁ、と小さく息を吐いて横から口を挟む。
「俺は『傭兵』で彼は『魔法使い』だ。貴殿等が俺達のことを内心どう思おうが勝手だが、俺はガンダロフ、彼はアスタロト、だ。名前で呼んでもらいたい」
横でアスタロトがうんうんと激しく頷く。ボルグはパチリと瞬きをして
「畏まりました」
と、はにかむ。薄らと頬が赤くなったのはどういう心境なんだ?
バイクと橇を準備する為に中庭に向かう。
「高い所は大丈夫なのか?」
聖騎士ダングが心配して聖騎士ボルグに尋ねる。
「うん?馬車での移動ではないのか?若しくはさっきのように門みたいなものを通っての移動とか」
話が伝わっていない様子だ。アスタロトが説明する。
「転移門は私が一度行って印を付けた所でないと開けない。
移動は空飛ぶバイクと、それに繋がれた橇に乗ってもらうことになるの。具合が悪くなったらその時に他の人に代われば良いから、まずは乗ってみよう」
そして中庭に着くとアスタロトがバイクと橇をドンッ!と出す。
「は?!なんだこれ?!すごい?!かっこいい?!」
聖騎士ボルグは、興奮のあまり語彙崩壊気味に叫び出す。忌避感は無いようだ。そして実際に乗せて飛ぶ。
「うっひゃあぁーーー!!スゲーーー!」
と大興奮だ。あまりの浮かれ具合にアスタロトが心配する。
「あの人病み上がりだよ、こんなんで体力保つかな?」
「怖がるよりはマシだろう」
しかし、五月蝿い。と、その呟きを聞いて
「猿轡、する?」
と提案してくる。折角楽しんでいるところに水を差すような真似はしたくない。
「いや、それは必要ない。直に落ち着くだろう」
聖騎士ボルグが絶叫していたのはやはり最初だけで、後は空からの景色を楽しんだり聖騎士ダングと会話したりと短い空の旅を満喫していたようだ。
聖騎士ボルグは結局西方地区だけではなく北方地区も一緒に回った。というのも北方地区を統括していたのは北の住居で俺達が来たときには誰もいなかったし、今も聖職者はいない。
「北方地区は小さな国が点在している状態なのだな」
「イルシャ教ではなく独自の宗教とかありそう。抑もイルシャ教の概要とかって知らないなぁ」
「確かにはっきりと教えてもらった訳では無いからな。まぁ、説明されたとしても『聖者』等と持ち上げられるのは御免被るが」
うん、私も同感だ。とアスタロトがコクコクと頷いた。
西方地区、北方地区は問題無く巡回して、これで返答のあった全ての神殿の巡回訪問を終了した。




