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第7話:悪役令嬢は地下牢へついてやってもいい

「どんな権力もわたしから拳を取り上げることはできない」(ある貴族令嬢の発言)

バカとはいえ王子を傷つけたのだ。

歯ヌケ王子(おそらく5本は抜けた)の命令で、あたしは衛兵に前後を挟まれて会場を颯爽と出た。

なぜだか、わりと気分が良かった。


御婆様は常々仰っていた。


「貴族ってのはね、外面のいい破落戸だよ。権力、財力。そうした力もいいがね、最後にモノを言うのは腕力さ。どんな王族も、あんたか2つの拳を取り上げることはできない。武力を鍛えなさい。それがあんたの背筋とを誇りを支える力になるからね」


御婆様は常に正しい。


あたしは新しく絹のハンカチを取り出すと先祖伝来の指輪を拭った。

四本の指には貴族としては繊細さにかける太めの指輪。

太い金の台座に大粒のダイアモンド、サファイア、ルビー、エメラルドがあしらわれている。


大きな宝石。つまりは硬度に優れた石であり、何よりも固い意志の象徴でもある。


指を開く。閉じる。カチリ。

指を開く。閉じる。カチリ。


隣の指輪と指輪は決まった手順で拳を握ると金具が噛み合ってメリケンサックとなる。

つまりは、拳による打撃にとても役立つ指輪だ。


それにしても惜しかったわね。

先ほどの打撃がもう少し、ほんの半歩前に踏み込めていたら、拳は王子の前歯でなく頭の後ろまで打ち抜けていたのに・・・

ハイヒールとドレスに足下の震脚と身体の捻りを発揮するのを妨げられたのは、トレーニングの想定が甘かったのかもしれない。


もうすこし肩から捻って、脚はあくまでも地面と平行に、滑るように移動して・・・。


「も、申し訳ありませんが、我々について来ていただけないでしょうか」


「あら、ごめんなさい。つい夢中になってたもので」


次の打撃を完璧なモノにするべく少し身体を動かしていると、困惑した様子の衛兵が自分たちについて来るよう命令してきた。

が・・・なぜか距離が遠いように感じる。人を連行するなら、もう少し犯人が逃亡しにくいよう近くに立つものではないだろうか。


まあ城の衛兵なんて、家を継げない貴族の坊ちゃん達の就職先でしかないから、単純にビビっているのかもしれない。

であれば、いろいろとやりようはある。


「ちょっと聞いていいかしら?」


「な、なんでしょう?」


受け答えにも僅かな怯えがある。


「あたしをどこへ連れて行くつもり?」


「・・・城の地下牢、と聞いております」


「地下牢・・・ね」


いろいろとやりようはあるけれども、これは・・・早期に行動を起こした方が良いかもしれない。


「ねえ、衛兵さん・・・?あたしの罪状はどうなると思う?」


「仰ってる意味が・・・」


「いいから!答えなさい!」


強く迫ると若い衛兵はしぶしぶ答えた。


「・・・殿下のお心次第かと」


「それで?殿下はどんな罪状をかぶせてくると思う?」


「王族への暴行は、貴族であっても大逆罪となる・・・おそれがあります」


「そうよねえ・・・あの殿下だものねえ・・・」


あたしは深く、深くため息をついた。


「もう一つ聞いていいかしら?」


「・・・どうぞ」


「あたしが、どうしてあなた達について行って、あのアホ殿下に殺されるために黙って地下牢に幽閉されないといけないのかしら?答えられたら理由を教えて?」


指を閉じる。カチリ。指輪がハマり、戦闘の態勢が整う。


「どうしたの?無力な淑女の問いには答えていただけないのかしら?それが紳士の嗜みに反するのではなくて?」


暴力は貴族の嗜み。武力は複雑な物事をシンプルに解決する。


御婆様は常に正しい。


あなたは・・・


衛兵達を殴り倒す→ 14話へ


気分を変えて地下牢へついて行く → 15話へ


その他・読者投稿の選択肢 → 16話へ

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