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それぞれの武器について

ホワイトレースは別に2人の正体に気付いていません。なので彼女が聖女様と呼んでいるのは聖女として生活しているアキレアです。

俺の剣は魔力でできている。純粋な魔力を神聖魔法で物質にしているんだけど


「鉄じゃないから高熱の火の中に放り込んでも意味が無いんだよなー。」


少し色々やってみたが上手くいかなかったのでため息をつく。考えることは色々あるけど、結局魔王がどんな奴なのか分からないことには動けない。


(今できることは強くなること。それから自分と世界を知ること。)


結局一生懸命、色んなものを見ながら生きていくしか無いんだろうなと思っている。剣のことだから先生に聞いてみたけど


「え?私は剣術は分かるけど剣を作ることに関しては……。むしろその剣は魔法で作ってるんだから魔法が得意な人に聞いた方が良いんじゃないか?」


と言われてしまった。魔法が得意な人……。思い浮かぶのはフリル様だけどなんか色々研究されそうなんだよな。


「あら、アキレア様?」

「ホワイトレース?」


今日は休日で学校も休みだ。先生もフリル様も来ていないから、家の近くでちょっと考え事をしていたんだが。


「フリージアに会いに来たの?」

「あ、えっと約束などはしていないのですが、近くに用事があったので。」


ついでに寄ったんだろう。俺は頷く。


「アキレア様こそどうしたのですか?」

「ちょっと考え事があってな。」


俺はホワイトレースに剣の強化について話してみた。

ホワイトレースはフリル様の娘。その上本人も大分強いとフリージアから聞いている。俺の前でそこまで攻撃的な姿は見たことが無いのだが。ホワイトレースは少し考えてから口を開いた。


「魔法というものは多かれ少なかれ心の影響を受けます。」

「心の影響?」

「技術や魔力はもちろん大切ですが、それだけじゃないんです。特に聖女様達の神聖魔法はその影響が大きいと推測されます。」

「そうなのか?」

「神聖魔法は他の魔法では出来ないことも出来る……。一般の魔法理論が当てはまらないものです。まるで本人がそう思えば何でもできるのではないかと感じさせるほどに。」

「お、おお。」


ホワイトレースは少し興奮した様子で俺に語ってきた。


「……失礼しました。」

「我に返ってくれたようで何より。」

「こほん。つまりアキレア様の神聖魔法の剣も実際の炎で鍛えるのではなく、心の炎で鍛えればいいと思います。さらに言えば剣の中心、核となる部分に強い想いを包み込んでしまうのもありかと。」


心の炎……。


「それは俺に怒れと言っているのか?」


首を傾げながら尋ねればホワイトレースはおかしそうに笑った。


「心が熱くなるのは何も怒りだけではないでしょう?きっと勇者としての勇気も、情熱も、そして愛だって心を熱くするんですよ。」

「勇気、情熱……愛。」


そっと自分の胸に手を当ててみる。


「狂おしいほどに愛おしく、胸が締め付けられるほどに切ない。例えばそんな恋をしたら、それは強い魔法に繋がると思いませんか?」


ホワイトレースは彼女自身の胸に手を当てて、少しだけ口角を上げる。


「ホワイトレースには好きな人がいるのか?」

「ええ。私聖女様が大好きです。」

「そっかぁ。」


笑って堂々とそう言い切る姿は微笑ましい。


「私の魔法の強さの秘密です!」


彼女はふふっと笑ってみせた。


(あれ?恋愛の話をしてた気がするけど……強い友愛も可ってことかな?)


とりあえず参考にしてみようと思った。




「聖女様?何かお悩みですか?」

「あ、大したことじゃないですよ。」


ホワイトレースさんは休み時間にわざわざ私のところに来てくれる。私たちが中等部2年生になるということはホワイトレースも中等部に入ってくるということ。

流石に初等部から中等部へはホワイトレースも頻繁に来なかった。だからまたこうして頻繁に私を訪ねてくれることが嬉しい。


「一応護身術というか……少しは物理攻撃も出来たほうが良いのかなって思ったんです。」

「それなら打撃武器はいかがでしょう?」

「打撃武器?」

「棍棒とかブラックジャックとか。技能があまりなくても振り回すだけでダメージを与えられます。刃物じゃないので自分の持つときも恐怖心があまりないんですよ。場合によっては魔法使いの杖にも棍棒やハンマーのような役割を持たせたものもあるんです。」

「良いかもしれませんね。」


なにせ力だけは無駄にあるのだ。ちょっと重めの杖で相手を殴る方面で行くのが有効かもしれない。私はそっちの方で物理攻撃の手段を考えることにした。


(それにしても)


フリージアがあんなに傷口や血が苦手だとは思わなかった。聖女という役割は傷から目をそらさずに治す必要がある役職。


(入れ替わって良かったのかもしれない。)


いつも一方的に彼女に背負わせてばかりだったから、自分が聖女になることで好転することがあると嬉しかった。


(ん?でも聖女の最上級魔法は確か、すごい回復魔法なんだっけ?そうなると結局フリージアも傷口とかを見る訓練はするべきですかね。)


そう考えて、自分も物理攻撃の訓練をするべきかとため息をついた。

気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマーク、評価や感想をいただけると嬉しいです!

次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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