花飾りをつけた勇者
さて、土日に冒険をしているが平日は学校がある。
「わあ、アキレア君、その花飾りどうしたの?」
花の飾りをつけていくとクラスの注目を浴びてしまった。
「マジックアイテムだよ。……変か?」
「ううん!すっごく似合ってるよ!」
そう言われるとほっとする。アストロンのセンスはやはり正しかったらしい。
「勇者アキレアは最近大変だもんな!新しい装備は必要だよな!」
アキラが全力で何かフォローをしてくれている。この前手伝ってもらったから、少し状況を分かっているんだろう。
「なんかもとからアキレアってふんわりしてたけど、それ付けてると異名、花の勇者!とか言われそうだな。」
クリスが笑いながら言った。
花の勇者……。まあ花がついてても勇者は勇者だよな?
それに実際アキレアもホワイトレースが選んだ花飾りをつけているので、花の勇者というのは間違ってないかもしれない。
「あ!アッキー!!付けてきてくれたんだ!!」
「アストロン!」
教室に入ってきたアストロンが小走りで俺のところに来る。
「あー……もしかして王子からのプレゼントだったりします?」
ビリーがどこか顔を引きつらせながら俺の飾りを見る。
「うん!僕がアッキーにあげたんだよ。あと、僕の髪飾りもアッキーから貰ったんだ。」
そういうアストロンの頭には、確かに俺があげた星の飾りが輝いていた。
「付けてくれたのか。」
「当たり前だよ。」
嬉しさで胸が満たされる。ライが後ろでなんか死んだ魚のような目をしているが、気にならないくらいだ。
「あ!その飾りもしかしてマジックアイテム?!」
何処かに行っていたのか、教室に戻ってきたブラックが言う。
「そうだけど?」
ブラックは武器マニアだが、マジックアイテムにも興味があったのだろうか?疑問に思い首を傾げるとブラックは苦笑した。
「親は鍛冶屋なんですけど、親戚にマジックアイテム技師もいて……。もしかして親戚が作ったんじゃないかなって思ったんだ。」
「ああ。アキレア、それ、俺の実家の領地で買ったか?」
アキラの質問にうなずく。
「あそこのマジックアイテムは、ブラックの親戚の作ったやつも流通しているからな。そうかもしれない。」
「へぇ。」
遠くまで行ったと思ったけど、世間は狭いというか……。まだまだ近場の世界しか見れていないのかもしれなかった。
「アッキー!ラーメン食べに行こうよ!!」
「ラーメン?」
「学校帰りに友達同士でラーメンを食べに行く……。いわゆる青春っぽいでしょ!!」
青春っぽいのか?ライを見たら苦笑していた。というか、
「ラーメンって、俺は食べたことないけど、どこで食べるんだ?お前一応王子だよな?」
そう。普通に考えて、王子がいきなり城下町のラーメン屋に現れたら問題だろう。
え?一緒に旅してる方が問題?
「大丈夫だよ!ローデさんの旦那さんのお店だから!」
それは確かに大丈夫そうだ。というか
「そもそもローデさん、何者なんだ?」
ライにこっそり聞いてみる。
「ローデさんは城の元侍女長だよ。ちょうど定年ってところでアストロン王子が声をかけて、なんかノリノリで駄菓子屋を開いてくれたんだ。」
「おぅ……。」
そういうことだったのか。ん?ということは
「その旦那さんも城の元従業員か?」
「うん。元の城の料理長。」
元城の料理長?!そ、それは……
「大分ヤバい感じがするんだが。俺みたいな中の下の貴族が口にしていいのか?」
「表向きは平民も入れる店だから大丈夫。まあ、アストロン王子の予約が何より優先される店だけど。」
楽しみだが、恐れ多くもある。ちなみに普通のラーメンは一杯1000ポン以下であるらしい。
ふ、普通の店の値段だ!!元城の料理長、それでいいのか?!
クラスメイトの皆さんはアストロン王子の意図とかを何となく察している人が多いです。
アキラは商売に明るい貴族の良いところの坊ちゃん。ブラックは親戚揃って職人の平民の家の武器マニアです。
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