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フラれてからモテ始めた?片想いは重なるごとに濃厚になる。それぞれの片思い unrequited love(片思い)報われない恋の育て方  作者: さかき原枝都は
僕の知らない彼女 多分彼女は僕のことを嫌っているんだ!!
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第31話 僕の知らない彼女 ACT 16

静かだ。家の中が静かだ。


二人がいる部屋に入ると、ああ、二人とも、酔いつぶれて寝ていた。

「もう、この二人はほんと似た者同士よね。ていうかさぁ、頼斗君。だんだんとこの人に似てきている」

じっと二人を見つめながら「親子なんだものね」と少し寂しそうに言う。


血のつながりのない親子。それが頼斗さんと幸子さんとの関係。

それでも、二人は母と子なんだ。


「あなた、起きて、寝るんだったら寝室で寝てください」

「………う、うん」と幸子さんに起こされ、頼斗さんのお父さんはゆっくりと体を動かして、壁に立てかけてある松葉杖を手に取り、幸子さんに支えながら寝室へと向かった。


その間、テーブルにうつぶせになって寝ている頼斗さんをじっと眺めていた。

まったく、ホントしまりのない顔して寝てるよ。学校じゃ見せない顔だよな。

これが、うちのクラスの担任の本当の姿だ! スマホで写真でも取っておこうかと思ったけどやめた。

多分、頼斗さんは。ここだから、こんな顔ができるんだと思ったからだ。

唯一自分をさらけ出せる場所。それがここなんだと思う。


そしてどうして、頼斗さんが、ここにあまり足を運ばなかったのか。

それは多分。本当の自分というものをさらけ出すのが……嫌なんだ。もしかしたら頼斗さん自身。本当の自分の気持ちに素直に向き合うのが怖いのかもしれない。


そしてこの家族は、響音さんという存在がつなぎとめていた。その響音さんがもういない今。

頼斗さん、そしてその父親。この二人の間にいる幸子さんという存在を、どう見つめていけばいいのかということがわからなくなっているのかもしれない。

髪の毛よりも細い糸でつなぎ留められている家族。

その家族を彼は壊したくはないと願っているのは確かだと思う。


「ああ、もう一匹いたかぁ――――」

幸子さんが戻ってくると頼斗さんを見て、あきれたように言う。


「ほら、頼斗君ももう布団入りなさい」

「う――――ん、ああ、幸子さんかぁ―、帰っていたんだぁ」

「お水飲む?」

「ああ、お願いします」

「はいお水」

幸子さんがグラスに注いだ水を手渡すと、頼斗さんは一気に飲み干した。


「はぁ―、俺、こんなに酒弱くなかったんだけどなぁ。どうしたんだろう」

「疲れていたんじゃないの? もう休んだ方がいいわよ」

「そうするか。すまんな結城、先に寝る。まぁあとは幸子さんと楽しんでくれ」

「はいはい、もう、正気のうちに寝てください」


なんかこういうところは親子なんだ。ん―、なんか不思議な感じがするけど。

よたよたとした足取りで、寝床に向かう頼斗さんを見送り、また「はぁ―」とため息を漏らす幸子さん。

「さ、それじゃ私達は食べましょっか。残り物みたいになったったけど、まだ食べれるでしょ。結城」

「ごちそうになります」

「んっもう―、そんな他人行儀な感じじゃなくて、いいよ……だって私達、二人の秘密作ったんだから」

えええっと、秘密。確かに秘密だよ。

「えへへへ、そう秘密。それとももっと深い秘密を作りたい。やっぱり?」

「そ、そんなぁ。……」それはなにを意味しているかぐらいすぐに分かる。

この人を抱ける。この女の人を抱いてしまう。

それは……。


「全く素直ねぇ―、ごめんね。変な誘惑ばかりしちゃって。なんだか今日の私変なの。どうしてかなぁ――。今日がこの子の命日だからかな」

そして、今になって気が付いた。幸子さんが見つめるその先にあるフォトケースに映る彼の姿を。


あれが、響音さんか。

よく似ている。幸子さんの面影が、本当に幸子さんの子であるというのがよくわかる。

それに、な、なんだ。かなりのイケメンじゃないのか? これじゃ、恵美がホレるのも分かるなぁ。見る

からにとてもやさしい感じが伝わってくる。

ま、負けたな……。この勝負響音さんの勝ちだな!


「ねぇ、響音の写真見てみたい?」


買ってきたウイスキーの封を開け、氷の入ったグラスにウイスキーを注いで、カランと氷を鳴らし軽く口に含んでいく。その姿を僕の横で幸子さんは何気なく見せつける。

大人の女性のその姿は、今までになく感じたことない不思議な想いを馳せさせる。

別にまだ、僕を誘っているわけではない。これがくつろぎ始めた幸子さんという女性の姿であるんだ。

素の何もない、この人の、女性としての姿が現れようとしているんだと思う。


そんな彼女の姿を目に映しながら「見たい」と一言言った。

スマホを取り、椅子を僕の横にぴったりとくっ付けて……肩を触れ合わせながらスマホに映る。



思い出人のその姿を僕は、伝わる彼女のぬくもりを感じながら眺めていた。

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