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俺の星に贈り物を

ガラスと水は違う。

俺とアキレアだって違う。

違うと分かっていたはずなのに……。


どんなに似ていても同じにはなれなくて、

違う存在で、

むしろ同じになってはいけないのに。


(アキレアのことをアキレアって呼べるのは俺だけなのに)


ホワイトレースはアキレアにぴったり似合う花飾りを選んだ。


(俺が一番、アキレアのことをアキレアとして見れてなかった。)


双子でも、

どんなに似ていても、

アキレアは俺じゃないのに……!


「アッキー。」


俯いていた俺に声がかけられる。


「えっ?」


目の前にはにっこり笑うアストロン。って近っ!!キラキラのドアップとか心臓に悪い!!


「ふふっ。」

「って、え?」

「アッキーにはこの花飾りが似合うよ。」

「え?」


アストロンが持っていたのは綺麗な花の飾り。さっき俺が選んだものでもない。黄色い大きな花とそれより小ぶりのピンクと赤と紫と青があしらわれたものだった。


「その人に似合うかどうかは個人個人の主観にもよるからね。僕はこれがアッキーに似合うと思ったんだ。」

「え……。」


花飾りは色鮮やかで可愛い。だけど、


「いや、おま……勇者に花飾り?!」

「かっこいいよね!」

「え?かっこ……いいのか?」


花飾り付けたらどっちかと言うと可愛らしさが増さないか?いや、でもかっこいいならありか?


「ちなみに攻撃力と防御力アップの効果が付与されてるよ!」

「優秀だな?!」


ま、まあちょっとかわいい気もするけど、アストロンが選んでくれたことは嬉しいし、マジックアイテムとしての効果も高いし……


「じゃあ買お」

「あ!これは僕が買ってアッキーに贈るよ!」

「え?!」

「だからアッキーは僕に似合う装飾品を選んで。」

「ええ?!お、俺にセンスなんか求められても」

「アッキーが僕にどういう装飾品が似合うと感じたのかも知りたいんだ!」


センスなんてどうでも良いとアストロンは笑う。笑顔でそこまで言われると、断りづら……断れない!!

俺はため息をついて商品に向き合った。アストロンから顔を背けてるのは別に、恥ずかしいからとか、顔が熱いからとかじゃなくてだな。


目につくのはやはりカラフルな花の飾りだ。


(でも……アストロンには……。)


アストロンにも花は似合うだろう。

けれどそうじゃない。アストロンは雰囲気が柔らかいから、花だと全体的に優しくなりすぎる気がする。


「おっ。」


ふと金属を使った装飾品が目に入った。

うん。アストロンに合わせるならこっちのほうがバランスがよさそうだ。

金属系でも銀色、金色、赤っぽい色、黒っぽい色と色々ある。形も様々だ。


(一応何の効果を付与するかとかも確認しながら……。)


ピカピカしすぎるとアストロンの髪に紛れてしまう。それは針金のような細工も同じだ。特に白っぽい金色とかは色が近いから避けたいところだ。でも目立ちすぎると、いつも身につけるのに向かないし。


「!」


目にとまったのは回復量アップの飾り。金属製だけど加工がされているのか落ち着いた上品な輝き。目立つほどではないがアストロンの髪と混じらないくらいの金色と銀色の細工。子どもっぽいわけではない、星をモチーフにした飾りを俺は手に取った。


「アストロン!」


俺を見て微笑むアストロンの髪に飾りを当てる。飾りはアストロンの髪とは紛れずに上品にきらめいていた。


「これにするの?」

「ああ!」


アストロンに髪飾りを見せる。アストロンは嬉しそうにニコニコして髪飾りを見ている。気に入ってくれたなら何よりだ。


「俺の星であるアストロンに、この星の飾りを贈るぞ。」


ちょっとお値段はするけど、もらった賞金で足りる。俺は会計を済ませてくることにした。


「……え?アッキー僕のこと星だと思ってるの?」

「無意識で言ってると思うので、突っ込まない方が良いと思いますよ。」


会計中の俺の後ろで行われていた会話を、俺は知らない。

気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマーク、評価や感想をいただけると嬉しいです!

次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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