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勇者と聖女のとりかえばや ~聖女が勇者で勇者が聖女!?~  作者: 星野 優杞
勇者な聖女と聖女な勇者
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放課後駄菓子屋にて

お金の単位はポン。円と同じ感覚です。

「ところでアッキー。買い食いって興味ない?」

「いつも給食以外に牛乳を買って飲んだりしてるけど?」


あ、これじゃ買い飲みか?


「そうじゃなくて!学校が終わった後に帰り道でお菓子とか買って食べるんだよ。」

「お前、寮だよな?」


寮は学校の敷地内なので、帰り道が無いような気がするんだが。


「細かいことは良いんだよ。」

「まあまあ。つまり学校が終わったら一緒にお菓子を買って食べないか、ってことじゃない?」


ライが苦笑しながら話をまとめてくれた。


「お菓子か……。」

「うん!駄菓子屋さんに行って、駄菓子買おう!!」

「駄菓子……。」


駄菓子。名前は知っている。平民の子供がよく買って食べているというお菓子だ。

俺は多分ライやアストロンよりだいぶ下の方の貴族だが、それでも一応貴族なのであんまり駄菓子というものに縁は無かった。正直食べてみたい。けど


「駄菓子ってどこで売ってるんだ?」


貴族が普段買い物に行くところにそんなものは売っていなかったと思う。俺より上級貴族そうなこの2人が知っているとは


「僕の行きつけの駄菓子屋さんがあるんだ!!」


知ってるんかい。

しかも行きつけかよ。

心の中でツッコミを入れる。でも、当てがあるのは良いことだ。


「それに駄菓子屋さんで少ない金額で色々考えながらお菓子を買うことは、将来の勇者の旅に役立つと思うんだ。」

「勇者の旅に?」

「金銭感覚というか、お金の使い方の練習になるよ!」

「いつも牛乳とか自販機で買ってるから、一応自分で買い物はしてるんだが。」

「それは……買い物スキルといっても結構局所的だと思うよ……。」


ライに言われるのはともかくアストロンに言われるのは何処か納得いかないんだが。


「とにかく100ポン……じゃ少ないかな。500ポンだと多いし。……うん!間を取って300ポン持って放課後に学校の前集合ね!!」


こうして俺は放課後に駄菓子屋に行くことになった。




放課後連れていかれたのは城下町の端の小さいけど小ぎれいな店だった。


「ローデさん!」

「あらあら。アストロン様にライ様。ようこそいらっしゃいました。そちらは……。」

「アッキーだよ。僕の親友ですっごく強いんだ!!」

「あ、アキレアです。よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。アキレア様ね。アストロン様達の親友なら大歓迎ですよ。」


どうやらローデさんと呼ばれたおばさんが一人で切り盛りしているようだ。アストロン達に促されて駄菓子屋さんに入る。


「わあ!」


棚に敷き詰められている、駄菓子に小さなおもちゃ、文房具。

カラフルでぐるぐるした棒状のゼリーに、キャラクターが描かれたパッケージに入った乾物、安いのに結構大きめの棒状のお菓子、文房具も食べ物の形をした消しゴムやかわいいペンが揃っていた。値段もお小遣いがあれば買えるものがほとんどで、俺でも色んなものを自分で買えるということに胸が躍った。


「こう見ると意外と300ポンは大金かもしれない……。」

「上限が300ポンで節約しても良いと思うけど。」


ライが俺を見ながら笑う。その手には何やら小さなカップラーメンのようなものが……。


「あ、これはミニ麺。俺、これ好きなんだよね。ローデさんがお湯を入れてくれるから食べたかったらアッキーも買うと良いよ。」

「ちなみにお値段は?」

「60ポン。」

「おお。」


確かに量とかを考えれば妥当な値段だろう。だが、100ポンの半分以上を失うのか。


「このゼリーが20ポン、このガムが10ポン……この棒状のスナック菓子も10ポン?!」

「アッキー!この30ポンのお菓子、皆で10ポン出しあって買わない?」


俺が棒状のスナック菓子のコスパに驚いているとアストロンが何かを持ってきた。丸いチューイングガムが3つ入った菓子のようだ。どうやらすっぱいハズレが1つあるらしい。確かにみんなで来ているんだし、こういうのもありかもしれない。


「じゃあローデさんこれください!」


俺達はそのお菓子を購入し、一斉に口に入れた。

ん!

……うん、甘い。

ぶどう味のチューイングキャンディーなのだろうか。普通に美味しい。口を動かしながら2人の様子をうかがってみる。


「……アストロン。」

「いま、はなしかけないで。」


アストロンは口を抑えて、目をギュッとつぶっていた。これはどうやらアストロンがはずれだったようだ。


「すっ……美味しいんだよ?!美味しいけどすっ……すっぱい!!でも美味しいんだけど!!すっぱいけど癖になるような、いやでもすっぱいし」


すっぱいのは分かった。……でも美味しいのか。一回くらいは味わってみても良いのかもしれない。

 



「それでアッキーは……大事そうに食べるねえ?」


俺はもなかに、なんかカラフルな小さいグミのような寒天のようなものがのったお菓子を食べていた。ライがミニ麺を食べながらそんなことを言ってきた。


「ちびちび食べてる。」

「なんかこういうお菓子はちびちび大切に食べたい気持ちにならないか?」

「俺はどっちかというと一気に口の中に流し込みたいタイプ。」

「大人になったらやってみても良いかもしれないな。」


俺は今あるお金を大切に使うタイプなのだ。買ったお菓子も大切に大切に食べたい。ライと話しながら大切にお菓子を食べる俺をアストロンがまじまじと見ている。


「なんだ?欲しいのか?」

「え?!ち、違うよ!!僕は僕で買うから大丈夫!!」


俺達はそれから放課後、たびたびローデさんの駄菓子屋に行き、駄菓子を食べたり遊んだりするようになった。


ア「何食べてるの?」

フ「駄菓子ってやつだ。最近駄菓子屋さんに行ってだな。」

ア「へえ。良いなあ。」

フ「放課後くるか?」

ア「うーん。でも放課後はホワイトレース様が来てたりするから、早く帰りたいんだよね。」

フ「そっかー。」


気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマーク、評価や感想をいただけると嬉しいです!

次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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