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勇者と聖女のとりかえばや ~聖女が勇者で勇者が聖女!?~  作者: 星野 優杞
勇者な聖女と聖女な勇者
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勇者と聖女の幼少期 前編

今回からは基本的にフリージアの一人称が俺で、アキレアの一人称が私です。

戦うのが怖いと言ってアキレアは戦いの訓練を嫌がっていた。

そのため私、いや、俺はまず初心表明とでもいうのだろうか。今後頑張って戦いの訓練をすると先生に宣言しなければいけなかった。


「先生!!俺、戦う訓練頑張ります!」

「急にどうした?戦うのが嫌なんじゃなかったのか?」


先生は青みがかった黒い髪のツインテールのお姉さんだ。なんでも若いのにすごく強い剣士らしい。


「決めたんです。俺は勇者になるって。そして聖女フリージアを守るって。」


そう、聖女フリージアのアキレアを守るんだ。あんなに優しい片割れを守らなければ。


「まあ、良い。やる気になったならやるぞ。お前は今まで訓練を嫌がってきたからな。得意武器すらわかっていない。まずはそこからだ。」

「はい!!」




「お母さん。ぼ……私、回復魔法のお勉強するね。」


お母さんは最初手に持っていた本を落とすほどに動揺していた。


「あなたがそんなことを言い出すなんて!いつも机に向かうのが嫌だと言って家の壁を蹴って宙を舞い、瞬時に窓を開けて脱走していたあなたが……!!」

(フリージア!!そこまで嫌がってたの?!)


私は苦笑するしかなかった。お母さんは張り切って魔法の先生を手配してくれた。

私たちの家は一応貴族だけど正直言ってそこまで偉くないのはなんとなくわかっていた。真ん中より下くらい。けど勇者と聖女の教育には国が協力してくれるらしく、私たちは王族に次ぐくらいの教育を受けることができた。そうしてやってきたのは


「本当にありがとうございます!!まさかフリル様に魔法の先生になってもらえるなんて。」

「いいえ。こちらこそ私の娘も一緒になんて言ってごめんなさいね。」


どうやら私たちより偉い貴族の人が先生になってくれるらしい。


「フリージア。こちらは王族の方々に仕えているフリル様、そしてこちらは一緒にお勉強をするフリル様のご息女のホワイトレース様よ。」


そう言って紹介されたのは私より小さな女の子だった。ピンクがかった銀髪の女の子は私を見てぺこりと頭を下げた。私も頭を下げて挨拶をする。

私より小さいのに、同じ内容の授業を受けるんだと思うと、単純にすごいなあと思った。


「私、神聖魔法を見るのを楽しみにしてるんです。魔法を使うものにとって神聖魔法は一生の間に見ることができるかも怪しい神秘!娘も神聖魔法に興味津々なんです。」

「あ、あの、せいじょさま!」

「は、はい?」

「しんせいまほう、とってもたのしみです!!」

「ありがとう……ございます?」


どうやら女の子の狙いは勉強よりも私の魔法の方だったらしい。






「剣が一番良さそうだな。」


先生は一週間ほど俺に色んな武器を使わせてからそう言った。


「勇者は神聖魔法で自分の武器を作るらしい。お前もいつか神聖魔法で自分の剣を作るんだろう。だが、あいにく私には魔法を教えることはできない。そこのところは自分でどうにかしろ。」

「はい!大丈夫です!!」


わかっている。神聖魔法は勇者と聖人にしか使えない。勇者も聖人も数十年、数百年間隔という感じでしか現れない。先代の勇者と聖人もすでにこの世にいない。どうして神聖魔法の教えを乞うことができるだろうか。


「先生は俺に、剣の使い方を教えてください!!」


先生は無表情のまま頷いた。




フリル様はおっとりした雰囲気とふんわりした見た目に反して大分スパルタだった。


「はい。頑張ってください。神聖魔法も扱い方は普通の魔法と基本的には同じだと文献に書いてありました。でも、異常があれば遠慮なく申告してくださいね。神聖魔法はめず……分からないことが多いので。」

(珍しいって思ってますよね!!)


魔法の勉強をして、神聖魔法で火をおこしたり、水を生み出したりする私を見てフリル様は何やらレポートを書いている。研究されてる感が半端ない。

ホワイトレース様はというと、フリル様のスパルタに慣れているのか、さっさと自分のノルマを終わらせてフリル様と一緒に私の観察をしてくる。正直言って止めてほしい。


「しんせいまほうはぞくせいかんけいないってほんとうなんですね!!」

「そうね。火の魔法も水の魔法も属性関係なく発動してるわね。」


え?本当は属性が必要なものなんですか?

もしかして私、結構な無茶ぶりを受けてたのでは……?


「じゃあ次は土の壁を作ってみましょうか。」


フリル様の無茶ぶりは止まりそうに無い。




それでも私は気が楽だった。

魔王を倒すただ一人の存在。そんな勇者に比べたら、神聖魔法が使える、世界に二人きりの存在、勇者と聖女の片割れである方がマシだったから。

私は勇者でないことに満足して、フリージアに感謝した。


夜に子ども部屋で、アキレアとフリージアに戻って、勉強したことを教えあう。

復習にもなるし、また入れ替わる必要があった場合に備えてのことだ。


「剣をこうやってふるうんだ。」

「そうなんだ。魔法はね、こうやって力を爆発させて発動するんだよ。」


勇者の訓練をするフリージアは、一生懸命で強くて、彼女の方が本当の勇者だと私に思わせるのに十分だった。

フ「俺が俺で、アキレアが私か。」

ア「うーん。早くもこんがらがりそうだよね。」


気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマーク、評価や感想をいただけると嬉しいです!

次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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