第6話 過去
美琴の過去話です。
視点は咲(咲蘭歩)ですが。
(−−−成瀬川 橋下のダンボールハウス−−−)
「あっ!また壊されてる!!!」
と、彼は壊れ、汚れ、本当に住んでいるのか?と言えるほどボロボロな生地で作られたダンボールハウスを見てそう言う。
「…!」
私は、彼のダンボールハウスまで寄ると、すぐに気がついた。
借金とその書かれていた名前…これは…
「柳 三郎…僕の祖父ちゃんの名前…消されてるだろ?」
そうなのだ。
マジックのようなもので、柳 三郎 の三郎の部分が塗りつぶされ、孫の名前、美琴の名を書いて、そのあと…え…これって…
「今日…お前を…こ…殺しに行く・・・!!!???」
そうたしかにマジックで、濃く描かれている。
「…そうか…今週で僕も終わりか…」
と、トンネルの下、ダンボールハウスを組み終えた彼はそう言う…
「え…こ…これ…」
「見ての通りだよ…僕は今日、ここで殺される。多分ストレス解消でもされるんだろう、いや臓器かな」
「ああ、臓器は高く売れるお前の体はな」
と、向かいのトンネルの下に…誰かが…
「祖父ちゃん、もう来たんだ…もう少し遅く来るかと思っていたよ」
「フン、くだらん…目の前に大金があるんだ、急いでくるもんじゃろ…ったく、お前の親はなんじゃ、臓器を残すどころか、粉々に粉砕じゃ。」
…一体…なんの会話を…
「残念だったな…三郎…!!!そりゃあ、家を焼かれ、その下敷きになったんだ!それも…これも…全部、お前の強欲なるその性格でな!!!」
「…気がついておったんか…まったく、でもまあ、お前の母親だけはマシだった、その分にはワシも多めに見たつもりじゃな」
え…、家を…。
「何が多めだ…川に流されて、ここまで辿り着くのに一二年かかった。」
「お前がたるんどる証拠じゃ」
「なんてことを!それでもあなたは美琴君のお祖父さんですか!」
なんて、どうしても許せなくて…。
つい口を出してしまった。
「ほほ、お前の女か?都合がいい、二人分の若い臓器か、こりゃあ、天下の微笑みか?ワッハッハッ!!!」
え…、もしかして…私…
そして、祖父さんは、こちらへ普通に歩いてくる。
それに美琴君も下がる。
そして、私のところまで来ると、彼はこう言った。
「…僕が君を守る…」
その一言を言うと、彼は祖父さんの所へ走り、殴りかかる。
が、それにカウンターをかけるように、右腕をあげ、美琴君の首をあて、一瞬宙に体を浮かせられ、首をつかまれる。
「ぐぁ…あぁあ…」
だが、美琴君は、必死に抵抗し、祖父さんから逃れる。
そして…美琴君は、殴りかかる。だが、かわされてしまう。
今、祖父さんが背に向けるのは川。
それを見た美琴君は、一瞬私を見ると、体を投げ出し、そのまま祖父さんを道連れに、川に落ちた。
「…さようなら、幸せに…な…」
最後の最後で、彼は川に飲まれ、祖父さんもまた、川に飲まれた。
「…み…こ…」
私は…彼に救われた。
だが、彼は救われなかった…。
だから、今度は…。
小学6年生。
その頃になると、ふとあることを思い出す。
2年以上も…。いや、あれは過去だ・・・。
だが、そんなことを覆すように、彼が現れた。
「ええ、今日は転校生を紹介します。柳 美鈴ちゃんと柳 美琴君です」
と、先生が言う。
そして、二人が現れた瞬間。
私は胸がドキッとした。
彼…だ。
「柳 美鈴です、前の学校では、楽しかったのですが、突然転校しなければならなくなってしまい、残念だったのですが、ここでもその時と同じぐらいに楽しくできたらいいなと思います。」
「柳 美琴です…。」
だが、美琴君は、それ以上を言わず、先生に何かを伝えると、そことそこと先生が席を指示した。
「ひ…」
「こんにちは」
「…こんにちは」
私の隣に座ったのは、美琴君だ。
美琴君は、何も覚えていないようだった。
…そして、卒業式…。
彼は、ある一人の少女に告白されていた。
「付き合って…ください」
「…ごめん」
彼女の名前は、七汐 桜歌。
結構人気のある女子。
無論、美琴君の耳にも入っていると思っていたのだが、彼は誰?といわんばかりの返事をした。
…このとき、確かに私は、安心していた。
美琴君を誰にも取られたくない、美琴君は、私が守る。
そう…思っていた…。
それから、私は、下校する。
見慣れた街並みが、私の視界に入る。
そして、その光景の先に…彼がいた。
私は、彼を呼びとめようと、手を振りながら、‘あの‘横断歩道を渡る。
すると、あの時と同じ…横断歩道に、信号無視をしたトラックが突っ込んできた。
私が気がついた時には、遅かった。
私は、怖くて…目をつむった。
「何やってんだ!早く!」
「…え」
私は、誰かに手をつかまれ、横断歩道を走った。
その人は…
「みこ…」
「僕の名前…覚えてくれてたんだ、千代島さん」
まぎれもなく、彼だった。
でも、横断歩道の先には、‘転校してきた美琴君がいる‘
じゃあ、この私の手を握っている、彼は誰?
彼が、本当の…美琴君?
私の知っている美琴君…?
私の思考が、一瞬ブツリと切れた。
「本当に…あの、美琴君…?」
と、変なことを聞いてしまう、私がいた。
でも、彼は、首をかしげる。
「妙なこと聞くね…、もしかして、疑ってるの?」
と、彼はあの時と変わらない…いや、少し成長した声でそう言う。
…あ
「ひゃぁぁ!手…握ってたんだぁぁ…ひゃぁぁ…」
と、変な声をあげて悲鳴というよりも、喜びの声をあげていた…いや、そう思いたい声を上げた。
「大丈夫?あ、そうだね、手離そうか?」
そう彼が言ったので、プクッと膨れて
「いい、もう少し…このぬくもりを味わいたい」
「そ?」
私は、こう言われ、コクンと顔で「うん」と返事した。
長いです。
更新にも時間がかかり過ぎて困るほどに…。




