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勇者と聖女のとりかえばや ~聖女が勇者で勇者が聖女!?~  作者: 星野 優杞
勇者アキレアと聖女フリージア
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魔王戦開始

王子の予想通り、魔王は3階の礼拝堂にいた。

3年生の教室の方だったから来たことが無かったけれどステンドグラスがキラキラしていて綺麗な部屋だと思った。


そして部屋には魔王と、操られた生徒が数人。3年の魔法使いクラスの生徒のようだ。そして


「先生……。」

「フリージアさん……いえ、アキレア君。あなたは勇者だったんですね。」


そこいたのは私の回復の授業の先生で、この学校の回復室の先生でもある先生がいた。操られている様子はなく、どうやら意識もあるようだ。


「アッキーを返してくれない?」


王子が口元にゆったりとした笑みを浮かべてそう言う。目は全く笑ってないですけどね!


フリージアは礼拝堂の奥の方にいた。

元気そうな王子を見て嬉しそうにしたり気まずそうにしたりしている。

それから私たちにも目を向けてとりあえず軽く手を振っている。

……元気そうで何より。いや、手を振ってる場合じゃないよ、フリージア!


「せっかく俺のところに連れてきたんだ。易々と返す気はない。それにお前たちも、今回は俺を、殺しに来たんだろう。」


魔王も口元を吊り上げながら言う。こちらも目が笑ってない。交渉は見事に決裂したようだ。


(まあ、どっちにしても魔王は殺さないといけないけれど。)


1つ、息をついて気を落ち着かせる。やらないといけない。そうしないと世界は救えない。

大丈夫。今までフリージアに勇者を押し付けてしまったんだから、ここは私が……

ふと、右手が暖かくなる。隣を見れば、ホワイトレースが眉を下げて微笑んでいた。


「私がお傍にいます。大丈夫です。」

「うん。」


そうだ。私は一人じゃない。

私は魔王たちの方に向き直った。するとちょうど、魔王が私に目を向けた。


「冷たい目のお前は、やはり聖者などではなかったな。」

「ああ。悪いが、私は、世界を救うことにした。」


声は震えていたかもしれない。

だけど、今から命を懸けて戦う相手に、私はしっかり自分の意志を伝えたかった。

魔王はそんな私を見て、少しだけ目を大きくした。そしてまた口元を吊り上げた。


「じゃあ始めるか。俺の命と、世界をかけた戦いを。」


魔王のその言葉が開戦の合図だった。

向こう側にいた数人の生徒が一斉に襲い掛かってくる。

近接攻撃が得意じゃない私はとりあえず皆の防御を固める。神聖魔法のシールドは魔法も物理も防げるからとても便利だ。


王子が生徒達を気絶させようと動くが、


「!!」


どうやら先生がバフをかけているらしい。

この生徒たちの動きはフリージアのクラスメイト達よりも上だった。こちらもライさんがバフをかけてくれているし、ライさん自身も向こうの生徒たちくらい強いんだけど……!


「くっ!」


魔王が隙をついて王子に攻撃を仕掛けてくるから質が悪い。

とりあえず生徒たちを動かないようにしないと埒があかなそうだ。


「強化解除。強化無効。それから加えて速度低下!!」


そう思っていたら隣で何かブツブツ呟いていたホワイトレースが魔法を発動した。3つの魔法をほぼ同時に敵全体にかける。だいぶ面倒な魔法だ。というか、この魔法のために今まで私の近くで動かなかったらしい。

そして速度が落ちた瞬間。王子が生徒たちを剣の柄で殴って行動不能にした。


先生と魔王が次の手を打ってくる前に王子が魔王に斬りかかり、ホワイトレースが先生に魔法を放った。この間私はずっと防御に徹している。

特に王子。魔王の反撃とか気にせずに斬りこみに行くし!

まあ、魔王の気をそらすためなんですけど。


その隙にライさんが生徒たちを部屋から放り出していた。多分兵士の皆さんが回収してくれるはず……。

ちなみにホワイトレースは私のそばにいるため私が自分の身を守るためのシールドで一緒に守れるので楽です、はい。

ホワイトレースは私の傍からそのまま先生に攻撃を仕掛けている。確かに魔法は遠距離でも攻撃できるけどね。

私が防御、ホワイトレースが攻撃なので先生は不利だ。


「アキレア君。じわじわアッキーの方に移動できない?アッキー回収しないと色々問題だからさ。」


ライさんが俺の近くに来てそう言った。

まあ確かに一か所に固まると防御しやすいんですけどね?


魔王と王子は激しい戦いを繰り広げている。

一応魔王の魔法攻撃は私がシールドで弾いているけれど、やや押されている感じだ。

ライさんはそこに自分が割って入ることはできないと判断したんだろう。

強化魔法は王子にかけ続けているが、他の行動をしようとしたらしい。


「分かりました。ちょっと私、手が放しにくいので、ライさんが安全確認して私の背中とか押してください。それに従って動きます。」

「お、おお。」


実際結構余裕はないのだ。王子と魔王はどっちかと言えば魔王が優勢だし、私がミスると王子に致命傷を与えかねない。

しかも自分たちの周りの防御もしながらなので大分神経を使うのだ。

でもフリージアがいないと状況を打破できないのも事実である。私たちはじわじわ移動を始めた。


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