勇者と聖女
短いです!
まだ次の話も今日中にあげる予定なので許してください。
先生を倒して、俺の拘束も解いてくれたホワイトレースの魔力消費も激しいだろう。
ライは使える魔法属性がそこまで多くはないから大変だろう。
だけど俺は短い間でいいから2人にアストロンと俺達の防御を任せることにした。
「フリージア、大丈夫?」
「まあまあだな。アキレアこそ大丈夫か?」
「まあまあかな。」
「……約束、守れなくてごめん。」
「ううん。私こそ、あんなお願いしちゃってごめんね。」
俺の目の前にいるアキレアは、勇者の格好をしていた。
そして、覚悟を決めた顔をしていた。
そうだ。
目の前にいるアキレアこそが、勇者アキレア。
俺がずっと、ならなくてはいけないと追いかけ続けていた姿だ。
(だけどアキレアが、勇者になるのなら。)
俺が決めるべきは、聖女としての覚悟。
「アキレア。この剣を使ってくれ。」
俺はいつも使っていた神聖魔法で作った剣を手元に出した。
俺が勇者になろうという想いと、アストロンに対する行き場のない恋心をたくさん込めた剣。
いや、後者はアキレアには関係ないけれど。
「私、剣はあんまり……。」
「この剣は、俺が勇者でいようとした想いだ。同じ紙の加護を受けたアキレアなら……いや、きっと、俺以外にはアキレアにしか使えない。」
剣をアキレアに手渡す。
この剣を作っているのは俺の想いだ。
俺には魔王が殺せなくても、アキレアがこの剣を使うことでなら、きっと……。
俺はこの剣で魔王の胸を刺せなかった。
どうして刺せなかったのか、理解しているのは俺と魔王しかいないだろう。
でも、だからこそ、魔王はきっとこの剣で倒されたいと思うだろう。
大丈夫だ。
俺も、覚悟を決めた。
きっと今度こそ、この剣は魔王の胸に刺さるだろう。
「アキレア。勇者アキレア。」
「……なに?フリージア。」
そして覚悟を決めたこの勇者になら話せる。
俺の考えていること全てを。
今のアキレアなら、きっと大丈夫。
「魔王には、アストロンと同じ目にあってもらおうと思うんだ。」