第17話 水鳥乃学園運動会 -開幕-
「それではぁああ!第一回、水鳥乃学園運動会を開始する!」
「うおおおお」
歓声の叫びが、学園を覆い尽くす。
その中で、一人重い表情をする美琴。
昨夜、彼との話に、何かあったと物語る。
「美琴?どうしたの?元気ないよ」
「…」
「返事ぐらいしてよ具合が悪いなら、保健室にでも…」
「…といてくれ」
「え…?」
「ほっといてくれ!僕のことは!」
大きくそう叫ぶように、だが、歓声の声には程遠く、他の誰も美琴の声には反応しなかった。
「…わかった」
その声に体を震わせ、二歩さがり、そう言って咲蘭歩はっ去って行った。
季節は、もうじき秋となろうとしていた。
その前には夏休みがあったが、美琴自身、その中で特に楽しいと言ったこともなく、最終日になり、ついにはその日まで家から出ることはなかった。
それから数日が経ち、彼と出会い、話し、そして今に至る。
「はぁ…まさか…なぁ…」
自分の手に映る彼の顔、いや自分の顔かもしれない。
そして、走馬灯のように、過去が浮き出る。
あまりに悔しい、そんな感情が手から汗となって、こぼれおち、それを逃さず手を握りしめる。
「…まあいい…のか」
「おーい、美琴~」
「みっちぃ~次、共同マラソンだよ~」
「…」
(まあ、いっか…僕は、今を…今日を楽しまないとな)
学園の窓辺から、一つの影が、運動場を見つめていたことを、誰も知らない。
「ねぇ~みっちぃ元気ないね?」
「そんなことないよ百合姉」
「そう?何かあったら、言ってよね~」
この人は、川梛 百合人さん。
薫人とは、歳差の変わらない姉弟だ。
「そういえば、さっきから さくらん 全然見かけないんだけど、見てない?美琴」
「…見てないよ」
「そぉ~?わかった」
「おーい姉御、美琴~そろそろスタート地点につけよな~!」
「うっさいわねぇシゲ男!待ってなさい!いくよみっちぃ」
「うん」
そして、運動会はスタートの合図を知らせるピストルの音で始まった。
二人の美琴の続きは後に。
話が長いと、読者も飽きる(いや、元々この作品自体が駄作なんだよ)と批判を浴びるのが嫌なので、明るいもので始めました。
この話は、基本的にコメディにしたいと思っております!




