第一話 僕には、彼女がいます
はい、始まりました。
3までの内容とは、まったく関係ない話です。
「まっ間に合った…」
「お前…また寝坊か?」
と、校門を閉めていた教頭に笑われた。
教頭とは結構仲がいい方で、休み時間にたまに遊びに行って、一緒に話したりとする。
まあ、先生の中では一番の中というべきだろう。
この先生は、子供にも優しく、それに面白い。
学校中の生徒からの評判もいい。
だからと言って、ただの暢気者でもなく、やる時にはやる と言った人である。
「今…はぁ…何時…ですか?」
と、息切れした僕はそう言う。
それを聞いた教頭は、学校のほぼ中心に位置し、もっとも高い校舎の教室よりも高い位置にある時計を指さし、8時15分。
と言った。
「…間に合いますかね…?」
「なぁに、間に合わなかったら、俺が話し相手になって、みっちりと説教タイムを設けてやる」
と、相変わらずの笑顔でこたえる教頭。
その笑顔は、そのセリフ以外に、ほら、早くいけ!と言った厳しい言葉も混ざっているような感じもした。
だから、校舎の中を走った。
普段は走ってはならぬ校則だが、今の状況で走らなければ、居残りである…。
相手は教頭なのだが、それでも走る理由があった。
「あっ、美琴っ遅かったね」
「それ以外に言うセリフ、ないんでしょうか…?」
「まぁまぁ、そんなチワワみたいな目をしなさんなって、少し萌えてくるから」
「…まあともかくとして、今日ですよね?」
「なぜに敬語?まあ、そうだね今日だよ、君が遅刻してきそうな雰囲気であったから、彼女である私がここに来たわけだ、なんとも彼氏思いの彼女なのであろうか!うぅ…感動であるぞ!」
と、妄言のようなものを作り上げる目の前にいる八方美人は、傍から見れば、たしかに美人で優しいだけであるが、僕から言わせてみれば、少し変わった人だと思えてくる。
「それで、その八方美人さんの彼氏である僕は、周囲から敵視されているのである」
「勝手に人のセリフを取らないでくださいっ!(っていうか、心の声を読むなぁー!!!」
と、大きく手を縦に振りながら必死に抵抗する僕。
だが、彼女の言う通り、僕は、そんな彼女の彼氏なので、特に同級生の同じクラスの子からは、結構な敵視を食らっている。
そして、いつものように彼女に助けられている。
そもそもの根源は貴女でしょうに…。
「それで、後1分でチャイムが鳴って、朝の会が始まると思うのだが?」
「やばっ!」
と、そこに教室の目の前で話をしていて、それに気がついたある一人の少年がその教室の窓から顔をのぞかせてそう言う。
彼の名前は、川梛 薫人。
彼には、双子の姉がいて、その人も同じクラスである。
そして、その教室に僕は向かう途中、彼女、つまりは僕の彼女である千代島 咲蘭歩に捕まって、3,4分の遅れ。
席に着いた時に、一斉に出席が確認され、それまで僕が自席に鞄を置かなくては、僕は居残りである。
僕は、教室の扉を開ける。
横式の扉。
外見から言えば、普通の教室。
特に違和感はないのだが…。
「っち、柳来たのかよ」
「あいつ、チョーシ乗りやがって」
「隣に千代島さんがいるからってよ」
「女に守ってもらうなんて、男として恥だぜ」
と、陰でこそこそ言われていた。
「…はぁ」
と、僕はため息一つ。
そう、僕はいじめを受けているのである。




