放課後ラーメンって青春っぽくない?
謎のラーメン回です。
そして俺達は放課後、駄菓子屋さん……ではなく、ラーメン屋に向かった。場所は駄菓子屋のすぐ近くだった。気分はいつもの駄菓子屋さんに行く気分だ。
ラーメン屋さんはカウンター以外にテーブル席もあったので、そこに座る。メニューはラーメン、ワンタンメン、チャーシュー麺だけだった。
「自信もって出せるラーメンが醤油だから、通常メニューはそれだけなんだって。」
ライがメニューを見る俺に言う。店主のこだわりというやつか。でもトッピングには味玉が頼めるらしい。
「僕としては味噌も塩も、豚骨もやってほしかったんだけどね。そっちはやるとしたら期間限定メニューでやるって。」
アストロンがそう言った。
さて、何を注文しよう。学校で訓練して体を動かしたからお腹は空いている。特に最近は回復魔法の練習で、訓練中にクラスメイトがした怪我を治したり、疲れを癒したりもしているので尚更だ。
「ワンタンメンにしようかな。」
「そっか!僕もそうしようかな!」
「あー、俺はチャーシュー麺で。」
注文はヘルプに来ていたのかローデさんがとってくれた。ローデさんは俺の頭の飾りを見ると微笑む。
「とても可愛らしいですね。もしかしてアストロン様からの贈り物だったり?」
「ふふ。似合ってるでしょう?僕の髪飾りもアッキーが選んでくれたんだよ。」
俺は気恥ずかしくなってうつむいてしまう。ローデさんは楽しそうに笑う。
「あらあら。それは良かったですね。お二人ともよくお似合いですよ。」
さて、それは置いておいてラーメンだ。
ローデさんの旦那さんだろう、元城の料理長のおじさんがラーメンを運んできてくれた。少し強面ってかんじだけど、アストロンだけじゃなく俺達にも軽く頭を下げて
「ご賞味ください。」
と言ってくれた。
俺はラーメンに向き合う。ラーメンからはほとんど湯気が立ち上っていない。不思議に思ってスープを見ると、なるほど、油の層ができていて熱が逃げるのを防いでいるようだ。
まずはスープをレンゲで一口。ふわっと最初に香るのは煮干し。それから上あごの奥の方にグッとくる旨味。下の上で踊るコク。
「うまっ……。」
軽く縮れた麺ももちもちで、スープがよく絡む。引き上げた時に油を纏って登場するから熱々だ。
ワンタンのちゅるんとした食感も良い。ワンタンの具のネギの香りがアクセントになってさっぱりとした後味になるのも嬉しい。
メンマもナルトも美味しいし、チャーシューは口に入れるとトロッととろける。
そして、油の膜のおかげで冷めないので、長い時間美味しくいただける!
アストロンと目を合わせ頷く。美味しい。視線だけで気持ちが伝わる。その後ラーメンを食べ終わるまで、俺達の間に会話はなかった。
「ふうっ。」
ラーメンのスープを飲み、水を飲み、ラーメンのスープをまた飲んで……とりあえず一息つく。
うん。美味しかった。
お腹は満ちたけど、また明日も食べたいと思えるほど美味しかった。
最後まで温度を保つから、今体が熱いけど美味しかった。
「お味はいかがでしたか?」
「「美味しかった!!」です。」
感想を聞きに来たおじさんに、俺とアストロンの声が重なる。おじさんは口角を少し上げると
「それは何よりです。」
と言った。
この世界の食事は大体日本と同じ感じ。洋食メインの日本的食文化に近い感じです。
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次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。