第43話 忘れないで
守りたい…守り…たい!!!
彼が…死んでしまった。
その情報なんて、私の脳裏に既によぎっている。
でも、あいつの情報で、彼が目覚める方法を見つけた…そして、もう出来上がっている…。
後は…私だけなんだ…。
待ってて…柳君!!!
歩は、走る。
守るべき人のため、守るべき仁義のため…。
そして、愛のために。
いつからだろう…。
いつから…私は…。
ダッダッダッ...
思い返せば…その出会いなんて、簡単な物。
彼に出会った…あの倉庫。
私は、粕壁さんが、彼を連れていくのを目撃し、追跡。
その後、侵入に成功した。
しかし、あの頃の私は殻をかぶった化け猫のようだった。
でも…知った。
彼が…コメコイ4の一人であったことを。
リーダー、春日君に加えて、柳君、川梛君、そして…岬さん。
彼らは、自らをコメコイと呼んで、仲良し4人組を築いていった。
でも、ある日…春日君が急にそれを辞めたそうだ…。
どうして?理由を問い詰めても、答えは返ってこなかった。
ただ…暗く表情を下に向けるだけ…。
悔んでいるのか、両手をギュッと握りしめるだけだった…。
私は部外者なのだけれど、彼らと出会い、そして助けてもらったことがある…。
そう、その人こそ、あの柳君だったのだ。
(--- 水鳥乃国立病院 ---)
「ようやく…着いた…」
そして、彼の病室まで足を急がせた。
カウンターで場所を聞き、右へ左へと階段を上る。
ようやく辿り着いたそこは、4Fだった。
ここは計5階建て。
病室は、3,4Fのみとなっている。
1,2Fでは、患者の健康診断や怪我をした人を治療する医療機関、または病気を予防するためのような…そんな構造が多くある。
私は、早歩きで、柳 美琴 とついたプレートを探し…そして、見つけた。
「ここが…」
目の前には、柳君が…いる。
「よし…」
どうやら、自動ドアだったらしく、私がはいろうとするとき、横にグィーと動いた。
そして…ようやくご対面。
「せっ…生徒会長…」
「柳君は…」
「それが…」
ええ、わかってるわ…だから…来たのよ。
「…ねえ、榊さん、千代島さん」
「「なんでしょう」」
「柳君を…助けたい?」
「…勿論です、でも…失った命は戻ることはありません。」
「いい方法があるわ…それも、神さまからのね」
「え…?」
「でもね、それには…条件があるの…」
「じょう…けん…?」
「ええ、それは…」
私は、ゆっくりと眠る柳君の元へ歩く。
そして、耳元まで顔をやり、そして…
「え…ちょっ…」
その発言を聞かず、私は彼の唇と私の唇を重ねる。
まさしくそれは目覚めのキス…。
けれど、彼は…目覚めない。
「貴方達も…キスを、王子は森の少女たちによって、目覚めるわ」
ファーストキス…。
そう、柳にとってファーストキスだったそれを軽々しく捕られた咲蘭歩は愕然とする。
それもそう、愛する恋人のファーストキスの相手が、まったくの部外の人物によって奪われたのだ。
「…わかったわ…」
と、今度は由恵が、そのあとに続いて咲蘭歩がそれぞれキスを施す。
その時、ハッと思いだして、歩は言う
「…彼が起きた世界は、本当にいい世界か…わからない…だから、貴方達が彼を守ってあげて…」
そう告げ、歩は病室を出るのだった。
「…柳君…私のことを…忘れないでね…」
そう言い残して…。
次回 第44話 最後の決意
ようやく最終話まで後2話ぐらい…かな?
つまりは、45話で終わるわけです。
長いような…短いような…。




