第18話 先輩
「よぉ~い、ドン!」
パンッ!と、ピストルの音とともに僕らは一斉に走る。
スタート地点で、僕の左右は川梛姉弟になっている。
今年の運動会では、顔を見せることなどほとんどない1,3年の人たちと顔を合わせることとなり、いつもよりも多人数で行うこととなる。
僕が通うこの水鳥乃学園は、基本的には学年によってそれぞれが別々なことをしている。無論運動会も例外ではない。
今年は校長先生の入れ替えがあり、大宮王学園の校長が今はこちらに来ている。
唯一その校長と面識があるとすれば、粕壁先輩ぐらいだろう。
ちなみに、僕が彼女のことを先輩と呼ぶようになったのは、あの日以来だ。
「あっあの!」
3年4組の教室から出た僕らは、なぜか屋上へ行った。
それから、だんまりとした二人は、コソコソと話しをした後に、僕にこう言った。
「ずっと、ずっと好きでした、この気持ちに嘘はありません。たとえ貴方が私を好きでなくても、私と付き合えなくても…私の気持ちをわかってもらいたいんです…。」
「…えと…」
「…あっあの!すっすみません!変な…こと…言っちゃ…て…」
正直驚きであった。
同級生には告白されたことがあったが、上級生に告白されたのは初めてで…それに、こんなおどおどしてる上級生を初めてみたというか…、新鮮だ。
「…僕、彼女いるから付き合えないけど、気持ちだけ…受け取っていていいですか?」
なんて、言って…。
だけど、その発言に彼女はにっこりと微笑んだ。
「はい!ありまがとうございます」
…新鮮だ。
「はぁ~い、ラブラブ~な雰囲気ですが~後1分でチャイムが… キーンコーンカーンコ~ン ほら、鳴った」
「ん~と…それじゃあ、そろそろ行きますねそれじゃ…」
「あっああ!私のことは、環奈でいいよ!」
「私は粕壁先輩っておよび」
「それじゃ!粕壁先輩と環奈先輩」
そう言って、僕は二人に手を振り、また二人も手を振って…。
それから、僕は、粕壁先輩と呼ぶようにしたんだ。
「…!!!」
ピストルが鳴って…フライングした人のおかげで、回想していた僕は、誰にも抜かされずにすんでいた。
「ふぅ~…」
「ぼぉ~とすんなよ、今のそ~とうやばかったぜ」
「頑張れ、みっちぃ」
「うん」
「いちについて!よぉ~…いドン!」
また、ピストルのパンッ!から始まるのであった。
回想を入れてみました。
運動会編は、まだ始まったばかりですので…。




