とある会話
一応最終章?の初めの話のつもりです。とある誰かの会話です。
「体調はどうですか?」
ええ。あれから、だいぶ良くなりました。
「それはなによりです。クラスの皆さんはどんな感じですか?」
皆優しくて、とても良い人たちです。だいぶ仲良くなれたと思います。
「順調そうですね。」
はい。
……先生、俺、変ですか?本来そうであるかもしれない人よりもずっと、そうであってはいけないと思っていた人の方が、ずっとずっと素敵に見えるんです。
「変じゃありません。そうであってはいけない、とは、私も思っていたのですが……違ったようです。ただ、そうであったことも……少ないですがあるので、ありえない話ではないのでしょう。」
じゃあ俺が、説得して仲良くなってもらえばいいんでしょうか。クラスの皆と同じようには出来ないから緊張しますけど。
「そうですね。あなたのお気に召すままに……。けれど、私、実はちょっと疑っているのです。」
疑っている?
「本来そうであるかもしれない人の背中を、私は押そうとしたのです。けれど彼女は私の手を強く跳ねのけた。違和感を覚えるほど強く。」
確かに彼女は恐ろしい。俺はあの目が好きじゃない。
「そして私は彼を実際に見ていますし、授業も教えています。そしてあなた様からのお話も聞いています。そして私は彼が、優しすぎるのではないかと感じたのです。」
違和感?
「はい。違和感です。そして2つの違和感は、逆にすればぴったりとハマるものではないでしょうか。」
それは……神が間違えたのか、それとも2人が周囲を騙しているとでも?
「分かりませんが、そうだとすれば、彼はあなた様をどうにも出来ないはずです。だってその力が無いのだから。」
確かに。そうだとすれば好都合だ。
まあ、彼は出来るとしても土壇場で出来ないタイプだと俺は踏んでいるが。……とりあえずそうだとすれば彼を捕らえることにリスクはほぼないのか。
「まだ確証はありませんが。」
心から俺に向き合ってくれる彼に、力づくというのは少し心苦しいが。
頭に過る彼は、いつだって隣の男を見つめていた。
俺に向き合ってくれはするものの、俺が求めているのはそれだけじゃない。隣に立てば、その視線を俺に向けてくれるのなら。力づくでもその場所を奪いたい。彼が隣にいてくれた数十年があれば、俺はきっと、数千年は生きていける。
「生きていくのは怖いですか?」
でも死にたくもないからな。せめて俺の心が人間のそれだというのなら、人間としての寿命ぐらいは全うさせて欲しい。数年のうちに死ぬか、死ねなくなって数十年、数百年、場合によっては数千年生きるか。
彼が俺だけに微笑んでくれる可能性が少しでもあるのなら、俺は後者を選びたかった。
彼……ああもし逆なら彼女なのかな?その、彼らが逆であることを確かめるにはどうすればいい?
「それなら簡単でいい案がございます。逆だったらそれで良いですし、もしそうじゃなくてもあなた様が一番邪魔だと思っている者を排除できます。リスクはいつだってあるので、早いうちの方が良いでしょう。」
へぇ、どんな方法?
「最上級魔法を使わざるを得ない状況を、作りだせば良いのです。」
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