第5話:悪役令嬢は王子の弟に助けられる
読者選択肢として神楽 弓楽さんの感想を参考にさせていただきました!
「兄上!愚かな真似はお止めください!」
澄んだ声で殿下の政治的蛮行を制止したのは、兄とは頭の出来が違う、という噂の弟の王子。
顔のつくりは少し派手さに欠けるし髪も茶色がかっているけれど子犬っぽい雰囲気は嫌いじゃない。
あたしも、どうせ政略結婚をするなら弟王子<あっち>の方がいいなあ、なんて夜会で踊る姿を眺めていたこともある。
しょせんは適わない夢だったけど。
「うるさい!!妾腹の分際で政治に口を出すな!!」
そう。弟王子の母は第三婦人なの・・・
貴族と王家の結びつきを強めて国内政治を安定させる、という政略結婚の目的からすると第三婦人の王子と有力貴族との結婚なんて、反乱を助長するようなもの。
あたしとしては、お母様の仰る国内の政治的情勢も飲み込んで仕方なく顔だけ王子に我慢して嫁ぐつもりだったのに・・・5分前までは。
貴族達も兄王子の暴言に、さすがにざわめく。
それはそうよ。だって兄弟の王子で仲が悪いことを貴族達の面前で、これ以上ない形で浅はかにも示してしまったんですもの。
名誉を重んじられるべき貴族達の聞こえる場所で「妾腹」呼ばわりなんて正気じゃない。
第三婦人といっても王家に嫁ぐぐらいだから、それなりの家柄の国内貴族。
兄王子は弟だけでなく、弟と第三婦人の一族の名誉にまで泥を塗ったことになるわけで。
あー・・・弟王子が剣を抜こうとするのを侍従達が必死で止めている。
これは反乱の予感。
それでも、ここで死なれちゃ困るのよね。
あたしは咄嗟に弟王子に駆け寄って囁いた。
「ここで命を賭けるのはご短慮でございます。ですが・・・このご恩、決して忘れません」
はっと落ち着きを取り戻した弟王子を尻目に、あたしは王家の対立に緊迫した会場を抜け出した。
貴族達はもちろん、衛兵の誰もあたしを追ってこなかった。
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