ポーカーフェイス勇者のチートは量子力学を超える
とある村に勇者がやってきました。
魔王討伐に向かう旅の途中です。
早速手近な民家に入り、ツボを見つけました。
振りかぶって投げます。
ガシャン!!
ひとつふたつ。みっつ目のツボを割ったら中から赤い種が出てきました。
「勇者はパワーのたねを手に入れたテレレテレッテレレー!」
口ずさみながら見つけたばかりの種を口に放り込みました。パラメータアップアイテムです。残り2つのツボも割ります。
そして今度はタルを見つけました。これまた片っ端から破壊します。
ボガン、バキン!
ふたつ目のタルを割ったら薬草が出てきました。とりあえず道具袋につっこみます。
寝室の引き出しを開けて白いコインを見つけ、次にタンスを開けます。
「皮よろいを見つけた。装備しよう」
見つけたその場で装着します。
ついでにキッチンにいた女性に声をかけます。魔王の居所に関係する情報をしっている可能性もありますし。
「ここはツギノ村よ。薬草の栽培がさかんなの」
もう一度聞いてみます。
「ここはツギノ村よ。薬草の栽培がさかんなの」
特に何も知らないモブのようです。
めぼしいものがなくなったので勇者はさっさとずらかりました。
家を出たところで一つ思い出して民家の中に戻ります。
この時間、約5秒。
さっき破壊してまわったツボとタルが全部元通りになっていました。
いつもの光景なので勇者は眉一つ動かしません。
住人の女性も、再び赤の他人がノックもしないで入ってきたのに怒りもせず料理を続けています。
「あったあった」
寝室の本棚を見るのを忘れていたのです。本棚の書物をざっと眺めると、めぼしい本が一冊だけありました。
【白いコインを集めているお金持ちがいるよ。貴重なアイテムと交換してくれるかも】
実は民家で見つけた白いコインはこれで10枚目です。
「ふむ、このコインは大事に取っておこう」
本を閉じて、もう一度ツボとタルを全部壊して、住民に話しかけます。
「ここはツギノ村よ。薬草の栽培がさかんなの」
「ふむ。今日も平和だな」
勇者は一人うなずいて、再び民家を出るのでした。試しに民家に入ると、またツボとタルがもとに戻っていました。
魔王討伐の旅はまだまだ続く。
END
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