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中等部からの変化

2章!中等部に入ってからの話です。

ブックマークありがとうございます!読んでくれている人がいると書こう!!って気持ちになります!

「中等部からは選択式の授業があるんだよね。」

「ああ。」

「私は魔法関係と回復関係の授業をまんべんなくとるけど、フリージアはどうする?」

「騎士……剣関係はとって、後は俺も神聖魔法が使えるから魔法関係の授業をとるか……。」


初等部の頃は騎士クラスと魔法使いクラスは同じ敷地内にあっても校舎が異なっていた。しかし中等部では選択授業によっては同じ教室で授業を受けることもある。


「じゃあ一緒の授業が受けれるね。」

「そうだな。それなら授業内容を教えあう手間も一部省けるよな。」


そんな話をアキレアとしながらも、俺は別のことをなんとなく考えていた。


(結婚とか恋愛とか、そんなものは俺が勇者じゃなくなってからの話だ。)


だけどアストロンは王子様で


(ああ、きっと全てが終わってもダメだ。)


アストロンとそう言う意味で近づくことは無いだろう。時間的にも、身分的にも。

アストロンと俺は、友達で、相棒だ。互いの背中を守りあう、互いの背中を預けられる、とてもとても大切な仲間……。勇者アキレアの仲間。ただのフリージアの想いをそこに混ぜてはいけないのだ。




「ライ君……ちょっと良いかな。」


中等部に入ってからライは女の子に呼び出されることが増えた。


「あいつ……モテるよな。」

「人当たりも良いし、話しかけやすいし、モテそうだよね。」


アストロンは軽く笑いながら俺の言葉に同意した。


「……アストロンは、そういうことないのか?」

「んー。無いね。一応王子だからみんな遠慮しちゃうのかな?」

「王子も大変だな。」


そんなことを話しながら、俺は心のどこかで安心していた。いや、安心ってなんだよ。


「そう言うアッキーは?」

「は?」

「アッキーこそ勇者様なんだしモテないの?」


そう言う見方もあるのか。勇者ってモテるのか?

俺は男じゃないからそんなこと意識してなかったが……。


「いつ死ぬか分からない勇者だからこそモテないんじゃないか?」


思い付きで冗談交じりに言ってみる。するとアストロンは急に真顔になって、俺に向き直った。


「な、なんだ?」

「いつ死ぬか分からないなんて、そう簡単に言うものじゃないよ。」


確かに冗談にしてはたちが悪いかもしれない。俺は真顔のアストロンに


「そ、そうだな。すまん。」


と素直に謝った。するとアストロンは小さく頷いた。


「それにアッキーは死なないよ。」

「え?」

「僕が死なせない。」


アストロンは穏やかに微笑みながら、しっかりとそう言った。

その姿が、眩しくて、胸がぎゅうっと苦しくなった。




「そう言えばアストロンは選択授業何とったんだ?」


選択授業はそれぞれの教室に移動することになる。教科書などをまとめながらアストロンに尋ねる。


「僕は魔法薬学とかマジックアイテム学とかをとったよ。アッキーとは違って僕は回復魔法が使えないからね。回復アイテムを作れれば旅で役立つだろう?」


考えが深い。こういう部分には感心するほかない。


「流石アストロンだな。」

「ふふ。それに研究したいこともあるから。」

「研究したいこと?」

「いつかうまくいったら報告するね。」


今は内容を教えるつもりは無いようだ。

ライは何か知らないかな?と思ってライに目をやると気まずそうに逸らされた。……何を知ってるんだ、何を。

あんまりつつくと藪蛇になりそうな予感もする。とりあえず俺は教室を移動することにした。




回復魔法の授業はアキレアと同じものだ。アキレアを見つけたので隣に座る。


「それにしてもアストロン王子がパーティメンバーかあ。」


アキレアはアストロンが王子だったことに驚いた後苦笑していた。


「まさか王子だとは思わなかったよな。」

「いや、私は納得したかな。前会った時も独特の圧を感じたし。」

「独特の圧?」

「独特の圧。」

アキレアは何か悟ったような笑顔だ。俺は首を傾げながらも授業が始まるので前を向いた。




「ふふふ。」


アストロンは目の前でニコニコ笑っている。


「……。」


そしてむくれている俺の頬を楽しそうにつついてくる。それを軽く手で払う。


「そんなにむくれないでよ~。」

「じゃあそんなに嬉しそうにすんな。」


そう言ってもアストロンは相変わらずにやついている。


「身長がなんだ。身長が高くても低くてもあんまり何にも関係ないだろ。」

「うん。でも高いところのものを取るとか身長が高い方が良いこともあるでしょ。アッキーが取れないものを取ってあげるよ。」


そう。アストロンの身長が俺を抜いたのだ。正直気に入らない。

いや、生物学的にはその可能性が高いのは分かっていたが……。


顔の丸みが無くなっていく度に、手が大きく、体が厚くなっていく度に、アストロンが男なのだと認識する。俺との違いを見せつけられてしまう。いや、俺も性別的にはどちらかというと背が高い方だ。男としては低めなだけで。

成長期が男女で違うと考えると俺の身長が今後伸びる可能性はあまりなさそうだ。でもアストロンの身長は今後も伸びるかもしれない。そう考えると悔しいのだ。そんな俺を見てもアストロンは相変わらず嬉しそうに笑っていた。


気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマーク、評価や感想をいただけると嬉しいです!

次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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