学校に通おう!
俺とアキレアは色々な基礎を叩きこまれた。
そして
「学校が寮じゃなくて助かったな。」
「うん。比較的家が近かったし、あんまりすごい貴族じゃないからお付きの人もいないし、ってことで通いが認められてよかったよね。」
「ああ!一応貴族だからお付きもなしで寮に入ると扱いに困るらしいからな!」
「平民だと自分のことは自分でやる!って感じでも、寮をおすすめされるからね。」
聖女でも勇者でも一般常識というものは学ぶべきである。150年前の前勇者とかも学校には通っていたようだ。そのため俺達もしっかり学校で学ぶことになっていた。
男子用の制服に袖を通す。アキレアは女子用の制服だ。可愛らしいデザインで、アキレアにもよく似合っている。大人しそうな雰囲気と相まって、とても聖女らしい。
「頭に花の髪飾りでも飾ろうか!」
「フリージアが手に持ってる花には毒があるよ……。」
「マジか!?」
「それに……聖女ならあんまり飾らないんじゃないかな?」
うーん。確かに聖女ってあんまり華美なイメージは無いような……。
でも俺としてはアキレアを飾りたい。だってアキレアは聖女フリージアなんだから。
「じゃあ髪伸ばそうよ!聖女って髪長そうだし!」
「……フリージアは髪が長い方が良いの?」
「え……?」
髪……。何となく俺は勇者として、髪は短い方が良い気がしていた。もし、俺が聖女フリージアのままだったら、髪はどうしていただろうか。
「まあ、露出が多い服とかの時はまた入れ替わりが必要だろうし、髪型もお揃いが良いと思うよ。」
「そ、そうか。」
お揃いならいいか。俺は深く考えず短い髪で良いかと頷く。
「可愛いぞ!アキレア。」
「喜ばしいか悩みどころだね。聖女フリージアとしては良いけど。」
アキレアは苦笑してから
「フリージアも可愛いよ。男子用の制服でも可愛い。」
と笑った。
「うーん。フリージア個人としては嬉しいけど、勇者アキレアとしてはいかがなものか。」
「可愛い系勇者路線で行けばいいんじゃないかな。」
心なしかアキレアは楽しそうに見えた。
「クラスは別々なんだよな。」
「騎士クラスと魔法使いクラスだね。」
俺は選択科目が選べるようになったら魔法関係の授業もとるつもりだ。それまではアキレアに色々教えてもらったりして自主練しよう。魔法の腕が下がるとフリル様に怒られそうだし……。
俺のクラスはほとんどが男子で女子は数人しかいなかった。
(いや、まあ俺も生物学的には女子に分類されるが、表面上は男子にならなければいけないわけで。)
一瞬自分を女子カウントに入れそうになったが、首を横に振る。
そう。俺は勇者アキレア!本当はフリージアであることは隠して学園生活を送らなければ!
「このクラスに勇者がいるって本当かな?」
「うわ?!」
自分に渇を入れていたらいきなり横の席のやつが話しかけてきて驚く。だいぶショートカットの男子生徒だ。髪の色は緑で目の色は黒。俺より身長は高そうだった。
「あ、いきなりごめん。俺はライ。よろしく。」
「お、おお。俺はアキレア。よろしく。」
自己紹介されたので、自己紹介し返す。
俺が自分の名前を言った瞬間ライの目が少し見開かれた。さっき勇者がどうとか言ってたし、もしかして俺の名前、意外と知られてる?
「じゃあ、アッキーだな。」
「は?」
「よろしく!」
ライは俺の手を掴んでぶんぶんと上下に振った。
なんだこいつ。距離を詰めるが早くないか?近くないか?というか俺の名前にピンと来たわけではないのか。いや、あだ名を思いついた的な意味ではピンと来たのかもしれないけど。
その後クラス全体の自己紹介で俺が勇者だということはクラスの皆の知るところになった。
「いやー、まさかアッキーが勇者だとは。俺も意外と見る目があるな。」
「勇者に興味があるのか?」
「まあ少し。どんな奴なのか知りたくてな。でもアッキーなら大丈夫そうだな。この国の未来を任せられそう。」
「大げさだな……。」
会ってまだ1日も経っていないのに、この国を任せられるという認識。
信頼するのが早いというか何というか。
入れ替わりの特性上、今後
例えばフリージア視点で他人がいる時にアキレアの描写をする際
『アキレアは口を開く。「アキレアはどう思う?」』みたいな表現が多く出てくると思います。
作者も混乱しそうなので間違ってたらこっそり教えてください……。
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次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。