第16話 二人の美琴
それは、ある日の帰り…。
何事もなく、ただ平凡に時が過ぎて、それが珍しくも思えた日であった。
…が、今は違う。
目の前にいるこの人物…僕の友達がいる時点で、すべてが変わった。
平凡な日常…それが崩れてしまうぐらいに。
「久し振りだね…、あの日以来だね…何年ぶりになるかな?ミコト」
そう、彼は言う。
僕とよく似た、いやむしろ鏡でも見ているのではないか、鏡に反射した自分がしゃべっているのではないか?と思えても来る。
服装は違えど、外見は、瓜二つであった。
「…少し、話がある…時間取れるか?」
「フム、なるほど‘あの件‘について…かな?」
いや、似ている。
声、身体、顔…何もかも
傍からみれば、それは、再開した双子がいるように思えてくるだろう。
(---四、五年前のある日の冬 万橋街---)
それは、たしか…四、五年も前となる。
春には、満開の桜が立ち並ぶこの桜道と呼ばれる程に、果てしない桜が咲き乱れるその場所に、僕らはいた。
ここは、夏には緑葉が咲、秋には紅葉が咲く。
変な話だ。
桜の木のはずなのに、秋には紅葉が咲く木になってしまう。
そして、紅葉が散り、より一層秋を感じさせてくれるこの道…。
オレンジに等しいその色合いと、鮮やかな宙返りを演出させては、演技の終了を意味する地面へと何事もなかったかのように静かに、音もたてずにただただ…ヒラヒラと蝶のように停まる。
その蝶たちを、レレレのお さんのように、せっせと一人、また一人と枯れ葉をかき集めに来てくれるボランティアたちもまた、この季節に欠かせない色だろう。
そんな中、僕らはその道に冬を迎えた新しき道に、足を踏み入れていた。
景色は、まさに白の結晶、もとい白き世界が広がっている。
幻想的なその世界に、終わりがないかのような感覚を持たせようとしているのか先が曇ってうまく見えない。
木々にかかった雪がズルズルと落ちてはまた雪をためている。
「成る程、入れ替えか」
「そ、僕にそっくりな君にしか、このことは頼めない」
「それはいいが、本当にそんなことをしていいのか?ミコト」
「違っているのは、髪型と服装だけだ問題なんてない」
「そういうことではなく、得をするのはボクだけだということだ」
「構わない、僕も少しは外の空気を吸っておきたいんだ」
「そうか…じゃあ、最後に」
「ありがとう…そして、さようなら」
茶色のレインコートに、水色のマフラー、青いジーンズをはいた彼と、また僕は黄色いマフラーを首から肩、背中へ余った部分を回し、襟から下へ三つボタンをつけ、腕と肩より下は、白、上は蒼と言ったところ。
ズボンは同じだ。
が、所々に破けた部分があるのは、少し残念なのか否かは、あまり考えてはいなかった。
(---現在---)
「あの日以来だねミコト」
「今にして思えば、自分の愚かさに目を覆いたくなるよ…そして、これからもね」
「…異言はないよ」
「…」
こちらも…とも言えず、黙り込む僕。
少し、情けなく、悔しかった。
「さて、話の続きと行こうか…ミコト」




